Story.06≪Chapter.1-6≫
「そこの赤いトカゲ。前より強くなってんだろ?4年前みたいに俺を殴ってみろよ」
そして戦いの地点を3ヶ所に分散させるべくマンダーを笑いながら挑発し、バジールとシクールから離れさせるように下がり、アンナは一番奥へと移動した。
バラッドもシクールを左の奥へ誘導させ、アンヘルはバジールをその場で釘付けにさせた所で、マンダーはミシェルに急接近する。
「俺はてめぇより早くこの学院に通ってストレートで卒業したんだよ!あの時みたいにすんなり降参してたまるか!!」
彼の両手に宿る炎が更に強さを増し、他の者達の戦況が見えなくなる程まで広がっていった。
学院の内装は全体的に衝撃耐性があるとはいえ、凄まじい熱気の中では身体的に長くは持たない。
それでもマンダーは気合いの声と共に、その状態のまま接近して来た。
対するミシェルは強めた水属性の魔力によって刀から多量の水が溢れ出し、うねりを上げる様に炎を押し出そうとする。
「……激流乱舞(ゲキリュウランブ)……」
刀を振るう度に、水は不規則な波の如く四方八方から彼を包み込み、瞬時に炎が消えたと同時に濃い水蒸気が立ち込める。
これは離れた位置から見守るアンナだけでなく、マンダーもミシェルの姿を見失っている。
「どっ、何処だあの女っ!……!?」
立ち止まって周囲を見た矢先、真正面から刀を振り上げる彼女を目撃した時には硬直し、顔面から軽い衝撃を感じた。
動けなかったのは相手の動きに対する反応が出来なかった、それもほんの一瞬の出来事であったかの様に。
ミシェルは大量の水で消火した影響で発生した水蒸気を利用して、赤いトカゲの仮面に一点を絞り、弾む様に額の部分を刀で素早く、かつ軽く当てたのだ。
するとそこから縦に一直線、徐々にヒビが走っては真っ二つに割れて床に落ちた。
その音の直後に水蒸気は次第に晴れ、視界も良くなった所でアンナが目にしたのは、武器を納めるミシェルと、素顔がさらけ出され呆然と立ち尽くした末に膝から崩れ落ちるマンダーの姿だった。
「ミシェル…、勝ったの…?」
先程まで篭っていた熱気も既に感じず、彼から溢れ出ていた炎属性の魔力も消えていた。
それによってマンダーは割れた赤いトカゲの仮面を見て、絶望に落とされたかの様に俯いた。
「バカな…。これを被っても…俺はまた、負けたのかよ…」
「俺は水の使い手で、あんたは炎の使い手。初歩的な事から気付いてねぇ時点で勝負は分かり切っていた。どんな方法で“力”を付けていようがな」
巨大な炎を消す方法は実に簡単な事、その属性に強い水属性の魔力をひたすら強めて打ち消せば良いだけの話だ。
たとえ自分より早くこの学院に入学し、順当に進級して卒業が出来たとしても、それが頭に入っているか否かで戦いの行方は大きく変わる。
魔術形成型武器が完成出来ていないのは弱者だと見られた結果、常識的な属性の知識だけでミシェルの宣言通り、“速攻”で決着がついた。
それを離れた位置で見ていたシクールは、風属性の初級攻撃魔法である≪ウィンド・カッター≫で風の刃を何度も飛ばし続けていた手を止めた。
「マ、マンダーさんが負けたっ!?嘘だろっ!?」
「余所見をしている場合か?」
身体に小さな傷が複数付けられていても、バラッドが振るう≪裁雷≫に勢いは落ちていなかった。
シクールは何とか回避して、再び≪ウィンド・カッター≫を唱えて風の刃を飛ばすも、電流が宿った大刀に破壊されてしまう。
「何で…!?何でなんだよっ!?仮面の“力”が加わった俺の魔法は、細かい傷でもかなり痛い筈だぞっ!!」
たとえ初級の攻撃魔法と言えど、魔力の強さに比例して威力も増す。
加えて今のバラッドは防具を付けておらず、タンクトップ姿で両腕の肌も露出しているのだ。
「日頃から常に鍛練で数々の痛みと向き合ってきた。この程度で激痛とは思わん」
だがバラッドは、在学中でも身体に悲鳴を上げる程のトレーニングを積み重ねて屈強な肉体の持ち主となり、仮面によって急激に伸びた“力”に打ち勝つ自信を持っている。
強くなったのは身体だけではない、あらゆる強敵に屈しない精神を持ってシクールを止める。
「サンダー・ブレイク…!!」
うろたえる相手の仮面を目掛け、電流が走る大刀の刃は縦一直線に振り抜き、緑のトカゲの仮面は即座に真っ二つに割れた。
そして戦いの地点を3ヶ所に分散させるべくマンダーを笑いながら挑発し、バジールとシクールから離れさせるように下がり、アンナは一番奥へと移動した。
バラッドもシクールを左の奥へ誘導させ、アンヘルはバジールをその場で釘付けにさせた所で、マンダーはミシェルに急接近する。
「俺はてめぇより早くこの学院に通ってストレートで卒業したんだよ!あの時みたいにすんなり降参してたまるか!!」
彼の両手に宿る炎が更に強さを増し、他の者達の戦況が見えなくなる程まで広がっていった。
学院の内装は全体的に衝撃耐性があるとはいえ、凄まじい熱気の中では身体的に長くは持たない。
それでもマンダーは気合いの声と共に、その状態のまま接近して来た。
対するミシェルは強めた水属性の魔力によって刀から多量の水が溢れ出し、うねりを上げる様に炎を押し出そうとする。
「……激流乱舞(ゲキリュウランブ)……」
刀を振るう度に、水は不規則な波の如く四方八方から彼を包み込み、瞬時に炎が消えたと同時に濃い水蒸気が立ち込める。
これは離れた位置から見守るアンナだけでなく、マンダーもミシェルの姿を見失っている。
「どっ、何処だあの女っ!……!?」
立ち止まって周囲を見た矢先、真正面から刀を振り上げる彼女を目撃した時には硬直し、顔面から軽い衝撃を感じた。
動けなかったのは相手の動きに対する反応が出来なかった、それもほんの一瞬の出来事であったかの様に。
ミシェルは大量の水で消火した影響で発生した水蒸気を利用して、赤いトカゲの仮面に一点を絞り、弾む様に額の部分を刀で素早く、かつ軽く当てたのだ。
するとそこから縦に一直線、徐々にヒビが走っては真っ二つに割れて床に落ちた。
その音の直後に水蒸気は次第に晴れ、視界も良くなった所でアンナが目にしたのは、武器を納めるミシェルと、素顔がさらけ出され呆然と立ち尽くした末に膝から崩れ落ちるマンダーの姿だった。
「ミシェル…、勝ったの…?」
先程まで篭っていた熱気も既に感じず、彼から溢れ出ていた炎属性の魔力も消えていた。
それによってマンダーは割れた赤いトカゲの仮面を見て、絶望に落とされたかの様に俯いた。
「バカな…。これを被っても…俺はまた、負けたのかよ…」
「俺は水の使い手で、あんたは炎の使い手。初歩的な事から気付いてねぇ時点で勝負は分かり切っていた。どんな方法で“力”を付けていようがな」
巨大な炎を消す方法は実に簡単な事、その属性に強い水属性の魔力をひたすら強めて打ち消せば良いだけの話だ。
たとえ自分より早くこの学院に入学し、順当に進級して卒業が出来たとしても、それが頭に入っているか否かで戦いの行方は大きく変わる。
魔術形成型武器が完成出来ていないのは弱者だと見られた結果、常識的な属性の知識だけでミシェルの宣言通り、“速攻”で決着がついた。
それを離れた位置で見ていたシクールは、風属性の初級攻撃魔法である≪ウィンド・カッター≫で風の刃を何度も飛ばし続けていた手を止めた。
「マ、マンダーさんが負けたっ!?嘘だろっ!?」
「余所見をしている場合か?」
身体に小さな傷が複数付けられていても、バラッドが振るう≪裁雷≫に勢いは落ちていなかった。
シクールは何とか回避して、再び≪ウィンド・カッター≫を唱えて風の刃を飛ばすも、電流が宿った大刀に破壊されてしまう。
「何で…!?何でなんだよっ!?仮面の“力”が加わった俺の魔法は、細かい傷でもかなり痛い筈だぞっ!!」
たとえ初級の攻撃魔法と言えど、魔力の強さに比例して威力も増す。
加えて今のバラッドは防具を付けておらず、タンクトップ姿で両腕の肌も露出しているのだ。
「日頃から常に鍛練で数々の痛みと向き合ってきた。この程度で激痛とは思わん」
だがバラッドは、在学中でも身体に悲鳴を上げる程のトレーニングを積み重ねて屈強な肉体の持ち主となり、仮面によって急激に伸びた“力”に打ち勝つ自信を持っている。
強くなったのは身体だけではない、あらゆる強敵に屈しない精神を持ってシクールを止める。
「サンダー・ブレイク…!!」
うろたえる相手の仮面を目掛け、電流が走る大刀の刃は縦一直線に振り抜き、緑のトカゲの仮面は即座に真っ二つに割れた。