Story.06≪Chapter.1-6≫
「ごめんなさい、ミシェル…。油断したわ…」
アンナは人質にされ、反撃出来ない状況にさせてしまった事を申し訳なく感じ、表情も苦悶そのものだった。
「よーし、よくやったぞシクール」
「マンダーさんとバジールさんの為なら、これくらいお安い御用ですよ」
マンダーが眼帯を付けた男子生徒―シクール・W・ライトゥンに労いの言葉を掛けている中、ミシェルはさすがに刀は抜けないかと舌打ちをし、右手を下ろした。
同級生に刃物を向けられては何も出来ないと見たバジールは、得意げな表情を見せる。
「そういうワケで、俺達を攻撃しようとするとあの女の命はないぜ?」
「……人質を取って何すんだ?」
3人の少年達の目的はまだ見えない、そう感じたミシェルは彼らの動きに警戒しながら問い掛けると、マンダーの表情が歪む。
「1年前のあの日…、俺とバジールの同級生のファーウェルがカルマに殺されたっつー話は知ってるよなぁ?」
「ああ、ニュースで見た」
こちらが聞かずとも、早々に1年前の事件の話題に触れ始めた。
マーガレットとラウネの言うとおり、カルマがファーウェルを殺害したという結果を今でも受け入れていなさそうだ。
「あ、マンダーさん。その話は立てこもりの場所でお願い出来ませんか?ここだと誰かに見つかりそうですぜ」
するとシクールの方から場所の移動を勧められ、マンダーは少し驚きの表情をしてすぐに怪しい微笑みを浮かべた。
「おっと、そうだったな。2年の女共、俺達に付いて来い!」
「余計な事をすると友達の命の保証は出来ないぜ?」
バジールの一言にミシェルは溜め息を漏らし、左手に鞘が仕舞った刀は持ったままだが抵抗の意思を見せず、黙って彼らに付いて行く。
アンナは攻撃よりもサポートを得意とし、地属性の魔法しか使えないのは当人の悩みの一つである。
彼女の武器である小さめの灰色のハンマー―≪ガイアロック≫は護身用としか扱わず、人間と腕力の強いドワーフの混血種族―ハーフドワーフだとしても接近戦が不慣れな為、3人を相手に抵抗は難しいだろう。
ミシェルも昨日の宿題の発表に対する周囲の意見を考慮しており、下手な判断での攻撃は出来ない。
だからと言って、マンダーとバジールはミシェルを警戒し、シクールは依然ナイフでアンナを脅しているので今すぐに教職員への連絡も無茶が過ぎる状況だ。
設置された浮遊型の監視カメラ―カメラウィングは機能している様なので、誰かがこの映像を見てくれれば優劣が変わるのだが。
「ほぉ…、武道場か」
「ここならこの時間、誰も使われてないですよ。“剣帝”のセロンも今はいないですし」
時刻は17時52分、マンダー達3人に連れて来られたのは、剣術の修行の時によく利用していた『武道場』だった。
「何で武道場?」
「黙って入れ!」
こちらからの質問を許さないかの様に、ミシェルは後ろからマンダーに押されながら中に入った。
後にアンナもシクールにナイフを突き付けられながら入り、他の二人の少年達も入室した。
「貴方達は、私達を人質にして何をするつもり…?」
「決まってんじゃねぇか。ストーン・ロック…」
アンナが問い掛けた途端、バジールが地属性の魔力を彼女とミシェルの足元に向けて放ち、床から徐々に石が二人の足を固定させる様に纏わり付いた。
「ちっ…!」
「下手に動くと足がバラバラになっちまうぜぇ?」
これは石化の魔法か、この状況を楽しんで見ているバジールの一言に、ミシェルは抵抗は無理かと思った時に石は腰の辺りで止まった。
アンナは人質にされ、反撃出来ない状況にさせてしまった事を申し訳なく感じ、表情も苦悶そのものだった。
「よーし、よくやったぞシクール」
「マンダーさんとバジールさんの為なら、これくらいお安い御用ですよ」
マンダーが眼帯を付けた男子生徒―シクール・W・ライトゥンに労いの言葉を掛けている中、ミシェルはさすがに刀は抜けないかと舌打ちをし、右手を下ろした。
同級生に刃物を向けられては何も出来ないと見たバジールは、得意げな表情を見せる。
「そういうワケで、俺達を攻撃しようとするとあの女の命はないぜ?」
「……人質を取って何すんだ?」
3人の少年達の目的はまだ見えない、そう感じたミシェルは彼らの動きに警戒しながら問い掛けると、マンダーの表情が歪む。
「1年前のあの日…、俺とバジールの同級生のファーウェルがカルマに殺されたっつー話は知ってるよなぁ?」
「ああ、ニュースで見た」
こちらが聞かずとも、早々に1年前の事件の話題に触れ始めた。
マーガレットとラウネの言うとおり、カルマがファーウェルを殺害したという結果を今でも受け入れていなさそうだ。
「あ、マンダーさん。その話は立てこもりの場所でお願い出来ませんか?ここだと誰かに見つかりそうですぜ」
するとシクールの方から場所の移動を勧められ、マンダーは少し驚きの表情をしてすぐに怪しい微笑みを浮かべた。
「おっと、そうだったな。2年の女共、俺達に付いて来い!」
「余計な事をすると友達の命の保証は出来ないぜ?」
バジールの一言にミシェルは溜め息を漏らし、左手に鞘が仕舞った刀は持ったままだが抵抗の意思を見せず、黙って彼らに付いて行く。
アンナは攻撃よりもサポートを得意とし、地属性の魔法しか使えないのは当人の悩みの一つである。
彼女の武器である小さめの灰色のハンマー―≪ガイアロック≫は護身用としか扱わず、人間と腕力の強いドワーフの混血種族―ハーフドワーフだとしても接近戦が不慣れな為、3人を相手に抵抗は難しいだろう。
ミシェルも昨日の宿題の発表に対する周囲の意見を考慮しており、下手な判断での攻撃は出来ない。
だからと言って、マンダーとバジールはミシェルを警戒し、シクールは依然ナイフでアンナを脅しているので今すぐに教職員への連絡も無茶が過ぎる状況だ。
設置された浮遊型の監視カメラ―カメラウィングは機能している様なので、誰かがこの映像を見てくれれば優劣が変わるのだが。
「ほぉ…、武道場か」
「ここならこの時間、誰も使われてないですよ。“剣帝”のセロンも今はいないですし」
時刻は17時52分、マンダー達3人に連れて来られたのは、剣術の修行の時によく利用していた『武道場』だった。
「何で武道場?」
「黙って入れ!」
こちらからの質問を許さないかの様に、ミシェルは後ろからマンダーに押されながら中に入った。
後にアンナもシクールにナイフを突き付けられながら入り、他の二人の少年達も入室した。
「貴方達は、私達を人質にして何をするつもり…?」
「決まってんじゃねぇか。ストーン・ロック…」
アンナが問い掛けた途端、バジールが地属性の魔力を彼女とミシェルの足元に向けて放ち、床から徐々に石が二人の足を固定させる様に纏わり付いた。
「ちっ…!」
「下手に動くと足がバラバラになっちまうぜぇ?」
これは石化の魔法か、この状況を楽しんで見ているバジールの一言に、ミシェルは抵抗は無理かと思った時に石は腰の辺りで止まった。