chapter 2
夢小説設定
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チ、チ、と時計の針の音が聞こえる。
横になっていた一方通行はがばりと起き上がった。
名前の帰りが遅い。
今日は買い物せず真っ直ぐ帰る予定だが、時計の針は19時近くを回っている。
いつもは遅くとも18時半までには帰るというのに。
久しぶりに携帯を手に取りアドレス帳を開く。
名前の欄で通話ボタンを押した。
息を潜めた声が聞こえた。
「……もしもし」
「名前か?」
「うん」
「遅ェ。今どこだ?」
「コンビニ。帰る途中ね、後をつけられてるみたいで避難してたの」
一方通行は舌打ちをした。
それならば早く連絡してくれればいいものを。
「迎えに行く。場所は学校方面のグリーンマートでイイな?」
「うん……ありがとう」
「なンでもねェよ。そンくらい」
電話を切りポケットにしまった。
そうだ。迎えに行くくらいなんでもない。
名前の無事に代えたら。
一方通行は地を蹴った。
能力を使い名前のいる場所を目指す。
秋が近付いているようだ。
風は以前より少しばかり冷たくなっていた。
コンビニに着いた一方通行は、上空から周辺を見てみたが怪しげな人物は見当たらなかった。
もう諦めたのだろうか。
見つけたら吊し上げるつもりだった一方通行は肩透かしを食らった気分だった。
「ああァアクセラレータッ……!」
コンビニにつくなり名前は一方通行に駆け寄ってきた。
心細かったのか、そのまま一方通行の腕にしがみつこうとしてくる。
公衆の面前でされた恥ずかしさから一方通行は怒鳴ってしまった。
「ったく……オイ、此処であンま引っ付くな!」
「ごめん」
しょんぼりされてしまっては一方通行も強く出られない。
「……そこまで嫌がってねェけど」
「じゃあ手だけ」
「名前……?」
名前は一方通行の手をそっと握った。
そこで初めて一方通行は名前の手が震えていることに気がついた。
「怖いならさっさと連絡しろっての」
「うう、そろそろ諦めて帰ったと思って……でもコンビニから見えないところで見張られてる可能性もあるんだよね」
「そォいうこった」
「つけてきたの、誰だったんだろう」
「……悪ィ。敵に心当たりが多すぎる」
「……あなたの?」
一方通行の握る手に冷や汗が伝った。
「オマエのことは巻き込まねェよォにするから」
彼女の為を思うなら離れて暮らすべきだ。
一方通行の内で声が聞こえた。
しかし名前と離れるのが苦痛で、彼は言い出せない。
冷たい風が露出した皮膚に突き刺さった。
その時、名前の手に力が込められた。
「私はあなたの味方だからね」
見ると名前はじっとこちらを見つめている。
一方通行の胸に温かい焔が灯った。
堪えようとしても笑いが漏れた。
「く、ははッ……手ェ震えさせてナニ言ってやがる」
「真剣に言ってるのに!?」
名前は小さく息を吐いた。
「私、無能力者だし、力にはなれないかもしれないけど」
「あァ、此処にいれば……守る、俺が」
「ありがとう」
「……」
違ェ。
一方通行は心の内で否定した。
礼を言うのはこちらの方だ。
名前を守ってでも、俺が傍にいて欲しいのだ。
一方通行は名前と握る反対の手を見つめた。
誰も守ったことのない手は、以前より一回り大きくなっていることに気が付いた。
to be continued...