chapter 2
夢小説設定
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翌日から一方通行は学校近くで待つようになった。
同居人の存在は苗字以外の友人に隠しているため、近所のコーヒーショップで待つようにしている。
名前と帰るようになって2週間ほどになるが、彼女が待ち遠しい。
注文したホットコーヒーを一口含む。
香ばしい香りを嗅ぎながら彼は思う。
家で待つよりもどこか新鮮な気分だ。
それは世間で言うデートの待ち時間に似ているのだが、彼はそれを知らない。
コーヒーが残り少なくなった頃、ポケットに入れた携帯が震えた。
名前だ。学校が終わったようだ。
一方通行は残りのコーヒーを飲み干した。
店を出ると名前は入口の横に立っていた。
彼女はほっとしたように笑った。
「おまたせ」
「別に。行くぞ」
「うん」
今日はスーパーの特売日だ。
二人で買い物に行けることが名前は嬉しかった。
「いつまで一緒に帰れるんだろうね」
「……さァな」
「一緒に買い物行ったりするの、楽しいけど、警戒しなきゃいけないからなぁ」
「……まァ、このままでってワケにもいかねェよな」
「そう、それだよねぇ」
溜め息をつく。
あれから後をつけられた様子はないようだ。
向こうからアクションがないと、こちらはどうしようもない。
目的のスーパーへと着いた。
特売日だけあって人も多い。
混み合う店内をうまく歩きながら当分の食料を集めていく。
「卵お一人様1パック限り……!明日から卵使い放題だよ!」
「ンなに卵食いたいかァ?」
「卵は万能でしょ。一方通行にとってのお肉だよ」
「ふゥン」
少しばかり買いすぎてしまっただろうか。
荷物は一方通行が重い方を持っている。
名前は学校の荷物もあるので軽い方も持つことを申し出た。
しかし彼女は買ったのは私だから、と言って聞かなかった。
帰宅し、買った物を冷蔵庫へ収めていく。
さて夕食を作るかというとき名前が声を上げた。
「あ、」
「どォしたよ」
一方通行が訊くと彼女はばつが悪そうに呟いた。
「料理酒なくなってた……」
「無くてもイインじゃねェ?」
「今日は魚だし、無いのは心配だよ。パッと買ってくるから待ってて」
「オマエが行ったら駄目だろ。適当なのでイイよな」
一方通行は尻ポケットに財布を突っ込むと玄関に向かった。
「ごめん、ありがとう。いってらっしゃい」
「ン」
一方通行は近くのスーパーへと向かった。
タイムセールは終わったようだ。
上条が不幸だと叫んでいるのを横目に通りすぎ、料理酒を手に取る。
レジへと持っていくと店員がこちらを興味深そうに見ているのが気にかかった。
どォせ似合わねェよ。
心中でそう吐き捨てた。
この生活がいつまで続くのか、一方通行は考える。
自分は暇な日々を過ごしているし、名前と行く買い物も悪くない。
だが彼女を一人で歩かせられないのも困ったものだ。
名前を脅かす者を早く潰したい。
早く足を掴まければならない。
一方通行は迂闊だった。
部屋の中が安全だとは限らない。
人の部屋へ押し入ることも厭わない、荒事を好む者も存在するのだ。
203号室。
プレートはいつも見慣れた状態だ、問題はドアだった。
アルミ製のドアがへこみ、鍵が破壊されていた。
血の気が引いていくのを感じた。
勢いよくドアを開ける。
スキルアウト――武装無能力集団。
土足で荒らしていた男たちが振り返った。
カーテンは引き裂かれ窓ガラスは割れている。
部屋の中のあらゆるものは破壊され、とても使えるような状態ではない。
名前の姿はなかった。
床に打ち捨てられたウサギが空虚な瞳で一方通行を見つめていた。
to be continued...