chapter1
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「さて、買い物に行こうか」
朝食を食べ終えた名前は、彼に提案した。
一方通行は身一つでここにいる。
必要なものを買い揃えなければならなかった。
幸い今日は休日だ。時間はたっぷりある。
「おォ」
「お財布もちょっと余裕あるし、遠慮しなくていいよ!」
「いや、金には困ってねェし。自分で払う」
新しい友人兼同居人に尽くしたい気分だったのだが……断られてしまった。
「……そっか、財布は持ってたのね」
「あァ。どォせ気ィ遣って見栄張ってンだろ」
「うう……」
図星である。
彼にとって私とは一年一緒に暮らした同居人。
私のことはある程度お見通しなのだろう。
歯ブラシ、部屋着、下着、大体のものは買った。
「ねぇ一方通行、服は?」
「店決めてンだよ」
「へぇ。何かこだわりが?」
「まァな」
着いた場所はセブンスミストのメンズフロアだった。
その中でモノトーンを基調とした、個性的かつ大胆なデザインのものを置いている店に行った。
名前にはメンズファッションのことはわからない。
しかしこれだけは確信した。
――……これは着る人を選びそう。
しかし一方通行は選ばれた側(いや、選ぶ側なのだが)にいるようだ。
アルビノに近く人間離れした容貌に、ここの服は似合いそうだ。
彼は適当に気に入った服を上下3着ずつほど選び精算に行く。
「……」
「どォかしたか?」
自分では考えられない額に目を剥いていると、一方通行が訝しげな視線を寄越していた。
「いや、なんでも」
彼の金銭感覚が心配になった。
やはりレベル5になると奨学金も高額なのだろう。
……あまり良いご飯は作れないな、と不安になったりもした。
彼に舌がもし肥えているのなら……貧相な食事を出してしまうことになる。
「一方通行、もしかしてグルメだったりする?」
「はァ?なンだ突然」
「洋服代にかなりつぎ込んでたからさ、私あんまり良いもの作れないよ?」
「安心しろ。俺ァお前と暮らす前は冷凍食品とファミレスだったンだぜェ?」
「……あなたの健康が心配になったよ」
「ふン。大きなお世話だ」
帰ることには陽はすっかり傾いていた。
一方通行と歩きながら、確認して置かないといけないことを思い出した。
「ねぇ一方通行、聞きそびれたことがあるんだけど」
「なンだ」
「あなたの昨日までの、私たちの関係を教えて欲しい」
彼は目を丸くし、少し複雑そうな顔をして言った。
「……家族、だな」
「家族……家族かぁ。よかった、もし恋人だったら身の振り方とか?考えなくちゃいけないから」
「お前……俺に合わせようとはすンなよ」
半眼で苦々しい表情で言われる。
言葉の真意が測りかねるが、肯きながら答えた。
「うん。大丈夫だよ」
「人のこと、あンま信用すンなよ」
「……うん?あなたはいいよね」
「どォかねェ」
赤い瞳は遠くの夕日を映していた。
To be continued...
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