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※拍手ログ④ショタセラ派生
一歩通行を職場に送り出し洗濯物を干した頃、懐かしいお客さんが現れた。
小さな一方通行がベッドで丸くなっていたのだ。
「久しぶり!」
「ん……俺の、同居人……か?」
お客さんこと一方通行少年は、寝ぼけ瞼をこすりながらぼんやりと私を眺めた。
彼は私が未来の自分の同居人であることがわかったらしい。
おかしい。小さな彼と出会ったのは私の夢だと思っていたのに。
「覚えてるの?夢だと思ってたのに」
「俺も夢だと思ってたんだが……」
「不思議なこともあるものね……」
まぁ理由を考えても仕方ない。
私が同居人であると思っている彼に、私は手の甲を見せた。
そこにあるのは、白く輝く指輪だ。
もうただの同居ではない。
あの頃より一方通行は大事な人になった。
「これわかる?」
「指輪。ダイヤモンドか?」
「うん、結婚指輪っていうんだよ」
「けっこン、したのか」
「そうだよ」
「……未来の俺とは、どォなったンだ?」
一方通行は寂しそうに俯いた。
この子はなにか、ネガティブな勘違いをしているのだろうか。
それとも、こんなお嫁さんでがっかりした、とか?
「未来のあなたに貰ったんだよ」
「……!」
言葉の意味がわかったらしい。
彼は驚いたように私を見上げた。
色々な感情のこもった視線に、この子どもが愛おしくなる。
「……未来のお嫁さんがこんなのでがっかりしちゃったかな?」
彼は首をぶんぶんと振った。
その様子に私はほっとして息を吐いた。
そして小さな身体を抱きしめた。
この頃、既に彼は一人ぼっちで、家族を望んでいたのだ。
耳元で震える声がした。
「おれと、一緒にいてくれるのか?」
「そうだよ。もうあなたは一人じゃないよ」
「ずっと一緒?」
「ずっーっと一緒だよ。過去に戻ったらいつか私を見つけてね」
たぶん、声を掛けるのは私になるのだろうけれど。
なにも知らない彼はこくり、と頷いた。
今日は仕事が早く終わった。
一方通行は上機嫌でマンションの廊下を歩いていた。
今日は肉の日、晩飯はすき焼きをリクエストした。
同じ鍋をものを名前とつつくのはなんだか好きだ。
家族みたいで。家族だが。
ドアを開けると名前が駆け寄ってくる音がする。
これも嬉しい。今晩もおかえりのキスもあると文句なし、だ。
「おかえりなさい」
「ごめんね、すき焼きは明日にさせて」
「イイけど、なンでだ?」
「小さなお客さんが来たの。今日はその子のリクエスト優先で、ハンバーグね」
「はンばーぐ!」
「な、なン……」
一方通行は言葉を失った。
名前の後から現れた、白い髪に赤い瞳をした子ども。
どう見てもかつての自分ではないか。
「この子が私のベッドで寝てたんだ。起きたらここにいたんだって」
「……なンでもォ打ち解けてンの?」
「実は前にね、夢で会ったことがあるの。この子も覚えてたみたいで……不思議なこともあるものね」
通常起こり得ないことは自分が身を持って経験している。
だから過去の自分がここにいることも、「不思議なこと」として片付けてやってもいい。
だが過去の自分とはいえ、晩飯リクエストを優先させた。
面白くない。
子ども相手とはいえどうにも苛立ってしまう。
夜、そろそろ寝ようかという時、クソガキの発言に俺はカチンと来た。
「名前と寝る」
「俺は?」
「イイ大人がかっこわりィ!」
「このクソガキ!名前はオマエのじゃねェ、俺のモンなンだよ!」
百歩譲って晩飯がハンバーグになったのは許してもいい。
笑顔で食べてる姿を見る名前は幸せそうだった。
だが名前だけは譲れる筈がない。
こればかりは我慢ならず激昂した。
しかし、名前は俺の味方ではなかった。
彼女は諭すように口を開いた。
「一方通行。この子の時の辛さ、あなたが一番わかってるよね?せめて今晩だけ……」
「ぐゥ……」
暗に大人になれ、と言っているのがわかる。
名前にそう言われては強くは出られず、俺は押し黙った。
「自分のベッドか、床。どっちがいい?」
「…………床」
クソガキのために早めに消灯し、どれだけの時間が経っただろう。
2つ聞こえる寝息を余所に俺はまだ眠れずにいた。
名前の温もりに慣れてしまったのだろうか。
自分には名前が必要であることを再認識してしまい、少し悲しい。
むくりと起き上がると、ベッドの奥にいるクソガキを壁際まで転がして名前も中央へとずらす。
空いたスペースに自分も寝転がれば案外、いけた。
――なンだ、3人でもいけるじゃねェか。
寝返りは打てないが名前とくっつけば温かい。
心が安らぐのを感じつつも、徐々にどす黒い感情が渦巻き始めていた。
名前を子どもの頃の自分に奪われた。
過去の俺など、他人みたいなものだ。
当時の気持ちを思い出すことはできても今とは違う。
名前は俺のものなのに。
俺の、俺のなのに。
沸きあがる独占欲のままに後ろから名前を抱きしめる。
肩に噛みついてしまいたいのを我慢して、首筋に唇を押し付け吸い上げた。
「……んー」
寝ぼけた名前が身をよじるが、離さない。
唇を離すと赤い痕がついたことに満足し、少し落ち付いた。
未だ名前とクソガキが抱き合うようにしてるのが気に食わないが、一先ずは眠りにつけそうだ。
名前を子どもから引き離すようにこちらへと抱きよせ、華奢な肩に鼻先を埋めた。
end
一歩通行を職場に送り出し洗濯物を干した頃、懐かしいお客さんが現れた。
小さな一方通行がベッドで丸くなっていたのだ。
「久しぶり!」
「ん……俺の、同居人……か?」
お客さんこと一方通行少年は、寝ぼけ瞼をこすりながらぼんやりと私を眺めた。
彼は私が未来の自分の同居人であることがわかったらしい。
おかしい。小さな彼と出会ったのは私の夢だと思っていたのに。
「覚えてるの?夢だと思ってたのに」
「俺も夢だと思ってたんだが……」
「不思議なこともあるものね……」
まぁ理由を考えても仕方ない。
私が同居人であると思っている彼に、私は手の甲を見せた。
そこにあるのは、白く輝く指輪だ。
もうただの同居ではない。
あの頃より一方通行は大事な人になった。
「これわかる?」
「指輪。ダイヤモンドか?」
「うん、結婚指輪っていうんだよ」
「けっこン、したのか」
「そうだよ」
「……未来の俺とは、どォなったンだ?」
一方通行は寂しそうに俯いた。
この子はなにか、ネガティブな勘違いをしているのだろうか。
それとも、こんなお嫁さんでがっかりした、とか?
「未来のあなたに貰ったんだよ」
「……!」
言葉の意味がわかったらしい。
彼は驚いたように私を見上げた。
色々な感情のこもった視線に、この子どもが愛おしくなる。
「……未来のお嫁さんがこんなのでがっかりしちゃったかな?」
彼は首をぶんぶんと振った。
その様子に私はほっとして息を吐いた。
そして小さな身体を抱きしめた。
この頃、既に彼は一人ぼっちで、家族を望んでいたのだ。
耳元で震える声がした。
「おれと、一緒にいてくれるのか?」
「そうだよ。もうあなたは一人じゃないよ」
「ずっと一緒?」
「ずっーっと一緒だよ。過去に戻ったらいつか私を見つけてね」
たぶん、声を掛けるのは私になるのだろうけれど。
なにも知らない彼はこくり、と頷いた。
今日は仕事が早く終わった。
一方通行は上機嫌でマンションの廊下を歩いていた。
今日は肉の日、晩飯はすき焼きをリクエストした。
同じ鍋をものを名前とつつくのはなんだか好きだ。
家族みたいで。家族だが。
ドアを開けると名前が駆け寄ってくる音がする。
これも嬉しい。今晩もおかえりのキスもあると文句なし、だ。
「おかえりなさい」
「ごめんね、すき焼きは明日にさせて」
「イイけど、なンでだ?」
「小さなお客さんが来たの。今日はその子のリクエスト優先で、ハンバーグね」
「はンばーぐ!」
「な、なン……」
一方通行は言葉を失った。
名前の後から現れた、白い髪に赤い瞳をした子ども。
どう見てもかつての自分ではないか。
「この子が私のベッドで寝てたんだ。起きたらここにいたんだって」
「……なンでもォ打ち解けてンの?」
「実は前にね、夢で会ったことがあるの。この子も覚えてたみたいで……不思議なこともあるものね」
通常起こり得ないことは自分が身を持って経験している。
だから過去の自分がここにいることも、「不思議なこと」として片付けてやってもいい。
だが過去の自分とはいえ、晩飯リクエストを優先させた。
面白くない。
子ども相手とはいえどうにも苛立ってしまう。
夜、そろそろ寝ようかという時、クソガキの発言に俺はカチンと来た。
「名前と寝る」
「俺は?」
「イイ大人がかっこわりィ!」
「このクソガキ!名前はオマエのじゃねェ、俺のモンなンだよ!」
百歩譲って晩飯がハンバーグになったのは許してもいい。
笑顔で食べてる姿を見る名前は幸せそうだった。
だが名前だけは譲れる筈がない。
こればかりは我慢ならず激昂した。
しかし、名前は俺の味方ではなかった。
彼女は諭すように口を開いた。
「一方通行。この子の時の辛さ、あなたが一番わかってるよね?せめて今晩だけ……」
「ぐゥ……」
暗に大人になれ、と言っているのがわかる。
名前にそう言われては強くは出られず、俺は押し黙った。
「自分のベッドか、床。どっちがいい?」
「…………床」
クソガキのために早めに消灯し、どれだけの時間が経っただろう。
2つ聞こえる寝息を余所に俺はまだ眠れずにいた。
名前の温もりに慣れてしまったのだろうか。
自分には名前が必要であることを再認識してしまい、少し悲しい。
むくりと起き上がると、ベッドの奥にいるクソガキを壁際まで転がして名前も中央へとずらす。
空いたスペースに自分も寝転がれば案外、いけた。
――なンだ、3人でもいけるじゃねェか。
寝返りは打てないが名前とくっつけば温かい。
心が安らぐのを感じつつも、徐々にどす黒い感情が渦巻き始めていた。
名前を子どもの頃の自分に奪われた。
過去の俺など、他人みたいなものだ。
当時の気持ちを思い出すことはできても今とは違う。
名前は俺のものなのに。
俺の、俺のなのに。
沸きあがる独占欲のままに後ろから名前を抱きしめる。
肩に噛みついてしまいたいのを我慢して、首筋に唇を押し付け吸い上げた。
「……んー」
寝ぼけた名前が身をよじるが、離さない。
唇を離すと赤い痕がついたことに満足し、少し落ち付いた。
未だ名前とクソガキが抱き合うようにしてるのが気に食わないが、一先ずは眠りにつけそうだ。
名前を子どもから引き離すようにこちらへと抱きよせ、華奢な肩に鼻先を埋めた。
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