ヤラズノアメ
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今日は昨日と打って変わって良い天気だ。
びしょ濡れだったアラシヤマの服を洗い、ベランダに干した。
自分のものは自分でやると言っていたけど、洗い分けするのも面倒なので、全部まとめて洗ってしまった。
もちろん、アラシヤマの下着も。
「そやさかい自分でやる言うてますやろ!男の下着なんかいらって恥ずかしゅうあらへんの?!」
「ぜーんぜん。お父さんとおじいちゃんのも洗ってたから気にしたことないなぁ。」
「それとこれとは話がちゃいますぅ!」
プルプル震えながら訴える彼を一瞥し、ハァと溜め息を吐く。
「そんなことより朝ごはんにしましょー。」
「ちょっナルはん!聞いてはる?わての話!」
「いいからいいから、ご飯食べよー。」
訴えるアラシヤマをおいて階段を降り、キッチンへと向かう。
エプロンをつけて朝食の準備にかかった。
「お味噌汁とー、ご飯。おかずは卵焼きと海苔でいいかな。」
手際良く進めるナルの後姿を扉の陰からこっそり覗くアラシヤマ。
「ホンマになんやの、あのお人。警戒心も無おしてえらいマイペースやし。」
ブツブツ呟いているとナルの声が聞こえた。
「できたよー。」
「・・!へ、へぇ!今行きますぅ!」
今来た風を装って、おずおずと食卓についた。
『いただきます。』
味噌の香りが湯気と共に鼻をくすぐる。
やはり和食は良いものだ、と日本人としてしみじみ感じる。
「しょっぱくない?」
「ちょうどえぇ味加減どす。」
「それなら良かった。」
それだけ聞くと、また黙々と食を進めるナル。
アラシヤマもそれに倣って、黙々と箸を運んだ。
「食べたらさ、買い物行かない?」
「へ?」
「服とか下着ないと困るでしょ?」
「あぁ、まぁそうどすなぁ・・」
何かを案ずるようにチラチラと視線をよこすアラシヤマ。
「お金のことは気にしないで。あなたの体で払ってもらうから。」
「へぇ・・えっ?!体で?!」
「そう、働かざる者食うべからずって昔から言うでしょ?」
「なんやぁ、そういうことかいな・・」
ホッとしたアラシヤマの顔を見て、何勘違いしてるんだかと呆れながら、食器を台所まで運びスポンジを握りしめた。
一通り片付けを済ませ、出かける準備をする。
「さ、行こうか。」
「へぇ。」
アラシヤマが今着ているのは、父のおさがりであるTシャツに短パン。
明らかにサイズが合っていないので、ちょっと可哀想になるくらいパッツパツだ。
「ごめんね?行くまでの辛抱だから、今はそれで我慢してね。」
「へぇ、大丈夫どす。むしろ申し訳ないくらいやし。」
「気にしなくていいから。じゃ、行こうか。」
ガラガラっと店のシャッターを下ろし鍵を閉めた。
晴天とはいえ、道端には所々水溜りができている。
ジメジメとした日本特有の湿気と陽射しは、これから蒸し暑い夏を迎えるのだなと思わせる。
「ついたよ。」
しばらく歩くと大通りに面した大型スーパーに到着した。
見たことあるような無いような、白い鳩のマークが描かれている。
「紳士服は何階かなー。」
「2階どすな。」
案内板を確認して売り場へと向かった。
広々としたフロアには庶民的スーパーらしく、整然とし過ぎない絶妙な雑然さで、商品が陳列されている。
「まずは洋服から買おうか。どんなのが良い?」
「シンプルやったら何でも・・」
「こんな感じのは?」
差し出されたのはネイビーの半袖のワイシャツ。
「アラシヤマくん、顔立ちが良いから何でも似合いそうだね。」
「そ、そうどすか?」
恥ずかしげもなくサラッと述べるナルに動揺して少し顔が赤くなる。
「あとコレとコレも良さそう。」
何着か提示されたものはどれもシンプルで。
アラシヤマもそこまで拘りがあるわけではないので、特に拒否することもなくナルのチョイスにすべて任せた。
「アラシヤマくん何でも似合いそうだけど、意外と体格が良いからサイズ選び難しいねぇ。」
「そないに体格がええなんて言われたことあらへんのやけど・・」
「そう?身長何センチなの?」
「185やけど。」
「それで大きくないって言ったら、世の男性陣に嫌われちゃうよ。」
「きっ、嫌われる?!こっちの世界でもわては嫌われもんどすか・・」
「ちょ、何泣いてるの?!冗談だから!そうじゃなくて、羨ましがられるっていうか羨望の的っていうか・・!」
ハラハラと涙を流すアラシヤマを必死で慰めながら、元の世界ではどんな人生を歩んできたのかと少し不憫に思うナルであった。
--------
「アラシヤマくんより大きい人、そんなにいるの?」
「へぇ、こんくらいはザラどす。なんやったら2メートル越えの大食い木偶の坊がおりますわ。」
「それは本当に人間?」
びしょ濡れだったアラシヤマの服を洗い、ベランダに干した。
自分のものは自分でやると言っていたけど、洗い分けするのも面倒なので、全部まとめて洗ってしまった。
もちろん、アラシヤマの下着も。
「そやさかい自分でやる言うてますやろ!男の下着なんかいらって恥ずかしゅうあらへんの?!」
「ぜーんぜん。お父さんとおじいちゃんのも洗ってたから気にしたことないなぁ。」
「それとこれとは話がちゃいますぅ!」
プルプル震えながら訴える彼を一瞥し、ハァと溜め息を吐く。
「そんなことより朝ごはんにしましょー。」
「ちょっナルはん!聞いてはる?わての話!」
「いいからいいから、ご飯食べよー。」
訴えるアラシヤマをおいて階段を降り、キッチンへと向かう。
エプロンをつけて朝食の準備にかかった。
「お味噌汁とー、ご飯。おかずは卵焼きと海苔でいいかな。」
手際良く進めるナルの後姿を扉の陰からこっそり覗くアラシヤマ。
「ホンマになんやの、あのお人。警戒心も無おしてえらいマイペースやし。」
ブツブツ呟いているとナルの声が聞こえた。
「できたよー。」
「・・!へ、へぇ!今行きますぅ!」
今来た風を装って、おずおずと食卓についた。
『いただきます。』
味噌の香りが湯気と共に鼻をくすぐる。
やはり和食は良いものだ、と日本人としてしみじみ感じる。
「しょっぱくない?」
「ちょうどえぇ味加減どす。」
「それなら良かった。」
それだけ聞くと、また黙々と食を進めるナル。
アラシヤマもそれに倣って、黙々と箸を運んだ。
「食べたらさ、買い物行かない?」
「へ?」
「服とか下着ないと困るでしょ?」
「あぁ、まぁそうどすなぁ・・」
何かを案ずるようにチラチラと視線をよこすアラシヤマ。
「お金のことは気にしないで。あなたの体で払ってもらうから。」
「へぇ・・えっ?!体で?!」
「そう、働かざる者食うべからずって昔から言うでしょ?」
「なんやぁ、そういうことかいな・・」
ホッとしたアラシヤマの顔を見て、何勘違いしてるんだかと呆れながら、食器を台所まで運びスポンジを握りしめた。
一通り片付けを済ませ、出かける準備をする。
「さ、行こうか。」
「へぇ。」
アラシヤマが今着ているのは、父のおさがりであるTシャツに短パン。
明らかにサイズが合っていないので、ちょっと可哀想になるくらいパッツパツだ。
「ごめんね?行くまでの辛抱だから、今はそれで我慢してね。」
「へぇ、大丈夫どす。むしろ申し訳ないくらいやし。」
「気にしなくていいから。じゃ、行こうか。」
ガラガラっと店のシャッターを下ろし鍵を閉めた。
晴天とはいえ、道端には所々水溜りができている。
ジメジメとした日本特有の湿気と陽射しは、これから蒸し暑い夏を迎えるのだなと思わせる。
「ついたよ。」
しばらく歩くと大通りに面した大型スーパーに到着した。
見たことあるような無いような、白い鳩のマークが描かれている。
「紳士服は何階かなー。」
「2階どすな。」
案内板を確認して売り場へと向かった。
広々としたフロアには庶民的スーパーらしく、整然とし過ぎない絶妙な雑然さで、商品が陳列されている。
「まずは洋服から買おうか。どんなのが良い?」
「シンプルやったら何でも・・」
「こんな感じのは?」
差し出されたのはネイビーの半袖のワイシャツ。
「アラシヤマくん、顔立ちが良いから何でも似合いそうだね。」
「そ、そうどすか?」
恥ずかしげもなくサラッと述べるナルに動揺して少し顔が赤くなる。
「あとコレとコレも良さそう。」
何着か提示されたものはどれもシンプルで。
アラシヤマもそこまで拘りがあるわけではないので、特に拒否することもなくナルのチョイスにすべて任せた。
「アラシヤマくん何でも似合いそうだけど、意外と体格が良いからサイズ選び難しいねぇ。」
「そないに体格がええなんて言われたことあらへんのやけど・・」
「そう?身長何センチなの?」
「185やけど。」
「それで大きくないって言ったら、世の男性陣に嫌われちゃうよ。」
「きっ、嫌われる?!こっちの世界でもわては嫌われもんどすか・・」
「ちょ、何泣いてるの?!冗談だから!そうじゃなくて、羨ましがられるっていうか羨望の的っていうか・・!」
ハラハラと涙を流すアラシヤマを必死で慰めながら、元の世界ではどんな人生を歩んできたのかと少し不憫に思うナルであった。
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「アラシヤマくんより大きい人、そんなにいるの?」
「へぇ、こんくらいはザラどす。なんやったら2メートル越えの大食い木偶の坊がおりますわ。」
「それは本当に人間?」