ヤラズノアメ
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「海に行くぞー!」
「毎度のことやけど唐突やなぁ。」
もう夏が終わってしまう。
最近は秋の虫まで鳴いている。
よく考えたら、まだ夏っぽいことをしていないんじゃ?と思い立ったが吉日。
ナルとアラシヤマは海に来た。
「潮風だねぇ。」
「そうどすなぁ。」
キラキラと太陽の光を反射する水面。
もうすぐ秋とはいえ、やはりまだ夏の暑さが残る。
「日差しが眩しいねぇ。」
「そうどすなぁ。」
「トロピカルなフルーツジュース飲みたくなるねぇ。」
「そうどすなぁ。」
「ねぇ、アラシヤマくん。」
「そうどすなぁ。」
ボーっと海を見つめるアラシヤマ。
さっきからずっと生返事だ。
「さっきから“そうどすなぁ”しか言ってないんだけど、この人。」
「なんやすんまへん。つい昔のことを思い出してもうて。」
なんだか感傷的なような、何かを懐かしむような、そして少し嬉しそうな表情を浮かべている。
「何?昔の彼女でも思い出した?」
「はぁっ?!なななな何言わはるの?!そんなんあるわけないでっしゃろ!」
「そんな動揺しちゃってー。」
ニヤニヤした顔を抑えられるはずもなく、つい根掘り葉掘り聞きたい衝動に駆られる。
アラシヤマの過去なんてほとんど知らない。
だから少しくらい知りたいなぁ、なんて思ってしまう。
「嘘ちゃいますぅ!大体、仕事柄そんなんに現抜かしてる暇なんかありまへんわ。」
「なんだぁ、アラシヤマくんの恋バナは無しかぁ。」
「何、その顔?いかにも、つまらんて書いてありますえ。」
ブスっとしたアラシヤマが可笑しくて、笑いが込み上げてきた。
「あはは、アラシヤマくんもおセンチな時があるのねぇ。」
「失礼な!わてかてたまには感傷に浸りたい時くらいありますわ。」
「そっかー。」
また二人で海を見つめる。
今度はふざけたりしないで、お互い色んな記憶を呼び起こしながら、各々の景色を眺めた。
高いところにあった太陽は、もう水平線に落ちようとしている。
「夕陽が綺麗どすな。」
「そうだね。」
「昔、ある島で見た夕陽を思い出しましたわ。」
「そっか。」
「ナルはんにも見せてあげたいわ、その夕陽。」
「うん。」
「もう無理かもしれへんけど・・」
視線を落とすアラシヤマの姿が横目に映る。
きっと何かあったんだろう。
だけどそんな顔されたら、理由を聞けそうにもない。
だから気付かないフリをして明るく努める。
「連れてってよ、私も見てみたいな。」
少し驚いた表情でこちらを見やるアラシヤマ。
「行こう、アラシヤマくん。ガイドは頼んだよ!」
しんみりした雰囲気をかき消すように、明るい声で答えた。
それを察したのか、アラシヤマも少しだけ目元を細めた。
「よーし、そろそろ時間もアレだし、夕飯でも食べに行こう!」
「そうどすな、お腹空いてきましたわ。」
「久々のお出かけだから、たまには贅沢しちゃおう!」
「えぇぇ、普段節約ばっか言うてはるのにえぇのん?」
「たまにだから良いんだもーん。」
「はぁ・・」
さっきまでの感傷などなかったかのよう。
少しでもアラシヤマが元気になってくれたら嬉しいな、と思いながらイタリアンを美味しくいただくナルであった。
ーーーーーーーー
「アラシヤマくーん・・」
「なんですの、世紀末みたいな顔して。」
「今月ピンチかもぉ!!!」
「だから言わんこっちゃない。」
「毎度のことやけど唐突やなぁ。」
もう夏が終わってしまう。
最近は秋の虫まで鳴いている。
よく考えたら、まだ夏っぽいことをしていないんじゃ?と思い立ったが吉日。
ナルとアラシヤマは海に来た。
「潮風だねぇ。」
「そうどすなぁ。」
キラキラと太陽の光を反射する水面。
もうすぐ秋とはいえ、やはりまだ夏の暑さが残る。
「日差しが眩しいねぇ。」
「そうどすなぁ。」
「トロピカルなフルーツジュース飲みたくなるねぇ。」
「そうどすなぁ。」
「ねぇ、アラシヤマくん。」
「そうどすなぁ。」
ボーっと海を見つめるアラシヤマ。
さっきからずっと生返事だ。
「さっきから“そうどすなぁ”しか言ってないんだけど、この人。」
「なんやすんまへん。つい昔のことを思い出してもうて。」
なんだか感傷的なような、何かを懐かしむような、そして少し嬉しそうな表情を浮かべている。
「何?昔の彼女でも思い出した?」
「はぁっ?!なななな何言わはるの?!そんなんあるわけないでっしゃろ!」
「そんな動揺しちゃってー。」
ニヤニヤした顔を抑えられるはずもなく、つい根掘り葉掘り聞きたい衝動に駆られる。
アラシヤマの過去なんてほとんど知らない。
だから少しくらい知りたいなぁ、なんて思ってしまう。
「嘘ちゃいますぅ!大体、仕事柄そんなんに現抜かしてる暇なんかありまへんわ。」
「なんだぁ、アラシヤマくんの恋バナは無しかぁ。」
「何、その顔?いかにも、つまらんて書いてありますえ。」
ブスっとしたアラシヤマが可笑しくて、笑いが込み上げてきた。
「あはは、アラシヤマくんもおセンチな時があるのねぇ。」
「失礼な!わてかてたまには感傷に浸りたい時くらいありますわ。」
「そっかー。」
また二人で海を見つめる。
今度はふざけたりしないで、お互い色んな記憶を呼び起こしながら、各々の景色を眺めた。
高いところにあった太陽は、もう水平線に落ちようとしている。
「夕陽が綺麗どすな。」
「そうだね。」
「昔、ある島で見た夕陽を思い出しましたわ。」
「そっか。」
「ナルはんにも見せてあげたいわ、その夕陽。」
「うん。」
「もう無理かもしれへんけど・・」
視線を落とすアラシヤマの姿が横目に映る。
きっと何かあったんだろう。
だけどそんな顔されたら、理由を聞けそうにもない。
だから気付かないフリをして明るく努める。
「連れてってよ、私も見てみたいな。」
少し驚いた表情でこちらを見やるアラシヤマ。
「行こう、アラシヤマくん。ガイドは頼んだよ!」
しんみりした雰囲気をかき消すように、明るい声で答えた。
それを察したのか、アラシヤマも少しだけ目元を細めた。
「よーし、そろそろ時間もアレだし、夕飯でも食べに行こう!」
「そうどすな、お腹空いてきましたわ。」
「久々のお出かけだから、たまには贅沢しちゃおう!」
「えぇぇ、普段節約ばっか言うてはるのにえぇのん?」
「たまにだから良いんだもーん。」
「はぁ・・」
さっきまでの感傷などなかったかのよう。
少しでもアラシヤマが元気になってくれたら嬉しいな、と思いながらイタリアンを美味しくいただくナルであった。
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「アラシヤマくーん・・」
「なんですの、世紀末みたいな顔して。」
「今月ピンチかもぉ!!!」
「だから言わんこっちゃない。」