うちよそ
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小林宜嗣は、恋を知らない。
加古望に片想いしている秋津豊久は、そんな宜嗣にラブレターの添削を頼んできた。
俺に任せていいのかなぁ?
しかし、無下にも出来ない。
パステルピンクの封筒を開け、中のシンプルな便箋を取り出した。
加古望様へ
あなたは、私の人生に突然現れた花です。
美しく咲き誇る枯れない花のように思います。けれど、それは造花ではなく、あなたという生きた花です。私は、あなたの存在に惹かれた一匹の蝶のような気がします。
きっと、あなたに惹かれた虫はたくさんいて、有象無象のひとりかもしれませんが、私のことを知ってほしいです。
あなたが強いことは承知しておりますが、私は全ての困難から、あなたを守りたいです。人生を共に歩めたら、この上なく幸せです。
どうか、私の手を取っていただけませんか?
ご一考くださると幸いです。
秋津豊久より
「どうだ?」
「なんと言うか、情熱的ですね。秋津さんらしい」
特に、直さなくてもいいと思った。
「このまま、渡しましょう」
「よし、渡してくる!」
即断即決。豊久は、一度隊室に寄り、封をしてから、加古の元を訪れる。
「こんにちは、加古さん」
「こんにちは、秋津くん」
「こちら、受け取ってください!」
「手紙ね?」
「恋文です」
恋文。こっそり様子を窺っていた宜嗣は、古風な言い回しをするな、と思った。
「そうなのね。ありがとう、秋津くん」
「はい!」
両手で差し出された手紙を、受け取る加古。
「後で、じっくり読むわ。それじゃあね」
「はい! よろしくお願いします!」
一礼する豊久。
くるり、と踵を返し、宜嗣の方へ歩んで来た。
「ノリ、見てたか?」
「はい。あとは、望ちゃん次第ですね」
「書くのに、三日もかかった。不甲斐ない」
「でも、いい文章でしたよ」
「ありがとうな」
「いえいえ」
ふと、宜嗣は、豊久に訊いてみたいことを思い出す。
「秋津さんにとって、恋ってなんですか?」
「心の中の特別席に座ってほしい人を想うこと、だな」
「特別席?」
「俺の中には、色んな椅子があるんだ。そのひとつに、立派な玉座があってな。彼女に、そこに座ってもらいたい」
「へぇ。なるほど」
宜嗣にも、特別はある。幼馴染みの席が、それに近かった。
「秋津隊のみんなは、どんな席ですか?」
「アイツらは、同じソファーに座ってる」
秋津隊の隊室での、いつもの光景だ。きっと、一緒にモニターを見ているのだろう。
「ノリは、真っ白な木製の椅子に座ってるぞ」
「どういう意味です?」
「どんな色にもなれる可能性があるってことだ。おまえの未来は、開けてる感じがする」
「それは……ありがとうございます……」
豊久は、宜嗣の背中を軽く叩き、「真っ直ぐ生きるのが、一番早いぞ」と言った。
加古望に片想いしている秋津豊久は、そんな宜嗣にラブレターの添削を頼んできた。
俺に任せていいのかなぁ?
しかし、無下にも出来ない。
パステルピンクの封筒を開け、中のシンプルな便箋を取り出した。
加古望様へ
あなたは、私の人生に突然現れた花です。
美しく咲き誇る枯れない花のように思います。けれど、それは造花ではなく、あなたという生きた花です。私は、あなたの存在に惹かれた一匹の蝶のような気がします。
きっと、あなたに惹かれた虫はたくさんいて、有象無象のひとりかもしれませんが、私のことを知ってほしいです。
あなたが強いことは承知しておりますが、私は全ての困難から、あなたを守りたいです。人生を共に歩めたら、この上なく幸せです。
どうか、私の手を取っていただけませんか?
ご一考くださると幸いです。
秋津豊久より
「どうだ?」
「なんと言うか、情熱的ですね。秋津さんらしい」
特に、直さなくてもいいと思った。
「このまま、渡しましょう」
「よし、渡してくる!」
即断即決。豊久は、一度隊室に寄り、封をしてから、加古の元を訪れる。
「こんにちは、加古さん」
「こんにちは、秋津くん」
「こちら、受け取ってください!」
「手紙ね?」
「恋文です」
恋文。こっそり様子を窺っていた宜嗣は、古風な言い回しをするな、と思った。
「そうなのね。ありがとう、秋津くん」
「はい!」
両手で差し出された手紙を、受け取る加古。
「後で、じっくり読むわ。それじゃあね」
「はい! よろしくお願いします!」
一礼する豊久。
くるり、と踵を返し、宜嗣の方へ歩んで来た。
「ノリ、見てたか?」
「はい。あとは、望ちゃん次第ですね」
「書くのに、三日もかかった。不甲斐ない」
「でも、いい文章でしたよ」
「ありがとうな」
「いえいえ」
ふと、宜嗣は、豊久に訊いてみたいことを思い出す。
「秋津さんにとって、恋ってなんですか?」
「心の中の特別席に座ってほしい人を想うこと、だな」
「特別席?」
「俺の中には、色んな椅子があるんだ。そのひとつに、立派な玉座があってな。彼女に、そこに座ってもらいたい」
「へぇ。なるほど」
宜嗣にも、特別はある。幼馴染みの席が、それに近かった。
「秋津隊のみんなは、どんな席ですか?」
「アイツらは、同じソファーに座ってる」
秋津隊の隊室での、いつもの光景だ。きっと、一緒にモニターを見ているのだろう。
「ノリは、真っ白な木製の椅子に座ってるぞ」
「どういう意味です?」
「どんな色にもなれる可能性があるってことだ。おまえの未来は、開けてる感じがする」
「それは……ありがとうございます……」
豊久は、宜嗣の背中を軽く叩き、「真っ直ぐ生きるのが、一番早いぞ」と言った。