うちよそ
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ボーダー本部内の自販機前の長椅子に座り、コーラを飲んでいた。そうしていたら、小林宜嗣がやって来て、紅茶を片手に隣に来る。
そして、夏海恭一は、頭を撫でられた。
「どうかしましたかぁ? ノリさん」
「いや、触り心地よさそうだから、つい」
「そうですかぁ。勇くんも、よく頭を撫でるんですけど、そんなにですか?」
「猫みたいに、ふわふわ」
どこか浮世離れした少年、恭一は、くすりと笑う。
「私は、全然猫っぽくないですけどねぇ」
「そうか?」
「勇くんが言ってました。猫っぽい雰囲気はあるけど、猫みたいに気まぐれじゃない。犬っぽい献身はあるけど、尻尾を振るワケじゃないって」
「つまり?」
「私は、人間らしく複雑って言われました」
ふわふわした雰囲気から、一匙のスパイスのような言葉が出た。人間という複雑な建造物を思い起こさせる言葉。迷宮のような建物。
そういえば前に、人間は多面的であるって言われたっけ。
「夏海も、やっぱり悩みとか色々ある?」
「ありますよぉ」
「どんなことか聞いてもいいか?」
「はい。私は、我を貫き通すタイプなんですけど、それって正しいのかなって。時々悩みます」
「我を貫く…………」
ふわふわした天然の恭一に、そんな頑固なイメージはなかったが、本人が言うなら、そうなのだろう。
「麗佳ちゃんの影響なんです」
「れいかちゃん?」
「三歳上の姉です。麗佳ちゃんは、芯があって、我が強くて、カッコいいんですよぉ」
「そうか。お姉さんのこと、好きなんだな」
「はい」と、頷く恭一。いつもより、ニコニコしている。
「麗佳ちゃんは、私のお手本なんです。道標です」
「きょうだいって、いいなぁ」
「ノリさんは、仲良い人が、いっぱい。羨ましいです」
そういえば、夏海が、冷泉と当真以外の同い年の仲間と話しているところを見たことがない。あまり気にしていなかったが、少し引っかかる。
しかし、これ以上突っ込んだ話はしない方がよさそうだと思った。
「そういや、秋津さんって、凄いよな。望ちゃんに何度フラれても立ち上がるから」
「そうですねぇ。豊さんは、心の強さと戦闘での強さが比例してる人なんです。だから、太刀川さんとは相性が悪いですね~」
「あー、それもあった。何度負けても折れないよな」
決して折れない一振りの刀のような男。恭一は、秋津豊久のことを、姉と同じくらい尊敬している。
「私は、半分折れちゃったから…………」
小さな声で呟く。
「半分、折れた?」
「私の剣は、折れました。だから、銃を持ったんですよ」
宜嗣は、寂しげに笑う恭一に、何も言えなかった。
ただ、この後輩が幸せであれ、と願い、頭をわしゃわしゃと撫でる。
「わぁっ!」
「ほらほら、今日は、うちと任務一緒だろ。行こうぜ」
「はぁい」
ふたりで、並んで歩いた。前よりも、距離が近付いた気がする。
そして、夏海恭一は、頭を撫でられた。
「どうかしましたかぁ? ノリさん」
「いや、触り心地よさそうだから、つい」
「そうですかぁ。勇くんも、よく頭を撫でるんですけど、そんなにですか?」
「猫みたいに、ふわふわ」
どこか浮世離れした少年、恭一は、くすりと笑う。
「私は、全然猫っぽくないですけどねぇ」
「そうか?」
「勇くんが言ってました。猫っぽい雰囲気はあるけど、猫みたいに気まぐれじゃない。犬っぽい献身はあるけど、尻尾を振るワケじゃないって」
「つまり?」
「私は、人間らしく複雑って言われました」
ふわふわした雰囲気から、一匙のスパイスのような言葉が出た。人間という複雑な建造物を思い起こさせる言葉。迷宮のような建物。
そういえば前に、人間は多面的であるって言われたっけ。
「夏海も、やっぱり悩みとか色々ある?」
「ありますよぉ」
「どんなことか聞いてもいいか?」
「はい。私は、我を貫き通すタイプなんですけど、それって正しいのかなって。時々悩みます」
「我を貫く…………」
ふわふわした天然の恭一に、そんな頑固なイメージはなかったが、本人が言うなら、そうなのだろう。
「麗佳ちゃんの影響なんです」
「れいかちゃん?」
「三歳上の姉です。麗佳ちゃんは、芯があって、我が強くて、カッコいいんですよぉ」
「そうか。お姉さんのこと、好きなんだな」
「はい」と、頷く恭一。いつもより、ニコニコしている。
「麗佳ちゃんは、私のお手本なんです。道標です」
「きょうだいって、いいなぁ」
「ノリさんは、仲良い人が、いっぱい。羨ましいです」
そういえば、夏海が、冷泉と当真以外の同い年の仲間と話しているところを見たことがない。あまり気にしていなかったが、少し引っかかる。
しかし、これ以上突っ込んだ話はしない方がよさそうだと思った。
「そういや、秋津さんって、凄いよな。望ちゃんに何度フラれても立ち上がるから」
「そうですねぇ。豊さんは、心の強さと戦闘での強さが比例してる人なんです。だから、太刀川さんとは相性が悪いですね~」
「あー、それもあった。何度負けても折れないよな」
決して折れない一振りの刀のような男。恭一は、秋津豊久のことを、姉と同じくらい尊敬している。
「私は、半分折れちゃったから…………」
小さな声で呟く。
「半分、折れた?」
「私の剣は、折れました。だから、銃を持ったんですよ」
宜嗣は、寂しげに笑う恭一に、何も言えなかった。
ただ、この後輩が幸せであれ、と願い、頭をわしゃわしゃと撫でる。
「わぁっ!」
「ほらほら、今日は、うちと任務一緒だろ。行こうぜ」
「はぁい」
ふたりで、並んで歩いた。前よりも、距離が近付いた気がする。