東リベ
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ミョウジナマエは、焦っていた。人を殺したからである。
だってさぁ。大切なあの子が、殴られて気絶してたんだよ。
だからミョウジは、コンクリートブロックで、場地圭介と喧嘩をしていた男の後頭部を殴った。
そうしたら、その男は、ぴくりとも動かなくなり、入れ替わるように、場地が意識を取り戻す。
「ミョウジ…………?」
「…………圭介」
茫然自失した男は、小さく大切な者の名前を呼んだ。
「あー…………もしかして、殺しちまったのか……?」
「殺し…………いや、俺は、そんなつもり…………」
「死んでる」
場地は、倒れている男の脈がないことを確かめ、事実を述べる。
「ミョウジ」
「…………」
自首しなくてはならない。ミョウジは、そう考えていた。しかし、場地が、言い放つ。
「コイツ、早く埋めちまおうぜ」
「えっ?」
「ぼーっとしてんなよ、ミョウジ。頭の方持て」
「あ、ああ……」
力強いその言葉に、思わず従ってしまう。暗い夜の公園には、ふたりしかいない。
ふたりは、公園のゴミ箱から真っ黒な袋を取り、そこに死体を詰めた。そして、ミョウジのバイクに縛り付ける。場地が、先導し、ミョウジが後に続く。
途中、色々と道具を調達する。そして、人気のない山に着いた。
◆◆◆
ふたりで、山に死体を埋める穴を掘りながら、場地は考えている。ミョウジと、秘密の共有者になれたことについて。
特別。オレとミョウジは、特別な関係になった。
場地圭介は、ミョウジナマエのことが好きである。かすかに頬を紅潮させて、ミョウジを見た。場地とは正反対に、彼は青い顔をしている。
その表情すら、愛おしくて。コイツは、オレが助けてやらなきゃ。という気持ちが、ふつふつと湧き上がってくる。
よく勉強を教えてくれる、近所の男は、自分に“特別”をくれないから。だから、焦れていた。でも、今日からは、“特別”だ。
「ミョウジ」
「何?」
「大丈夫だ。バレねぇよ」
「ああ…………」
青ざめた顔のまま、ミョウジは返事をする。どう見ても、安心していない。
「ミョウジ、好きだ」
「え?」
「ずっと前から、好きだ」
「圭介……」
すでに、罪を犯していたからか。ついに、自分の感情を発露する気になったのか。
「……俺も好きだよ」
ミョウジは、そう返事をした。
それは、ひどく甘美な響きで。自分の欲が膨れ上がるのを、場地は感じた。ミョウジナマエの、全てが欲しい。そうしなくては、気が済まないのだ。
そんな訳で、帰り際に、場地はミョウジにキスをした。抵抗はされなかった。
「……ダメだな、俺は」
「ダメじゃねぇよ。サンキュな、ミョウジ」
大人が子供とこんなことしちゃ、ダメなんだよ、圭介。ミョウジは、思う。
けれど、もういいか。隠しごとが、いくつ増えようが。
「帰るか」
「おう」
ひとりの男と、ひとりの少年は、帰路を行く。夜道を駆けるバイクが、二台。
ふたりは、共犯者になった。
だってさぁ。大切なあの子が、殴られて気絶してたんだよ。
だからミョウジは、コンクリートブロックで、場地圭介と喧嘩をしていた男の後頭部を殴った。
そうしたら、その男は、ぴくりとも動かなくなり、入れ替わるように、場地が意識を取り戻す。
「ミョウジ…………?」
「…………圭介」
茫然自失した男は、小さく大切な者の名前を呼んだ。
「あー…………もしかして、殺しちまったのか……?」
「殺し…………いや、俺は、そんなつもり…………」
「死んでる」
場地は、倒れている男の脈がないことを確かめ、事実を述べる。
「ミョウジ」
「…………」
自首しなくてはならない。ミョウジは、そう考えていた。しかし、場地が、言い放つ。
「コイツ、早く埋めちまおうぜ」
「えっ?」
「ぼーっとしてんなよ、ミョウジ。頭の方持て」
「あ、ああ……」
力強いその言葉に、思わず従ってしまう。暗い夜の公園には、ふたりしかいない。
ふたりは、公園のゴミ箱から真っ黒な袋を取り、そこに死体を詰めた。そして、ミョウジのバイクに縛り付ける。場地が、先導し、ミョウジが後に続く。
途中、色々と道具を調達する。そして、人気のない山に着いた。
◆◆◆
ふたりで、山に死体を埋める穴を掘りながら、場地は考えている。ミョウジと、秘密の共有者になれたことについて。
特別。オレとミョウジは、特別な関係になった。
場地圭介は、ミョウジナマエのことが好きである。かすかに頬を紅潮させて、ミョウジを見た。場地とは正反対に、彼は青い顔をしている。
その表情すら、愛おしくて。コイツは、オレが助けてやらなきゃ。という気持ちが、ふつふつと湧き上がってくる。
よく勉強を教えてくれる、近所の男は、自分に“特別”をくれないから。だから、焦れていた。でも、今日からは、“特別”だ。
「ミョウジ」
「何?」
「大丈夫だ。バレねぇよ」
「ああ…………」
青ざめた顔のまま、ミョウジは返事をする。どう見ても、安心していない。
「ミョウジ、好きだ」
「え?」
「ずっと前から、好きだ」
「圭介……」
すでに、罪を犯していたからか。ついに、自分の感情を発露する気になったのか。
「……俺も好きだよ」
ミョウジは、そう返事をした。
それは、ひどく甘美な響きで。自分の欲が膨れ上がるのを、場地は感じた。ミョウジナマエの、全てが欲しい。そうしなくては、気が済まないのだ。
そんな訳で、帰り際に、場地はミョウジにキスをした。抵抗はされなかった。
「……ダメだな、俺は」
「ダメじゃねぇよ。サンキュな、ミョウジ」
大人が子供とこんなことしちゃ、ダメなんだよ、圭介。ミョウジは、思う。
けれど、もういいか。隠しごとが、いくつ増えようが。
「帰るか」
「おう」
ひとりの男と、ひとりの少年は、帰路を行く。夜道を駆けるバイクが、二台。
ふたりは、共犯者になった。
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