東リベ
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「なぁ、圭介」
「なんだ? ミョウジ」
「この団地に怪談があるの、知ってるか?」
ミョウジナマエは、イタズラっぽい笑みを浮かべながら、場地圭介に言った。
なんでも、深夜0時になると、団地の廊下を白い服の女の霊が歩いているらしい。
ミョウジは、別段怖がらせようとしているのではないので、さらっと説明するかのように話す。
「なんで急にそんな話すんだよ?」
「夏だからさ」
「もっと涼しくなるように話せよな」
「ははは」
ミョウジは、へらへらと軽薄な笑い声を上げた。
つまらない怪談なんて、場地にはどうでもいい。それよりも、大事なことは。
「ミョウジ」
「ん~?」
ここは、ミョウジの部屋で。今は、ふたりきりで。だから、言わなければならないと思った。
「好きだ」
「ありがと~」
伝わってねぇ。
十歳も下のガキに告白されても、恋愛感情だとは認められないのか。
ミョウジナマエは、何度目かの告白を、のらりくらりとかわした。
◆◆◆
ミョウジナマエの部屋には、幽霊が出る。生前、ミョウジから勉強を教わっていた、同じ団地の子供の霊が。名前を、場地圭介という。
「圭介~」
「なんだよ、ミョウジ」
「なんでもなーい」
「バカ」
「あはは」
俺とお前は、いつまで一緒にいられるのだろう? いつまで、こうして益体もない話をしていられるのだろう?
幽霊の少年の未練に、ミョウジは心当たりがある。それは、場地が、自分への思慕を伝えること。
「好きだ」と何度も言われて。それを何度も、気付かない振りをした。
ほんとは、俺も、お前が好きだよ。愛してるよ。
男は、その気持ちを、決して伝えない。場地圭介に、消えてほしくないからである。
子供に恋した愚かな大人は、祈った。カミサマ、どうか、俺から二度も、圭介を奪わないでくれ、と。
「ミョウジ」
「なに?」
「好きだ」
もう、何度も聞いた、その台詞。何度聞いても、胸が高鳴る、その台詞。
「ありがと~。俺も好きだよ。バカな子ほど可愛いってね」
「違ーう!」
「えー?」
へらへら。笑うしか出来ない。
好きだから、愛してるから、その好意に気付かない振りをする。
ミョウジナマエには、そうするしかなかった。
◆◆◆
この団地には、怪談がある。空き部屋に、幽霊が出るのだ。幽霊は、男と少年で、一晩中、ふたりで話をしているらしい。
少年は、闘争の果てに、死を選んだ。
男は、少年の後を追うために、死を選んだ。
ふたりは、愛し合っていた。
「なんだ? ミョウジ」
「この団地に怪談があるの、知ってるか?」
ミョウジナマエは、イタズラっぽい笑みを浮かべながら、場地圭介に言った。
なんでも、深夜0時になると、団地の廊下を白い服の女の霊が歩いているらしい。
ミョウジは、別段怖がらせようとしているのではないので、さらっと説明するかのように話す。
「なんで急にそんな話すんだよ?」
「夏だからさ」
「もっと涼しくなるように話せよな」
「ははは」
ミョウジは、へらへらと軽薄な笑い声を上げた。
つまらない怪談なんて、場地にはどうでもいい。それよりも、大事なことは。
「ミョウジ」
「ん~?」
ここは、ミョウジの部屋で。今は、ふたりきりで。だから、言わなければならないと思った。
「好きだ」
「ありがと~」
伝わってねぇ。
十歳も下のガキに告白されても、恋愛感情だとは認められないのか。
ミョウジナマエは、何度目かの告白を、のらりくらりとかわした。
◆◆◆
ミョウジナマエの部屋には、幽霊が出る。生前、ミョウジから勉強を教わっていた、同じ団地の子供の霊が。名前を、場地圭介という。
「圭介~」
「なんだよ、ミョウジ」
「なんでもなーい」
「バカ」
「あはは」
俺とお前は、いつまで一緒にいられるのだろう? いつまで、こうして益体もない話をしていられるのだろう?
幽霊の少年の未練に、ミョウジは心当たりがある。それは、場地が、自分への思慕を伝えること。
「好きだ」と何度も言われて。それを何度も、気付かない振りをした。
ほんとは、俺も、お前が好きだよ。愛してるよ。
男は、その気持ちを、決して伝えない。場地圭介に、消えてほしくないからである。
子供に恋した愚かな大人は、祈った。カミサマ、どうか、俺から二度も、圭介を奪わないでくれ、と。
「ミョウジ」
「なに?」
「好きだ」
もう、何度も聞いた、その台詞。何度聞いても、胸が高鳴る、その台詞。
「ありがと~。俺も好きだよ。バカな子ほど可愛いってね」
「違ーう!」
「えー?」
へらへら。笑うしか出来ない。
好きだから、愛してるから、その好意に気付かない振りをする。
ミョウジナマエには、そうするしかなかった。
◆◆◆
この団地には、怪談がある。空き部屋に、幽霊が出るのだ。幽霊は、男と少年で、一晩中、ふたりで話をしているらしい。
少年は、闘争の果てに、死を選んだ。
男は、少年の後を追うために、死を選んだ。
ふたりは、愛し合っていた。