東リベ
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「ミョウジ、勉強教えてくれ」
「えーヤダよ」
同じ団地に住む中学生、場地圭介に乞われたミョウジナマエは、ゆるっとそれをかわそうとした。しかし。
「真剣なんだよ! 分かるだろ?!」
「えー」
だから、イヤなんだよ。とは言えなかった。
「仕方ねぇな…………」
「ありがとな、ミョウジ」
「お礼は?」
「後でな!」
そうして、実技以外の全ての教科を教えることになってしまったミョウジ。
現在はフリーのライターだが、元々、中学校の教師を目指していたこともあり、それなりに教えるのが上手くいった。
「ミョウジって頭イイのな」
「そりゃ、どーも」
十歳も下のアホに褒められてもな、と思う明神。だが実は、ミョウジは場地のことを気に入っている。可愛がっていると言っても過言ではない。
「それで、お礼は? アイスでも奢ってくれんの?」
「お礼は、コレな」
瞬間。唇と唇が重なる。
「えっ!?」
「ミョウジってオレのこと好きだろ?」
「いや、好きだけど、それは…………」
持ってはいけない感情だから。きつく蓋を閉めておかなくてはならないものだから。
「本当のことだけ知りたい」
やめてくれ。俺のことを暴かないでくれ。そんなミョウジの思いなんて、場地圭介には関係ない。容赦のない視線が、全てを白日の元に晒そうとしている。
「……俺は、圭介のことが好きだよ」
自白する犯人みたいな気持ちだ。心の水底に沈めて、何重にも鎖を巻いていた箱が開かれる。
「オレ、ミョウジのこと好きだぜ」
一方、場地は、いとも簡単に真っ直ぐな想いを伝えてきた。
「お前…………」
お前さえ、いなければ。こんな、道を踏み外すみたいな恋はしなくて済んだはずなのに。
自然と、場地の首に手をかける男。首を絞めるみたいに。しかし、選択肢は、ふたつある。ミョウジは、ふたつ目を選んだ。首を掴んだまま、噛み付くようにキスをする。
悪い大人になってしまった。もうダメだ。地獄行き決定だ。
「ミョウジ…………?」
「あーあ。俺、フツーの大人じゃなくなっちまったな」
「なんで?」
「あのね、子供に手を出すとサツに捕まるのよ」
「オレから出したのに?」
「ばーか」
フツーの大人は、欲に負けて子供の誘いに乗ったりしないのである。この先、何らかの罰が下るのだろう。
◆◆◆
その日は、唐突にやってきた。
場地圭介が死んだのである。カミサマという奴は、残酷なものらしい。自分の命ならば惜しくはないが、この世で一番大切な者の命が失われた。
だから、ミョウジナマエは死ぬことにした。
深酒をして、暗い海に身を投げ、沈んでいく。
お前がいなきゃ、生きてる意味なんてない。ミョウジは沈みながら思う。
もしも、時間が戻せたら、お前を助けに走るのに。
「えーヤダよ」
同じ団地に住む中学生、場地圭介に乞われたミョウジナマエは、ゆるっとそれをかわそうとした。しかし。
「真剣なんだよ! 分かるだろ?!」
「えー」
だから、イヤなんだよ。とは言えなかった。
「仕方ねぇな…………」
「ありがとな、ミョウジ」
「お礼は?」
「後でな!」
そうして、実技以外の全ての教科を教えることになってしまったミョウジ。
現在はフリーのライターだが、元々、中学校の教師を目指していたこともあり、それなりに教えるのが上手くいった。
「ミョウジって頭イイのな」
「そりゃ、どーも」
十歳も下のアホに褒められてもな、と思う明神。だが実は、ミョウジは場地のことを気に入っている。可愛がっていると言っても過言ではない。
「それで、お礼は? アイスでも奢ってくれんの?」
「お礼は、コレな」
瞬間。唇と唇が重なる。
「えっ!?」
「ミョウジってオレのこと好きだろ?」
「いや、好きだけど、それは…………」
持ってはいけない感情だから。きつく蓋を閉めておかなくてはならないものだから。
「本当のことだけ知りたい」
やめてくれ。俺のことを暴かないでくれ。そんなミョウジの思いなんて、場地圭介には関係ない。容赦のない視線が、全てを白日の元に晒そうとしている。
「……俺は、圭介のことが好きだよ」
自白する犯人みたいな気持ちだ。心の水底に沈めて、何重にも鎖を巻いていた箱が開かれる。
「オレ、ミョウジのこと好きだぜ」
一方、場地は、いとも簡単に真っ直ぐな想いを伝えてきた。
「お前…………」
お前さえ、いなければ。こんな、道を踏み外すみたいな恋はしなくて済んだはずなのに。
自然と、場地の首に手をかける男。首を絞めるみたいに。しかし、選択肢は、ふたつある。ミョウジは、ふたつ目を選んだ。首を掴んだまま、噛み付くようにキスをする。
悪い大人になってしまった。もうダメだ。地獄行き決定だ。
「ミョウジ…………?」
「あーあ。俺、フツーの大人じゃなくなっちまったな」
「なんで?」
「あのね、子供に手を出すとサツに捕まるのよ」
「オレから出したのに?」
「ばーか」
フツーの大人は、欲に負けて子供の誘いに乗ったりしないのである。この先、何らかの罰が下るのだろう。
◆◆◆
その日は、唐突にやってきた。
場地圭介が死んだのである。カミサマという奴は、残酷なものらしい。自分の命ならば惜しくはないが、この世で一番大切な者の命が失われた。
だから、ミョウジナマエは死ぬことにした。
深酒をして、暗い海に身を投げ、沈んでいく。
お前がいなきゃ、生きてる意味なんてない。ミョウジは沈みながら思う。
もしも、時間が戻せたら、お前を助けに走るのに。
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