彼女は、私にとって、暗い夜空にまばゆく輝く星のような存在だ。
　その彼女はモデル業をしていて、名前をステラという。
　ステラは、同性愛者である。最初は、彼女からの愛の告白を受け入れられなかった私だが、ステラに猛アタックをされるうちに、すっかり絆され、今では恋人同士だ。
　彼女は、とても美しく、時には可愛らしくて、情熱的で、素敵な人だと思う。私なんかには、もったいないくらいの人。
　そう言った時は、ステラに真剣な顔で「そんな風に自己卑下なんてしないで」と怒られたけれど。
　でも、やっぱり私と彼女は、釣り合っていない気がしている。私たちを天秤の皿に乗せたなら、ステラの方に傾くに違いないのだ。
　私のぱっとしない灰色の人生の中で、あなたの存在だけは、鮮やかな赤色をしている。
　水に一滴の赤色を落としたように、私のろくなものじゃない人生を色付かせてくれたステラ。私は、彼女を愛している。
　ごく普通のカフェの店員である私を、何故彼女が好きになったのかは分からない。けれど私は、もっと自分を好きになりたい。ステラが好きと言ってくれた私を、好きになりたい。
　そう思ってから、私は必ず赤色の小物を身に付けるようにした。そうすれば、ステラからもらった愛を、いつでも思い出せると考えたから。
　ある朝、私たちは、死がふたりを別つまで共に生きようと誓った。その誓いを胸に、この人生を精一杯生きよう。私は私のままだけれど、その自分を精一杯愛そう。
　あなたと同じ方を、風景を見て、私は生きていたい。あなたのように、自信を持って生きたい。
　私は、幸せ者だ。あなたという光に出会えたのだから。
　私は毎日、ステラが、この世界に生まれてきてくれたことに、言葉もないくらいに感謝をしている。私は信仰心が厚い人間ではないから、他でもない彼女自身に、最大限の感謝を捧げる。
　だから今日は、思いっきりあなたの誕生を祝おう。あなたの好きな花束を抱えて、私は愛しい彼女の元へと歩き出した。