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ふたりでいても、特に話すことはなかった。けれど、気まずさはない。
僕と水戸部凛之助くんは、お互いに無口である。たまに、ふたりきりになると、僕らを心地好い静寂が包んだ。
実は、僕は水戸部くんに片想いをしている。
だけど、今日こそは「好き」と伝えようと口を開いてみても、またすぐに口を閉じてしまう。たった一言、「好き」と言えない自分が情けない。
しかし、今日という今日は、彼に僕の想いを告げるのだ。そのための秘策も用意して来た。
学校で水戸部くんと、ふたりきりになったタイミングで、僕はそっと彼の手を取る。
『すき』
水戸部くんの手のひらに、人差し指で、その二文字をゆっくりと愛を込めてなぞる。
すると、彼は少し驚いたような表情になり、僕を見つめた。
僕は顔が火照るのを感じ、すっと手を離す。
それから、彼の視線から逃れるように俯いてしまう。もう、一生顔を上げられないんじゃないかと思うほどに恥ずかしい。
そうして下を見ている僕の手を、水戸部くんが優しく掴み、僕と同じように指先で手のひらに文字を書く。
『だいすき』
見間違いじゃないよね?
僕は、水戸部くんを見上げた。彼は、頬を赤く染めて、僕から目を逸らしている。
「…………だ、大好き?」
思わず声に出してしまった。
僕の疑問に、こくん、と頷いて答える水戸部くん。
あまりにも可愛い。これは僕が布団の中で見ている都合の良い夢なんじゃないか? と思ってしまうくらいに、可愛い。
好き。好きだ。大好きだ。
「僕も、だ、大好きだよ……!」
もう一度、水戸部くんの手を取り、僕は喉から音をしぼり出す。声は震え、どもり、ツギハギだらけ。だけど、なんとか想いを告げられた。
ついに、僕は成し遂げたのだ。
夢や妄想では、何度もシミュレートしてきたことを、やっと現実で言えたのである。
しかも、それだけではなく、水戸部くんも僕のことが好きなのだと言う。なんと幸福なことだろう。
僕は、その幸福を噛み締めて、次の言葉を探し始めた。
僕と水戸部凛之助くんは、お互いに無口である。たまに、ふたりきりになると、僕らを心地好い静寂が包んだ。
実は、僕は水戸部くんに片想いをしている。
だけど、今日こそは「好き」と伝えようと口を開いてみても、またすぐに口を閉じてしまう。たった一言、「好き」と言えない自分が情けない。
しかし、今日という今日は、彼に僕の想いを告げるのだ。そのための秘策も用意して来た。
学校で水戸部くんと、ふたりきりになったタイミングで、僕はそっと彼の手を取る。
『すき』
水戸部くんの手のひらに、人差し指で、その二文字をゆっくりと愛を込めてなぞる。
すると、彼は少し驚いたような表情になり、僕を見つめた。
僕は顔が火照るのを感じ、すっと手を離す。
それから、彼の視線から逃れるように俯いてしまう。もう、一生顔を上げられないんじゃないかと思うほどに恥ずかしい。
そうして下を見ている僕の手を、水戸部くんが優しく掴み、僕と同じように指先で手のひらに文字を書く。
『だいすき』
見間違いじゃないよね?
僕は、水戸部くんを見上げた。彼は、頬を赤く染めて、僕から目を逸らしている。
「…………だ、大好き?」
思わず声に出してしまった。
僕の疑問に、こくん、と頷いて答える水戸部くん。
あまりにも可愛い。これは僕が布団の中で見ている都合の良い夢なんじゃないか? と思ってしまうくらいに、可愛い。
好き。好きだ。大好きだ。
「僕も、だ、大好きだよ……!」
もう一度、水戸部くんの手を取り、僕は喉から音をしぼり出す。声は震え、どもり、ツギハギだらけ。だけど、なんとか想いを告げられた。
ついに、僕は成し遂げたのだ。
夢や妄想では、何度もシミュレートしてきたことを、やっと現実で言えたのである。
しかも、それだけではなく、水戸部くんも僕のことが好きなのだと言う。なんと幸福なことだろう。
僕は、その幸福を噛み締めて、次の言葉を探し始めた。