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夕立に降られた私は、急いで近くの雑居ビルへと足を進めた。
ありがたいことに、一階には喫煙室がある。私は、そこへ向かい、上着のポケットから煙草を取り出す。
「ふぅ」
煙草を吸い、煙を吐き出す。天井を見上げると、妙なシミがあり、それはなんだか人の顔のように見えた。
しばらく、ひとりきりの喫煙室で、くつろいでいたところ、誰かが入って来る。
雨に降られたらしい、見知らぬ黒衣の人物は、先客である私を一瞥してから、椅子に腰掛けた。
その人物も煙草を取り出し、吸い始める。
「あの…………」
私は、思いきって話しかけてみることにした。
「なにか?」
「急な雨でしたね」
「ああ」
少々ぶっきらぼうな様子だが、会話を拒否するでもなく、返事をしてくれる。
お互いに軽く自己紹介をし、他愛もない話をした。
煙草の銘柄の話、自分の職業の話、この国に来た理由。
ヤンは多くを語らなかったが、聞き役として私に付き合ってくれた。
後から聞いた話だが、それは、ほんの気まぐれで。私たちは、連絡先を交換し、この日は雨上がりと共に別れる。
それから、交流を重ねていくうちに、私はヤンに恋をしてしまった。ヤンのことを考えると、心地好く胸が高鳴る。
ヤンも、同じ気持ちになってくれたらいいのに。
何度目かの食事の約束を果たした後の帰路で、まだ一緒にいたいと言い出せずにいる私に、ヤンが思いもよらぬ行動をとった。
「あんたは、俺の傍にいてくれ。家族みたいなもんだから…………」
ヤンは少し困ったような笑顔で、私を抱き締めながら、そう言った。
その言葉が親愛に溢れたものに聞こえて、私はとても嬉しい。きっと、ヤンの最大限の愛の示し方なのだろうと思う。
「お前と出会って、俺の世界は少し広くなったんだ。ありがとな」
私は、ヤンの背中に手を回して、抱き締め返した。このぬくもりに、いつまでも浸っていたい。そんな気持ちになった。
そして、私たちは、どちらからともなく、キスを交わす。
この瞬間よ、永遠なれ。
ありがたいことに、一階には喫煙室がある。私は、そこへ向かい、上着のポケットから煙草を取り出す。
「ふぅ」
煙草を吸い、煙を吐き出す。天井を見上げると、妙なシミがあり、それはなんだか人の顔のように見えた。
しばらく、ひとりきりの喫煙室で、くつろいでいたところ、誰かが入って来る。
雨に降られたらしい、見知らぬ黒衣の人物は、先客である私を一瞥してから、椅子に腰掛けた。
その人物も煙草を取り出し、吸い始める。
「あの…………」
私は、思いきって話しかけてみることにした。
「なにか?」
「急な雨でしたね」
「ああ」
少々ぶっきらぼうな様子だが、会話を拒否するでもなく、返事をしてくれる。
お互いに軽く自己紹介をし、他愛もない話をした。
煙草の銘柄の話、自分の職業の話、この国に来た理由。
ヤンは多くを語らなかったが、聞き役として私に付き合ってくれた。
後から聞いた話だが、それは、ほんの気まぐれで。私たちは、連絡先を交換し、この日は雨上がりと共に別れる。
それから、交流を重ねていくうちに、私はヤンに恋をしてしまった。ヤンのことを考えると、心地好く胸が高鳴る。
ヤンも、同じ気持ちになってくれたらいいのに。
何度目かの食事の約束を果たした後の帰路で、まだ一緒にいたいと言い出せずにいる私に、ヤンが思いもよらぬ行動をとった。
「あんたは、俺の傍にいてくれ。家族みたいなもんだから…………」
ヤンは少し困ったような笑顔で、私を抱き締めながら、そう言った。
その言葉が親愛に溢れたものに聞こえて、私はとても嬉しい。きっと、ヤンの最大限の愛の示し方なのだろうと思う。
「お前と出会って、俺の世界は少し広くなったんだ。ありがとな」
私は、ヤンの背中に手を回して、抱き締め返した。このぬくもりに、いつまでも浸っていたい。そんな気持ちになった。
そして、私たちは、どちらからともなく、キスを交わす。
この瞬間よ、永遠なれ。