日夜、キョダイマックス関連の研究をしている研究員。それが俺だ。
　夜も更けてきた現在、同じく研究員のオリーヴさんと俺は、まだダイマックスボールのデータと睨めっこしている。
　眼鏡のレンズ越しに見える彼女の目の下には、うっすらと隈が出来ていた。
　しかし、彼女の口は勢い良く、俺にデータ解析の結果を話している。
　オリーヴさんは、眠くないのだろうか？
　俺は、眠い。けれど、俺の片想い中のオリーヴさんと共にいられるなら、我慢出来る。
　それにしても、随分と研究室が散らかってしまった。そろそろ掃除をしなくては。
　オリーヴさんのヤブクロンにゴミを食べてもらおう。

「オリーヴさん、少し掃除しましょう。ヤブクロンをお借り出来ますか？」
「はい…………」

　彼女は、モンスターボールからヤブクロンを出す。

「オリーヴさんは、休憩————」
「必要ありません」
「…………そうですか」

　オリーヴさんは、コーヒーを一杯飲むと、またパソコンと向き合い、データ解析を始めた。
　俺は、ヤブクロンと共に部屋掃除をすることにする。要るものは片付けて、要らない紙の資料は、ヤブクロンに食べてもらう。
　その間にも、黙々と研究を続けているオリーヴさん。
　その背中を見て、俺はずっと、この人を支えたいと思った。

◆◆◆

　オリーヴさんがマクロコスモスに引き抜かれてから、幾ばくかの年月が経つ。
　すっかり垢抜けた姿になった彼女をメディアで見かけると、少し寂しい気持ちになる。
　かつては、彼女の隣に立つことも出来ていたのに。俺は、どうして、早く想いを告げなかったのだろう。後悔の念が募る。
　今では、なんと、彼女のファンクラブまてまあるという話だ。俺は、入っていない。入る気持ちになれない。
　以前からオリーヴさんが好きだった俺は、言うなれば、ファン1号だと思うが。
　彼女と再び、偶然に、どこかの街で出会えたなら、絶対に想いを告げるのに。運命は残酷だ。
　そんなことを考えながら過ごしていたある日、バウタウンのシーフードが食べたくなった俺は、さっそくレストランへと、そらとぶタクシーで向かった。
　そこには、彼女がいた。