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化粧をするのが好きだ。睫毛にマスカラ。頬にチーク。唇にリップグロス。爪には、大好きな彼の瞳の色、すみれ色のマニキュアを塗る。
ちなみに、服装はユニセックスなものを着ている。
「今日も完璧。俺って美しい」
鏡に映る自分に、惚れ惚れする。
他人にナルシシストと言われようが、構うものか。親しい人は、俺を綺麗だと言ってくれている。それで充分だ。
俺の恋人は、プラチナブロンドの髪に、綺麗なアメジストのような瞳をしている。俺には、彼が世界一尊い。
実は、そんな彼とは少し変わった恋人関係を築いている。俺たちが恋人同士でいる期間は、3年と決められているのだ。
理由は、分からない。俺はたまに街中で見かける彼に惚れた。惚れた弱みで、俺はその条件を呑んだ。
蜜月の時を過ごして、もう今年で3年目。
本音を言えば、彼とは別れたくない。
しかし、現実は非情で、共に暮らしていた家から、愛する人は忽然と消えてしまった。彼の荷物が、ひとつもなくなっている。まるで、初めから恋人なんていなかったかのように。
「期間限定だからって、それは無いだろ」
思わず、声に出してしまった。
さよならも告げずにいなくなるなんて。そんなことが許せるか?
俺は、必死に夜の街で彼を探した。酔っ払いが倒れている路地や、強い香水の匂いをさせている女たちがたむろしている酒場の店先、猫が通り抜けて行った狭い通路。様々なところを探して周った。
そして、やっと、人気のない寂れた酒場でウォトカを飲んでいる恋人、いや、元恋人を見付ける。
「探したぞ」
俺が声をかけると、びくりと体を震わせた。
「君は、本当に僕が好きなんだね」
「ああ。ずっと一緒に生きていきたいくらいにな」
そう言うと、彼は今にも泣き出しそうなくらい悲しげな表情をする。
「それは出来ないんだよ」
「どうして?」
「僕は人間じゃないんだ。君とは寿命差があり過ぎて。それが悲しくて堪らないんだよ」
なんてことだ、彼は人ではなかった。彼曰く、自分は我が祖国、ロシアなのだと言う。
それでも、俺は。
「好きなんだ。愛してるんだ。だから、頼むよ、俺が死ぬまで傍にいてほしい」
残酷なことを言っているな、と自分でも思う。けれど、彼のいない人生に、俺は耐えられそうもない。
「君は、酷い人だね…………」
「そうなんだ。俺は残酷な人間で、普通の弱い人間なんだ」
「僕に、君の死ぬところを看取れって言うんだね?」
「ああ、そうだよ。勝手なことを言うけど、一生君と、ロシアと添い遂げたい」
「君って本当に残酷だよ」
彼は、ロシアは俯きながら言葉を紡ぐ。
「そうだ。契約更新しよう。あと30年一緒に生きないか?」
それなら、俺もまだ死なないだろうから。
「はぁ。君には負けたよ。僕たち、また、ふたりでいよう」
根負けしたのか、ロシアは俺を見つめて、そういった。
そして、どちらからともなく、キスをする。
翌日。今日も今日とて、化粧に抜かりはない。爪の先には、やっぱり彼の美しい瞳の色を塗る。
ちなみに、服装はユニセックスなものを着ている。
「今日も完璧。俺って美しい」
鏡に映る自分に、惚れ惚れする。
他人にナルシシストと言われようが、構うものか。親しい人は、俺を綺麗だと言ってくれている。それで充分だ。
俺の恋人は、プラチナブロンドの髪に、綺麗なアメジストのような瞳をしている。俺には、彼が世界一尊い。
実は、そんな彼とは少し変わった恋人関係を築いている。俺たちが恋人同士でいる期間は、3年と決められているのだ。
理由は、分からない。俺はたまに街中で見かける彼に惚れた。惚れた弱みで、俺はその条件を呑んだ。
蜜月の時を過ごして、もう今年で3年目。
本音を言えば、彼とは別れたくない。
しかし、現実は非情で、共に暮らしていた家から、愛する人は忽然と消えてしまった。彼の荷物が、ひとつもなくなっている。まるで、初めから恋人なんていなかったかのように。
「期間限定だからって、それは無いだろ」
思わず、声に出してしまった。
さよならも告げずにいなくなるなんて。そんなことが許せるか?
俺は、必死に夜の街で彼を探した。酔っ払いが倒れている路地や、強い香水の匂いをさせている女たちがたむろしている酒場の店先、猫が通り抜けて行った狭い通路。様々なところを探して周った。
そして、やっと、人気のない寂れた酒場でウォトカを飲んでいる恋人、いや、元恋人を見付ける。
「探したぞ」
俺が声をかけると、びくりと体を震わせた。
「君は、本当に僕が好きなんだね」
「ああ。ずっと一緒に生きていきたいくらいにな」
そう言うと、彼は今にも泣き出しそうなくらい悲しげな表情をする。
「それは出来ないんだよ」
「どうして?」
「僕は人間じゃないんだ。君とは寿命差があり過ぎて。それが悲しくて堪らないんだよ」
なんてことだ、彼は人ではなかった。彼曰く、自分は我が祖国、ロシアなのだと言う。
それでも、俺は。
「好きなんだ。愛してるんだ。だから、頼むよ、俺が死ぬまで傍にいてほしい」
残酷なことを言っているな、と自分でも思う。けれど、彼のいない人生に、俺は耐えられそうもない。
「君は、酷い人だね…………」
「そうなんだ。俺は残酷な人間で、普通の弱い人間なんだ」
「僕に、君の死ぬところを看取れって言うんだね?」
「ああ、そうだよ。勝手なことを言うけど、一生君と、ロシアと添い遂げたい」
「君って本当に残酷だよ」
彼は、ロシアは俯きながら言葉を紡ぐ。
「そうだ。契約更新しよう。あと30年一緒に生きないか?」
それなら、俺もまだ死なないだろうから。
「はぁ。君には負けたよ。僕たち、また、ふたりでいよう」
根負けしたのか、ロシアは俺を見つめて、そういった。
そして、どちらからともなく、キスをする。
翌日。今日も今日とて、化粧に抜かりはない。爪の先には、やっぱり彼の美しい瞳の色を塗る。