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街中で、美しい人を見た。
その人は、コーヒー店から、ふたつのタンブラーと小さなバッグを持って現れた。
紫色の結い上げた美しい髪。キリリとした形の良い眉に、青いアイシャドウを塗った瞼、宝石のような碧眼。真っ赤な唇。そして、胸元の開いた黒色のスーツは、とてもセクシーだ。
美の化身のような人だと思う。
彼女との、すれ違い様に、品のある香水の香りがした。
それが当然の摂理であるかのように、俺は振り向いて、彼女を目で追い続ける。
彼女の細腰に手を回して、その唇にキス出来たなら、どんなに幸せなことだろう。
そんなことを考えていると、なんと、彼女の右足のヒールが折れた。ふらつく姿すら、何かの舞のように美しい彼女を、俺は慌てて両腕で支える。
「大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとうございます」
彼女にとっては不幸なアクシデントだろうが、俺にとっては僥倖だった。
やはり、彼女は声も美しい。
布越しに、彼女の体温が伝わり、心臓が高鳴る。
「俺は、ナマエ・ミョウジ。あなたは?」
「ビアル・コロッサスです」
「荷物、持ちますよ」
「……ご親切に、どうも」
彼女、ビアルさんは、一瞬俺を品定めするような目で見てから、信用するに足ると判断したらしく、バッグとふたつのタンブラーを手渡してくれた。
「そこの靴屋で、新しい物を買いますので、少しお付き合いください」
ビアルさんは、数メートル先にある店を指差し、出来る限りの優雅さで歩いていく。
彼女に見惚れていた俺は、急いでビアルさんの隣へと追い付き、共に歩いた。
至福の一時とは、こういう時間のことを言うのだろうな、と考える。
ビアルさんが、新しい靴を購入するまで、俺はこの時間を堪能した。
今日は気持ちの良い晴れ渡った空であることに、今になって気付く。
彼女が、自治共和国プロメポリスの司政官で、 フォーサイト財団理事長、クレイ・フォーサイトの秘書であると知るのは、少し先の話である。
その人は、コーヒー店から、ふたつのタンブラーと小さなバッグを持って現れた。
紫色の結い上げた美しい髪。キリリとした形の良い眉に、青いアイシャドウを塗った瞼、宝石のような碧眼。真っ赤な唇。そして、胸元の開いた黒色のスーツは、とてもセクシーだ。
美の化身のような人だと思う。
彼女との、すれ違い様に、品のある香水の香りがした。
それが当然の摂理であるかのように、俺は振り向いて、彼女を目で追い続ける。
彼女の細腰に手を回して、その唇にキス出来たなら、どんなに幸せなことだろう。
そんなことを考えていると、なんと、彼女の右足のヒールが折れた。ふらつく姿すら、何かの舞のように美しい彼女を、俺は慌てて両腕で支える。
「大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとうございます」
彼女にとっては不幸なアクシデントだろうが、俺にとっては僥倖だった。
やはり、彼女は声も美しい。
布越しに、彼女の体温が伝わり、心臓が高鳴る。
「俺は、ナマエ・ミョウジ。あなたは?」
「ビアル・コロッサスです」
「荷物、持ちますよ」
「……ご親切に、どうも」
彼女、ビアルさんは、一瞬俺を品定めするような目で見てから、信用するに足ると判断したらしく、バッグとふたつのタンブラーを手渡してくれた。
「そこの靴屋で、新しい物を買いますので、少しお付き合いください」
ビアルさんは、数メートル先にある店を指差し、出来る限りの優雅さで歩いていく。
彼女に見惚れていた俺は、急いでビアルさんの隣へと追い付き、共に歩いた。
至福の一時とは、こういう時間のことを言うのだろうな、と考える。
ビアルさんが、新しい靴を購入するまで、俺はこの時間を堪能した。
今日は気持ちの良い晴れ渡った空であることに、今になって気付く。
彼女が、自治共和国プロメポリスの司政官で、 フォーサイト財団理事長、クレイ・フォーサイトの秘書であると知るのは、少し先の話である。