800文字チャレンジ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
家に帰ると、ヒモがいる。私は、ある男を飼っている。
名前は、有栖川帝統という。
ある日、彼は、私の家の玄関先で倒れていた。腹を空かせて。
「大丈夫ですか?!」
「は、腹が…………減った…………」
「ええ……?!」
私は、人生で初めての事件に驚きっぱなしだ。
動揺しながらも、帰宅してから食べようと思っていた、コンビニで買ったおにぎりを差し出す。
「よかったら、どうぞ」
「お、おお…………」
私は、よくないが。
それとは別に、私の中の冷静な部分が、もうひとつの警告をする。この出会いは、よくない出会いであると。
よくない。非常によくない。
おにぎりを食べている謎の青年は、そんな私のことなど露知らずで、物凄い勢いで咀嚼している。私は思わず、おにぎりを、もうひとつ渡していた。
いや、なんでだよ。やめておけよ。
私の理性が、彼とは関わるなと言ってくる。
それなのに。それなのに! 私は現在、彼と同棲している!
帝統の職業は、ギャンブラーなのだそうだ。質素に、堅実に生きている私から言わせれば、それは職業ではない。
だから、彼はヒモである。
私に「おかえり」を言った後、彼は一瞬真剣な顔をする。そして。
「お金貸してくださーい!」
来た。お決まりの台詞。
貸さないぞ、今日という今日は。
どうせ、ギャンブルで負けて素寒貧になって帰って来るのがオチなのだから!
私は強い意思で、帝統の要求をはね除けなくてはならない。一度、深呼吸をする。
「…………仕方ないなぁ」
私は弱い。弱過ぎた。気付けば、私は財布からお札を取り出している。
私がグーなら、彼はパー。私が火なら、彼は水。だから、私は私である限り、有栖川帝統には勝てない運命なのだ。
私はきっと、彼を一目見た時から、恋に落ちてしまったのだろう。
恐ろしい。
私から賭け事の種銭を手に入れた帝統は、上機嫌で外へ出かける準備をしている。
「じゃ、いってくるぜぇ」
「いってらっしゃい」
ぶんぶんと手を振りながら、家を出る帝統。
彼の、一挙手一投足が、私には可愛く見えてしまう。
これを予感していたのだ、理性的な方の私は。だけど、さようなら、冷静な私。私は、この熱情に身を任せることにするよ。
名前は、有栖川帝統という。
ある日、彼は、私の家の玄関先で倒れていた。腹を空かせて。
「大丈夫ですか?!」
「は、腹が…………減った…………」
「ええ……?!」
私は、人生で初めての事件に驚きっぱなしだ。
動揺しながらも、帰宅してから食べようと思っていた、コンビニで買ったおにぎりを差し出す。
「よかったら、どうぞ」
「お、おお…………」
私は、よくないが。
それとは別に、私の中の冷静な部分が、もうひとつの警告をする。この出会いは、よくない出会いであると。
よくない。非常によくない。
おにぎりを食べている謎の青年は、そんな私のことなど露知らずで、物凄い勢いで咀嚼している。私は思わず、おにぎりを、もうひとつ渡していた。
いや、なんでだよ。やめておけよ。
私の理性が、彼とは関わるなと言ってくる。
それなのに。それなのに! 私は現在、彼と同棲している!
帝統の職業は、ギャンブラーなのだそうだ。質素に、堅実に生きている私から言わせれば、それは職業ではない。
だから、彼はヒモである。
私に「おかえり」を言った後、彼は一瞬真剣な顔をする。そして。
「お金貸してくださーい!」
来た。お決まりの台詞。
貸さないぞ、今日という今日は。
どうせ、ギャンブルで負けて素寒貧になって帰って来るのがオチなのだから!
私は強い意思で、帝統の要求をはね除けなくてはならない。一度、深呼吸をする。
「…………仕方ないなぁ」
私は弱い。弱過ぎた。気付けば、私は財布からお札を取り出している。
私がグーなら、彼はパー。私が火なら、彼は水。だから、私は私である限り、有栖川帝統には勝てない運命なのだ。
私はきっと、彼を一目見た時から、恋に落ちてしまったのだろう。
恐ろしい。
私から賭け事の種銭を手に入れた帝統は、上機嫌で外へ出かける準備をしている。
「じゃ、いってくるぜぇ」
「いってらっしゃい」
ぶんぶんと手を振りながら、家を出る帝統。
彼の、一挙手一投足が、私には可愛く見えてしまう。
これを予感していたのだ、理性的な方の私は。だけど、さようなら、冷静な私。私は、この熱情に身を任せることにするよ。