800文字チャレンジ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
彼の、美しく長い黒髪が好きだ。私に優しく視線を送る瞳が好きだ。
「オレは、おまえのことを愛してる」
そして、愛を囁いてくれる唇が好き。その声が好き。
彼の、エネドラの全てが、私は好きだ。
エネドラは、我が国アフトクラトルの技術の粋を集めたトリガーを持つ、優秀な兵士である。しかし、私はといえば、平凡な一兵士に過ぎない。
聡明な君が私を選んでくれたことは、自分の生涯で一番の幸福であると思っている。
私は毎日、その奇跡みたいな現実に深く感謝をしていた。
けれど、ある日、私は恋人のエネドラに別れを告げられる。それも、耳を疑うような、とても酷い言葉で。
「てめー、もういらねぇから。じゃーな」
「え…………?」
彼の言葉を理解することを、私の頭は拒んだ。
私は、よろよろと、背を向けて去るエネドラを追いかけながら、「待って」とかすれ声で言った。だけど、彼の歩みは止まらない。エネドラに向けて手を伸ばしたけれど、届かない。届くはずもない。どんどん、彼の姿が遠退いていく。
「どうして…………?」
私はしばらく、その場に茫然と立ち尽くした。
それから、考えを巡らせる。そして、ようやく理解し始める。この世で最も愛する彼に、別れを告げられたのだと。自分は、エネドラに捨てられたのだと。
私が、彼に何かした? 何か怒らせるようなことを?
だが、そのような心当たりはない。
では、何故? どうして彼は、あんな台詞を吐いたのだろう?
「あ…………」
私は、あることを思い出した。それは、彼の頭から生えている、トリガーホーンのことである。このトリオン受容体のことを、技術者から聞いた覚えがあった。脳がトリガーホーンに侵され、性格が変異してしまうことがあるという、恐ろしい影響について。
そのせいで、彼は別人のようになってしまった? そのせいで、私は切り捨てられた?
記憶の中のエネドラは、私に優しく微笑みかけてくれる。
しかし、私の幸福な日々は、もう帰っては来ない気がした。
「オレは、おまえのことを愛してる」
そして、愛を囁いてくれる唇が好き。その声が好き。
彼の、エネドラの全てが、私は好きだ。
エネドラは、我が国アフトクラトルの技術の粋を集めたトリガーを持つ、優秀な兵士である。しかし、私はといえば、平凡な一兵士に過ぎない。
聡明な君が私を選んでくれたことは、自分の生涯で一番の幸福であると思っている。
私は毎日、その奇跡みたいな現実に深く感謝をしていた。
けれど、ある日、私は恋人のエネドラに別れを告げられる。それも、耳を疑うような、とても酷い言葉で。
「てめー、もういらねぇから。じゃーな」
「え…………?」
彼の言葉を理解することを、私の頭は拒んだ。
私は、よろよろと、背を向けて去るエネドラを追いかけながら、「待って」とかすれ声で言った。だけど、彼の歩みは止まらない。エネドラに向けて手を伸ばしたけれど、届かない。届くはずもない。どんどん、彼の姿が遠退いていく。
「どうして…………?」
私はしばらく、その場に茫然と立ち尽くした。
それから、考えを巡らせる。そして、ようやく理解し始める。この世で最も愛する彼に、別れを告げられたのだと。自分は、エネドラに捨てられたのだと。
私が、彼に何かした? 何か怒らせるようなことを?
だが、そのような心当たりはない。
では、何故? どうして彼は、あんな台詞を吐いたのだろう?
「あ…………」
私は、あることを思い出した。それは、彼の頭から生えている、トリガーホーンのことである。このトリオン受容体のことを、技術者から聞いた覚えがあった。脳がトリガーホーンに侵され、性格が変異してしまうことがあるという、恐ろしい影響について。
そのせいで、彼は別人のようになってしまった? そのせいで、私は切り捨てられた?
記憶の中のエネドラは、私に優しく微笑みかけてくれる。
しかし、私の幸福な日々は、もう帰っては来ない気がした。