800文字チャレンジ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お姫様になりたかった。美しく、気品にあふれ、清らかな心のお姫様に憧れている。
しかし実際の自分ときたら、特に美しくもなく、品もなく、心は嫉妬にまみれているのだ。
それに何より、自分は男なのである。
けれど、お姫様になりたい。だって、おれが隣に立ちたいと想っている人は、王子様なのだ。
クラスメイトの、王子一彰。彼は爽やかな人で、知性にあふれ、王子の名に恥じない、カッコいい男の子である。それに、人に渾名を付けるのが好きなところは、愛嬌がある。そして、ボーダーに所属していて、三門市を守るヒーローでもある。非の打ち所のない人だと思う。
その彼のとなりに並ぶ、お姫様になりたい。
おれは毎日毎日、夜に眠る前には、祈りを捧げている。
「明日の朝、目覚めたら、お姫様のような可愛い女の子になっていますように……」
しかし、願いは叶わない。こんなに必死に祈っているというのに。
そこでおれは、少しでも理想のお姫様に近付くように、化粧をすることにした。
まずはスキンケアをするようにしてから、マスカラやチーク、リップなど、不慣れな手つきで化粧を施す。
悪くはない、気がする。ほんの少しだけ、お姫様になれた気がして、おれは嬉しくなった。
そのままの姿で、自宅で過ごしていたら、両親には驚かれたけれど、最終的には、こんなおれを受け入れてくれた。
良かった。怒られなくて。
そして、おれは化粧をして、登校することを決意する。本当に、本当に勇気が必要だったけれど。
すれ違う人や、友達には多少驚かれた。でも、おれが化粧を始めた理由は秘密だ。両親にさえ、言っていない。
ついに、と言うべきか、大好きな彼、王子くんが教室にやって来た。
そして、おれの方に視線が。彼の瞳に、化粧をしたおれが映る。
「お、おはよう、王子くん」
声が少し震える。
王子くんは、おれにニコッと微笑むと、挨拶を返してくれた。
「おはよう、姫」
「え、あの…………?」
「姫、昨日の数学の宿題やった?」
「う、うん」
「あれ、引っかけ問題ばかりあったよね」
「…………そうだね」
おれの渾名が、姫になったのだと理解するまでに、少し時間がかかった。
しかし実際の自分ときたら、特に美しくもなく、品もなく、心は嫉妬にまみれているのだ。
それに何より、自分は男なのである。
けれど、お姫様になりたい。だって、おれが隣に立ちたいと想っている人は、王子様なのだ。
クラスメイトの、王子一彰。彼は爽やかな人で、知性にあふれ、王子の名に恥じない、カッコいい男の子である。それに、人に渾名を付けるのが好きなところは、愛嬌がある。そして、ボーダーに所属していて、三門市を守るヒーローでもある。非の打ち所のない人だと思う。
その彼のとなりに並ぶ、お姫様になりたい。
おれは毎日毎日、夜に眠る前には、祈りを捧げている。
「明日の朝、目覚めたら、お姫様のような可愛い女の子になっていますように……」
しかし、願いは叶わない。こんなに必死に祈っているというのに。
そこでおれは、少しでも理想のお姫様に近付くように、化粧をすることにした。
まずはスキンケアをするようにしてから、マスカラやチーク、リップなど、不慣れな手つきで化粧を施す。
悪くはない、気がする。ほんの少しだけ、お姫様になれた気がして、おれは嬉しくなった。
そのままの姿で、自宅で過ごしていたら、両親には驚かれたけれど、最終的には、こんなおれを受け入れてくれた。
良かった。怒られなくて。
そして、おれは化粧をして、登校することを決意する。本当に、本当に勇気が必要だったけれど。
すれ違う人や、友達には多少驚かれた。でも、おれが化粧を始めた理由は秘密だ。両親にさえ、言っていない。
ついに、と言うべきか、大好きな彼、王子くんが教室にやって来た。
そして、おれの方に視線が。彼の瞳に、化粧をしたおれが映る。
「お、おはよう、王子くん」
声が少し震える。
王子くんは、おれにニコッと微笑むと、挨拶を返してくれた。
「おはよう、姫」
「え、あの…………?」
「姫、昨日の数学の宿題やった?」
「う、うん」
「あれ、引っかけ問題ばかりあったよね」
「…………そうだね」
おれの渾名が、姫になったのだと理解するまでに、少し時間がかかった。