アイツの表情は、何故か読めない。普通、カードで勝負をしていると何かしらの反応を見せるものなんだが。
　ポーカーフェイスどころじゃない。全くの「無」だ。
　初めて出会ったのが、ポーカーでの賭けの場だったのだが、あの時の衝撃は記憶に新しい。
　神聖。そんな単語が思い浮かぶような顔。場違いな男。だけど、その場を支配している存在。アイツの真上からだけ、光が降り注いでいるかのような。
　その光景を見てから、俺はアイツと出来る限り勝負をしてきたが、勝敗は五分五分といったところだ。
　アイツとの語り合いは、いつも真剣勝負で、命を賭けているかのように燃える。言葉は要らない。
　そんな勝負を、何度も何度も繰り返した。
　ああ、執着しているな。と思った時には、いつもの仲間には「今さら気付いたのか？」とバカにされた。