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「やあ、ターキッシュ」
この男はナマエ。
一見、人が良さそうな奴だが、悪徳警官だ。チップをもらうみたいに賄賂を受け取り、笑顔で罪を見逃す。
「元気か?」
何故かトミーのスロット店にやって来た警官は、胡散臭い笑みを浮かべて話しかけてくる。
「本当に俺が元気かどうか気になるのか? ナマエ」
「おい、あまり邪険にするなよ。傷付くだろ?」
思ってもないことを。
こいつは、「ブリックトップをやったのはパイキーだ」という俺の証言を、ずっと疑ってる。
別に俺がやったと思ってる訳じゃないようだが、とにかく信用してない。
噂によると、ナマエは裏ボクシングを嫌ってる。なんでも、奴は賭け事に弱いそうだ。賭け全般を嫌ってるらしい。だから、裏ボクシングのプロモーターである俺も信用ならない。そういう理屈だ。俺と同じように、トミーも嫌われてる。スロットは賭けだからな。
俺に言わせれば、警官の癖に袖の下を受け取るのも賭けみたいなもんだが。
「新しいトレーラーを買ったんだろ? ずいぶん羽振りがいいじゃないか」
「いや、ドイツ兵への備えを削って購入しただけだからな。羽振りがいいとは言えないだろう」
「そうかい」
ナマエは興味なさげに相づちを打つ。
「なあ、アントワープから盗まれた大粒のダイヤモンドのこと、なにか知らないか?」
おっと。良くない流れだ。話が良くない方に流れてきたぞ。
「ダイヤだ? あいにく、宝石には縁がなくてね」
「……そうか」
底意地の悪い笑みを浮かべるナマエ。
「単刀直入に言おう。俺は、ターキッシュ、お前が、お前らがダイヤを手にいれたんじゃないかと思ってる」
よりによってお前がダイヤの捜索を?
俺は悪夢でも見てるのか?
「だとしたら?」
「一枚噛ませてくれよ。アントワープの連中はまだ諦めてねぇぞ? ごまかすには俺の協力が必要だとは思わねぇか?」
「……いくら欲しい」
「いくらでも欲しいね」
「おい、ふざけるな」
「4割くれよ」
「多過ぎだ」
「じゃあ3割でいい」
「2割だ」
「3割」
「……分かったよ」
俺はどうも、ナマエに弱い。パイキー相手の交渉とは違う難しさがある。
奴とは短くない付き合いだが、それがどうしてなのかは、よく分からない。
ナマエがダイヤの捜索の担当になった時点で、こうなることは決まっていたのだろう。まただ。また、ナマエと金絡みで繋がりが出来ちまった。このままじゃ、いずれ奴に雁字搦めにされちまう。
「じゃあな、ターキッシュ。また今度」
悪夢は爽やかに去っていく。
俺はナマエを想い、溜め息をついた。
この男はナマエ。
一見、人が良さそうな奴だが、悪徳警官だ。チップをもらうみたいに賄賂を受け取り、笑顔で罪を見逃す。
「元気か?」
何故かトミーのスロット店にやって来た警官は、胡散臭い笑みを浮かべて話しかけてくる。
「本当に俺が元気かどうか気になるのか? ナマエ」
「おい、あまり邪険にするなよ。傷付くだろ?」
思ってもないことを。
こいつは、「ブリックトップをやったのはパイキーだ」という俺の証言を、ずっと疑ってる。
別に俺がやったと思ってる訳じゃないようだが、とにかく信用してない。
噂によると、ナマエは裏ボクシングを嫌ってる。なんでも、奴は賭け事に弱いそうだ。賭け全般を嫌ってるらしい。だから、裏ボクシングのプロモーターである俺も信用ならない。そういう理屈だ。俺と同じように、トミーも嫌われてる。スロットは賭けだからな。
俺に言わせれば、警官の癖に袖の下を受け取るのも賭けみたいなもんだが。
「新しいトレーラーを買ったんだろ? ずいぶん羽振りがいいじゃないか」
「いや、ドイツ兵への備えを削って購入しただけだからな。羽振りがいいとは言えないだろう」
「そうかい」
ナマエは興味なさげに相づちを打つ。
「なあ、アントワープから盗まれた大粒のダイヤモンドのこと、なにか知らないか?」
おっと。良くない流れだ。話が良くない方に流れてきたぞ。
「ダイヤだ? あいにく、宝石には縁がなくてね」
「……そうか」
底意地の悪い笑みを浮かべるナマエ。
「単刀直入に言おう。俺は、ターキッシュ、お前が、お前らがダイヤを手にいれたんじゃないかと思ってる」
よりによってお前がダイヤの捜索を?
俺は悪夢でも見てるのか?
「だとしたら?」
「一枚噛ませてくれよ。アントワープの連中はまだ諦めてねぇぞ? ごまかすには俺の協力が必要だとは思わねぇか?」
「……いくら欲しい」
「いくらでも欲しいね」
「おい、ふざけるな」
「4割くれよ」
「多過ぎだ」
「じゃあ3割でいい」
「2割だ」
「3割」
「……分かったよ」
俺はどうも、ナマエに弱い。パイキー相手の交渉とは違う難しさがある。
奴とは短くない付き合いだが、それがどうしてなのかは、よく分からない。
ナマエがダイヤの捜索の担当になった時点で、こうなることは決まっていたのだろう。まただ。また、ナマエと金絡みで繋がりが出来ちまった。このままじゃ、いずれ奴に雁字搦めにされちまう。
「じゃあな、ターキッシュ。また今度」
悪夢は爽やかに去っていく。
俺はナマエを想い、溜め息をついた。