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管に巻かれて、夢の中。
今日も私は、病室のベッドで目が覚めた。
私の命は、もう長くない。
夜、眠る時に、明日の朝に目覚めなかったらと思うと恐ろしくて堪らないでいる。
そんな日々を送っていた。ある日の消灯時間過ぎ。
「こんばんは」
窓の外からの月明かりと、かすかな常夜灯に照らされて、見知らぬ者がやって来た。いや、やって来たというよりは、始めからそこに在った者が突然見えるようになったかのよう。大きな鎌を携えている。
とうとう死神が来た、と思った。
「私は、死ぬのか…………」
「ああ。キミは死ぬね。人間ってのは、そういうものだ」
「はは。その通りだ。それで、私は、どこへ逝くんだい?」
「さあね。キミは、多くを殺した悪人だ。それにキミは、多くを生かした善人だ。カミサマの裁定を待つといい」
少年とも少女ともつかない声色で、囁くように答えられる。
「君は、死神か?」
「ああ。ボクは死神だ。キミが悪人だったら、その魂を刈り取る」
「そうか。私は、自分の正義のために生きてきたが、最期は分からないものだな」
くくっと死神は笑った。
「正義か。万人が好きなものだね。まるでそれが絶対的であるかのようだ。そんなものは、まやかしに過ぎないというのに」
「今にして思えば、そうなのかもしれない。ただ私は、この腕が届く人々を救いたかっただけなのに」
「救うとは、大仰な言い草だね。全く、傲慢極まりない」
私は、何も言えない。大それた夢を見ていたのは本当のことだ。正義を掲げ、理想を抱き、その挙げ句の果てが現在なのである。
剣を持てなくなった私には、価値がない。
「私の人生には、なんの意味もなかった」
「ああ。キミの人生には、なんの意味もない。人の命なんて、そんなものさ」
死神は、からから笑う。
「だが、キミの真価は、死んだ後に分かるものだよ。ま、それを知る術は、キミにはないけれどね」
「ははっ」
死後に遺されたものがあるなら。私が切り開いて来た道が残るなら。
私は、充分に幸福だった。
今日も私は、病室のベッドで目が覚めた。
私の命は、もう長くない。
夜、眠る時に、明日の朝に目覚めなかったらと思うと恐ろしくて堪らないでいる。
そんな日々を送っていた。ある日の消灯時間過ぎ。
「こんばんは」
窓の外からの月明かりと、かすかな常夜灯に照らされて、見知らぬ者がやって来た。いや、やって来たというよりは、始めからそこに在った者が突然見えるようになったかのよう。大きな鎌を携えている。
とうとう死神が来た、と思った。
「私は、死ぬのか…………」
「ああ。キミは死ぬね。人間ってのは、そういうものだ」
「はは。その通りだ。それで、私は、どこへ逝くんだい?」
「さあね。キミは、多くを殺した悪人だ。それにキミは、多くを生かした善人だ。カミサマの裁定を待つといい」
少年とも少女ともつかない声色で、囁くように答えられる。
「君は、死神か?」
「ああ。ボクは死神だ。キミが悪人だったら、その魂を刈り取る」
「そうか。私は、自分の正義のために生きてきたが、最期は分からないものだな」
くくっと死神は笑った。
「正義か。万人が好きなものだね。まるでそれが絶対的であるかのようだ。そんなものは、まやかしに過ぎないというのに」
「今にして思えば、そうなのかもしれない。ただ私は、この腕が届く人々を救いたかっただけなのに」
「救うとは、大仰な言い草だね。全く、傲慢極まりない」
私は、何も言えない。大それた夢を見ていたのは本当のことだ。正義を掲げ、理想を抱き、その挙げ句の果てが現在なのである。
剣を持てなくなった私には、価値がない。
「私の人生には、なんの意味もなかった」
「ああ。キミの人生には、なんの意味もない。人の命なんて、そんなものさ」
死神は、からから笑う。
「だが、キミの真価は、死んだ後に分かるものだよ。ま、それを知る術は、キミにはないけれどね」
「ははっ」
死後に遺されたものがあるなら。私が切り開いて来た道が残るなら。
私は、充分に幸福だった。
