一次創作夢
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親の因果が子に報い、生まれ出でたるこの姿。 此方彼方に相見ゆるは、双び立たざる相似形。
──東京、丑三つ時。新月の下、相似形の男二人が対峙する。
長い金髪をきっちり一本の三つ編みにしている、前髪で両目が隠れた黒いスーツの男。愛坂狂次。
長い金髪をゆるく一本の三つ編みにしている、眼鏡をかけた伏し目のチャイナ服の男。愛坂慧三。
二人はナイフを持ち、一進一退の攻防を続けている。
「…………」
「楽しいね、きょーちゃん!」
兄は無言で、弟は時折軽口を叩いて、仕合わせは繰り広げられた。
それを離れた所で観戦する二つの影。煙草を吸いながら、双子を見ている。
そもそも、愛坂兄弟が殺し合いを始めた理由は。
◆◆◆
千葉県のとある山間の寒村。
双子の愛坂狂次と慧三は、神として奉られていた。
御簾の奥に控え、信者たちから貢ぎ物を受け取る日々。
「狂次様、慧三様」
「はい」
「はーい」
「お食事の時間です」
二人は、奥の部屋へ行き、昼食を摂る。
御膳には、新鮮な山と川の幸が盛られ、彩り豊かで味も良い。
「岩魚が美味しいですね」
「美味しいね~」
昼食を終えると、また村人たちに謁見の機会を授けた。
「妻が病に倒れまして……」
「祈りましょう」
「祈りましょ~」
「ありがとうございます」
男は、金を入れた袋を残して帰る。
そういったことの繰り返し。日々、狂次と慧三は、崇められて暮らしている。
ある時。村中のほとんどの者が重い感染症に罹り、老人ばかりだったのもあり、ばたばたと死んでいく。
そんな中、双子の両親は、金目のものを持って夜逃げした。
残された兄弟は、家に残された食料で命を繋いだが、やがては食べるものがなくなる。
「お腹空いたな~」
「…………」
「きょーちゃん?」
慧三は、隣の兄を見た。
まだ息はしているが、死にかけている。
「きょーちゃん……やだよ。置いてかないでよ…………」
愛坂狂次は、返事をしない。
「きょーちゃん…………」
意識のない兄を、どうすればいいのか分からなかった。
その時。二人の寝室の前から、声が聴こえた。
「ここじゃない?」
「入ろう」
扉を開けたのは、学ランを着た男達で。
彼らが近付いて来るのを目にしてから、愛坂慧三も意識を失った。
「へぇ。見事だね」
「うむ」
「じゃ、連れてこっか」
「ああ。死なれては困る。急ぐぞ」
黒い男たちが見付けたのは、美しい着物の、愛坂狂次と慧三という結合双生児。
◆◆◆
愛坂慧三が目覚めた時。いつも隣にいるはずの兄はいなかった。
そして、片腕と片足と胸部が半透明になっている。
「起きたか」
「オニーサン、誰?」
学ランの男に尋ねた。
「山家淡墨だ」
「アワスミさん、きょーちゃんはどこ?」
「月城月白という男の家にいる」
そういえば。気絶する前に二人の男を見たような。
「オレ達、なんで離れてるの?」
「体を分けた。無い部分は、幻肢で補っている」
「げんし?」
「お前の右腕と右足と胸部が、それだ」
よく分からないが、摩訶不思議な現象が起きていることだけ分かった。
「つまり、きょーちゃんが右腕と右足と胸部を持ってるってこと?」
「そうだ。これから、お前達には、仕合わせをしてもらう」
仕合わせとは、双子の兄弟が争い、体を奪い合うことである。
そして、彼らの戦いが始まった。
──東京、丑三つ時。新月の下、相似形の男二人が対峙する。
長い金髪をきっちり一本の三つ編みにしている、前髪で両目が隠れた黒いスーツの男。愛坂狂次。
長い金髪をゆるく一本の三つ編みにしている、眼鏡をかけた伏し目のチャイナ服の男。愛坂慧三。
二人はナイフを持ち、一進一退の攻防を続けている。
「…………」
「楽しいね、きょーちゃん!」
兄は無言で、弟は時折軽口を叩いて、仕合わせは繰り広げられた。
それを離れた所で観戦する二つの影。煙草を吸いながら、双子を見ている。
そもそも、愛坂兄弟が殺し合いを始めた理由は。
◆◆◆
千葉県のとある山間の寒村。
双子の愛坂狂次と慧三は、神として奉られていた。
御簾の奥に控え、信者たちから貢ぎ物を受け取る日々。
「狂次様、慧三様」
「はい」
「はーい」
「お食事の時間です」
二人は、奥の部屋へ行き、昼食を摂る。
御膳には、新鮮な山と川の幸が盛られ、彩り豊かで味も良い。
「岩魚が美味しいですね」
「美味しいね~」
昼食を終えると、また村人たちに謁見の機会を授けた。
「妻が病に倒れまして……」
「祈りましょう」
「祈りましょ~」
「ありがとうございます」
男は、金を入れた袋を残して帰る。
そういったことの繰り返し。日々、狂次と慧三は、崇められて暮らしている。
ある時。村中のほとんどの者が重い感染症に罹り、老人ばかりだったのもあり、ばたばたと死んでいく。
そんな中、双子の両親は、金目のものを持って夜逃げした。
残された兄弟は、家に残された食料で命を繋いだが、やがては食べるものがなくなる。
「お腹空いたな~」
「…………」
「きょーちゃん?」
慧三は、隣の兄を見た。
まだ息はしているが、死にかけている。
「きょーちゃん……やだよ。置いてかないでよ…………」
愛坂狂次は、返事をしない。
「きょーちゃん…………」
意識のない兄を、どうすればいいのか分からなかった。
その時。二人の寝室の前から、声が聴こえた。
「ここじゃない?」
「入ろう」
扉を開けたのは、学ランを着た男達で。
彼らが近付いて来るのを目にしてから、愛坂慧三も意識を失った。
「へぇ。見事だね」
「うむ」
「じゃ、連れてこっか」
「ああ。死なれては困る。急ぐぞ」
黒い男たちが見付けたのは、美しい着物の、愛坂狂次と慧三という結合双生児。
◆◆◆
愛坂慧三が目覚めた時。いつも隣にいるはずの兄はいなかった。
そして、片腕と片足と胸部が半透明になっている。
「起きたか」
「オニーサン、誰?」
学ランの男に尋ねた。
「山家淡墨だ」
「アワスミさん、きょーちゃんはどこ?」
「月城月白という男の家にいる」
そういえば。気絶する前に二人の男を見たような。
「オレ達、なんで離れてるの?」
「体を分けた。無い部分は、幻肢で補っている」
「げんし?」
「お前の右腕と右足と胸部が、それだ」
よく分からないが、摩訶不思議な現象が起きていることだけ分かった。
「つまり、きょーちゃんが右腕と右足と胸部を持ってるってこと?」
「そうだ。これから、お前達には、仕合わせをしてもらう」
仕合わせとは、双子の兄弟が争い、体を奪い合うことである。
そして、彼らの戦いが始まった。
