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「そこに座ると呪われるわよ」と、星見の魔女は言った。
彼女の自宅は、よく星が見えるように天窓があったり、様々な薬草が吊るされていたり、大釜が置いてあったりして、魔女然としている。
そんな中で特に目を引く訳でもない、それ。
「殺人鬼が愛用していたものなの。彼の霊に呪われて死ぬわ」
「嘘をつけ」
僕は、彼女の冗談には、ほとほと呆れて言った。
「じゃあ、座ってみる?」
「…………」
「ふふ。やめておきなさい、ファウスト。それは、座る者を自分で選ぶ子なのよ。それに座りたいと思わないのなら、座るべきではないわ」
魔女は、わずかに口角を上げて言う。
「実際のところ、これは何なんだ?」
「それは、私の母が作ったものよ。私への誕生日の贈り物だったの。今まで、私以外を座らせたことはないわ」
「呪いとは真逆じゃないか」
「そうかもしれないわね」
友人に、別の椅子に座らされ、僕は出されたカモミールティーを飲んだ。
「それで、本題は?」
「私、あなたのことが心配だわ」
「は?」
「ちゃんと賢者の役に立ってるのかしら?」
「さあね」
賢者に、積極的に協力するつもりはない。
「まったく、仕方のない人。過去は、いつまでもあなたの背後にあるものよ」
「…………」
この友人は、お節介なところがあり、度々僕に「賢者と仲良くしなさい」と言ってくる。
「知っていると思うけれど、賢者は心の中の特別な椅子にファウストを座らせているわ。応えてあげないの?」
「僕には、そんなことは関係ない」
「そう。そういう選択をするのね。それはそれで、いいのかもしれないわね」
珍しい。彼女が、僕の意見を肯定するなんて。
「凪の中に居続けたいのなら、それでいいのでしょう」
どこか冷めた目をした彼女。
彼女は、僕の過去を知っている。だからだろう、諦めを見せたのは。
「きみらしくないな」
「……そうね。さっきの言葉、撤回させてもらうわね。あなたは、嵐の中に踏み出しなさい」
「誰が、そこまで意見を変えろと言った」
「私の友人の幸せを願って何が悪いのかしら?」
星見の魔女は、不適に笑った。
彼女の自宅は、よく星が見えるように天窓があったり、様々な薬草が吊るされていたり、大釜が置いてあったりして、魔女然としている。
そんな中で特に目を引く訳でもない、それ。
「殺人鬼が愛用していたものなの。彼の霊に呪われて死ぬわ」
「嘘をつけ」
僕は、彼女の冗談には、ほとほと呆れて言った。
「じゃあ、座ってみる?」
「…………」
「ふふ。やめておきなさい、ファウスト。それは、座る者を自分で選ぶ子なのよ。それに座りたいと思わないのなら、座るべきではないわ」
魔女は、わずかに口角を上げて言う。
「実際のところ、これは何なんだ?」
「それは、私の母が作ったものよ。私への誕生日の贈り物だったの。今まで、私以外を座らせたことはないわ」
「呪いとは真逆じゃないか」
「そうかもしれないわね」
友人に、別の椅子に座らされ、僕は出されたカモミールティーを飲んだ。
「それで、本題は?」
「私、あなたのことが心配だわ」
「は?」
「ちゃんと賢者の役に立ってるのかしら?」
「さあね」
賢者に、積極的に協力するつもりはない。
「まったく、仕方のない人。過去は、いつまでもあなたの背後にあるものよ」
「…………」
この友人は、お節介なところがあり、度々僕に「賢者と仲良くしなさい」と言ってくる。
「知っていると思うけれど、賢者は心の中の特別な椅子にファウストを座らせているわ。応えてあげないの?」
「僕には、そんなことは関係ない」
「そう。そういう選択をするのね。それはそれで、いいのかもしれないわね」
珍しい。彼女が、僕の意見を肯定するなんて。
「凪の中に居続けたいのなら、それでいいのでしょう」
どこか冷めた目をした彼女。
彼女は、僕の過去を知っている。だからだろう、諦めを見せたのは。
「きみらしくないな」
「……そうね。さっきの言葉、撤回させてもらうわね。あなたは、嵐の中に踏み出しなさい」
「誰が、そこまで意見を変えろと言った」
「私の友人の幸せを願って何が悪いのかしら?」
星見の魔女は、不適に笑った。