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手のひらに収まる小さなカンバスに、細密画を描いている。
季節の花々。行事。美しいものなら、なんでも描いた。
私の筆は、誰にも止められない。それは、私自身にも。
ある日、勉強のために展示会へ行くと、素晴らしい絵があった。
タイトルは、「欲望と希望」。抽象画には詳しくないけれど、私にはとても美しく見える。
作者は、喜多川祐介。私のクラスメイトだった。
私は、彼と話したことはない。
でも、次の登校日に話しかけようと思う。
そして、その時はすぐにやってきた。
「あの、喜多川くん」
「なんだ?」
「あなたの絵を見せてもらったんだけど。凄くよかった。なんか、じーんとしたよ」
「そうか。ありがとう」
「うん」
直接伝えられてよかったな。
「君は、いつも小さな細密画を描いているが、あれは素晴らしい。俺も緻密な絵を描いてみたいと思わされた」
「えっ。見てたの?!」
そう。そうなんだ。私は、あなたの絵を全然見てなかったのに。
私は、恥ずかしくなった。
「ああ。君の絵は、この世界の美しいものを切り取ったいい絵だ」
「ありがとう、喜多川くん」
少し泣きそうになりながら、私は微笑む。
喜多川くんと別れて、自分の席に戻った。
その日から、私は新しい絵を描き始める。
ふたりの芸術家が並んでいる絵。私と、あなた。
私は、背景まで含めて細かく描き込んでいく。
精密に、正確に。
「出来た!」
「お疲れ様」
「喜多川くん!?」
いつの間にか、背後には彼がいた。
「いい絵だ。タイトルは?」
「……ふたつの卵」
「卵?」
「ふたりの芸術家の卵を描いたんだ」
「なるほど」
今は小さくても、いつか大きな翼を広げて飛び立てる。そんな気がした。
いや、喜多川くんは、もう世界を壊しているかも。
“卵は世界だ、生まれようと欲するものは一つの世界を破壊しなければならない”
あなたのように、私も世界を壊したい。
季節の花々。行事。美しいものなら、なんでも描いた。
私の筆は、誰にも止められない。それは、私自身にも。
ある日、勉強のために展示会へ行くと、素晴らしい絵があった。
タイトルは、「欲望と希望」。抽象画には詳しくないけれど、私にはとても美しく見える。
作者は、喜多川祐介。私のクラスメイトだった。
私は、彼と話したことはない。
でも、次の登校日に話しかけようと思う。
そして、その時はすぐにやってきた。
「あの、喜多川くん」
「なんだ?」
「あなたの絵を見せてもらったんだけど。凄くよかった。なんか、じーんとしたよ」
「そうか。ありがとう」
「うん」
直接伝えられてよかったな。
「君は、いつも小さな細密画を描いているが、あれは素晴らしい。俺も緻密な絵を描いてみたいと思わされた」
「えっ。見てたの?!」
そう。そうなんだ。私は、あなたの絵を全然見てなかったのに。
私は、恥ずかしくなった。
「ああ。君の絵は、この世界の美しいものを切り取ったいい絵だ」
「ありがとう、喜多川くん」
少し泣きそうになりながら、私は微笑む。
喜多川くんと別れて、自分の席に戻った。
その日から、私は新しい絵を描き始める。
ふたりの芸術家が並んでいる絵。私と、あなた。
私は、背景まで含めて細かく描き込んでいく。
精密に、正確に。
「出来た!」
「お疲れ様」
「喜多川くん!?」
いつの間にか、背後には彼がいた。
「いい絵だ。タイトルは?」
「……ふたつの卵」
「卵?」
「ふたりの芸術家の卵を描いたんだ」
「なるほど」
今は小さくても、いつか大きな翼を広げて飛び立てる。そんな気がした。
いや、喜多川くんは、もう世界を壊しているかも。
“卵は世界だ、生まれようと欲するものは一つの世界を破壊しなければならない”
あなたのように、私も世界を壊したい。