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自己など必要なく、自我などないも同然で、自分という存在が交換可能な部品のようだった。
朝、5時に起きる。社会に溶け込めるように身支度をして、朝食という名の餌を摂り、出勤する。
夜、10時に帰宅。都市用迷彩を脱ぎ捨て、シャワーを浴びる。私というものが全て、排水口へ流れてしまえばいいと思わなくもない。跡形もなく消えてしまえたらと。
その後。惰性でつけたテレビが流す番組には、さして興味がなく。取り上げられている爆発事件も、どこか遠いところのお話みたいで。
味気ない食事を終えて、睡眠薬を飲んで就寝した。
数日後。営業先の老婦人の家で、何かが引っかかる。
初めは、それが特別な物だと分からなかったけれど、私は垂れ流していたニュース番組で見たのだと思い出した。
それは、デイリーファストの段ボール箱。確か、中身が爆発物になっていたと言われていた。
私の、保険のプランの説明は途切れ、家主は不思議そうな顔をしている。
「あの、それ…………」
「どうしたの?」
「その荷物、デリファスのですよね?」
「ええ」
「それ、開けましたか?」
「いえ、まだよ」
私は、少し躊躇った後、老婦人に告げることにした。
「爆発物が入っているかもしれません。開けないでください」
「事件のことなら知っています。あなた、いい人なのね」
潜在顧客に「いい人」と言われ、私は狼狽える。
「私は…………」
「それで、お話の続きは?」
「こんな…………」
「え?」
私は確かに、その時に爆発した。
「こんなブラック企業の保険なんて、入らない方がいいです! 私なら、入りません!」
「まあ……!」
なんで、朝礼に強制参加でクソみたいな社訓の唱和しなきゃならないんだよ! なんで、昼の休憩時間が10分しかないんだよ! なんで、こんなに働いてるのに薄給なんだよ!
「私、弊社を訴えます! 毎日が苦痛なんです! 失礼します!」
「そう。がんばりなさいな」
「はい!」
私は、私を取り戻す。そのためなら、もう少し走れる気がした。
朝、5時に起きる。社会に溶け込めるように身支度をして、朝食という名の餌を摂り、出勤する。
夜、10時に帰宅。都市用迷彩を脱ぎ捨て、シャワーを浴びる。私というものが全て、排水口へ流れてしまえばいいと思わなくもない。跡形もなく消えてしまえたらと。
その後。惰性でつけたテレビが流す番組には、さして興味がなく。取り上げられている爆発事件も、どこか遠いところのお話みたいで。
味気ない食事を終えて、睡眠薬を飲んで就寝した。
数日後。営業先の老婦人の家で、何かが引っかかる。
初めは、それが特別な物だと分からなかったけれど、私は垂れ流していたニュース番組で見たのだと思い出した。
それは、デイリーファストの段ボール箱。確か、中身が爆発物になっていたと言われていた。
私の、保険のプランの説明は途切れ、家主は不思議そうな顔をしている。
「あの、それ…………」
「どうしたの?」
「その荷物、デリファスのですよね?」
「ええ」
「それ、開けましたか?」
「いえ、まだよ」
私は、少し躊躇った後、老婦人に告げることにした。
「爆発物が入っているかもしれません。開けないでください」
「事件のことなら知っています。あなた、いい人なのね」
潜在顧客に「いい人」と言われ、私は狼狽える。
「私は…………」
「それで、お話の続きは?」
「こんな…………」
「え?」
私は確かに、その時に爆発した。
「こんなブラック企業の保険なんて、入らない方がいいです! 私なら、入りません!」
「まあ……!」
なんで、朝礼に強制参加でクソみたいな社訓の唱和しなきゃならないんだよ! なんで、昼の休憩時間が10分しかないんだよ! なんで、こんなに働いてるのに薄給なんだよ!
「私、弊社を訴えます! 毎日が苦痛なんです! 失礼します!」
「そう。がんばりなさいな」
「はい!」
私は、私を取り戻す。そのためなら、もう少し走れる気がした。