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それは、恥ずべきものだと思った。それは、石を投げられて当然のものだとされていた。それは、いずれ卒業するはずのものだった。
だから私は、インターネットの片隅でひっそりと生きている。SNSの鍵アカウントで。
リアルの友人には、オタクもいたけれど、みんな夢小説には理解がない。
私は、ネットでだけは夢小説が好きなオタクでいられた。
オープンな二次創作投稿サイトに夢小説が溢れている現在。それを、私は、まるで夢のようだと思っている。
昔は、みんな検索避けした個人サイトでやっていたことが、こんなに表に出ているなんて。
そんな風に感慨深く過ごしていた、ある日。SNSのフォロワーに、サシでオフ会をしないかと誘われた。
『いつも長文の丁寧な感想ありがとうございます。よかったら、今度アフタヌーンティーでも行きませんか?』
DMで感想を送った後に、そう返信がきたのである。
彼女は、同じ推しで夢小説を書いている人で、私は、彼女の作品のファンである。
近頃の私は、夢小説よりも他人が書いた夢小説の感想を書くことが多い。私のような者が、彼女と会っていいのだろうか?
だけど、友人になれたら? リアルでも、夢創作を語れる仲間が出来る。
『いいんですか?! めちゃくちゃ行きたいです!』
私は、つい、そう返事をしてしまった。
そして。アフタヌーンティーオフ当日。
まず驚いたのは、彼女が高校生だったことだ。
ここで私は、少し怖くなった。何かあったら、成人の私が彼女を守らなくてはならない。
「神庭燈子です、本名」
一礼する神庭さんに合わせて、私も自己紹介をして、礼をした。
「よろしくお願いします」
「不思議ですね、何年も付き合いがあるのに」
「そうですね。私たち、推しの話ばかりしていたから。お互いのこと、全然知らないですね」
ネットではよくあること。趣味嗜好だけで繋がり、パーソナルな話はほとんどしない。
予約席に座り、お茶を飲みながら、私たちは会話を続ける。
「あの、何か勉強されてます? 感想文がとてもお上手だから」
「は、はい。感想文の教本を何冊か読みまして」
「そうだったんですね。改めて、いつもありがとうございます」
「いや、そんな、私こそ、いつもありがとうございます。素敵な作品を読ませていただいて」
「じゃあ、お互い様ということで」
「はい、夢小説愛好家同士ですから」
私たちは、くすりと笑った。
神庭さんのような子たちに、呪いを受け継がせたくないと強く思う。
夢創作は恥ずべきもの? センシティブ? 隠れなくてはならない? いずれ卒業するもの?
そんなことない。
恥ずかしいと思うのは構わない。エログロなら、ゾーニングしなくてはならない。二次創作の中で、夢だけが特別隠れなくてはならない理由はない。卒業なんて、しなくてもいい。
あなたが自由に作り出すものを、私は愛している。
だから私は、インターネットの片隅でひっそりと生きている。SNSの鍵アカウントで。
リアルの友人には、オタクもいたけれど、みんな夢小説には理解がない。
私は、ネットでだけは夢小説が好きなオタクでいられた。
オープンな二次創作投稿サイトに夢小説が溢れている現在。それを、私は、まるで夢のようだと思っている。
昔は、みんな検索避けした個人サイトでやっていたことが、こんなに表に出ているなんて。
そんな風に感慨深く過ごしていた、ある日。SNSのフォロワーに、サシでオフ会をしないかと誘われた。
『いつも長文の丁寧な感想ありがとうございます。よかったら、今度アフタヌーンティーでも行きませんか?』
DMで感想を送った後に、そう返信がきたのである。
彼女は、同じ推しで夢小説を書いている人で、私は、彼女の作品のファンである。
近頃の私は、夢小説よりも他人が書いた夢小説の感想を書くことが多い。私のような者が、彼女と会っていいのだろうか?
だけど、友人になれたら? リアルでも、夢創作を語れる仲間が出来る。
『いいんですか?! めちゃくちゃ行きたいです!』
私は、つい、そう返事をしてしまった。
そして。アフタヌーンティーオフ当日。
まず驚いたのは、彼女が高校生だったことだ。
ここで私は、少し怖くなった。何かあったら、成人の私が彼女を守らなくてはならない。
「神庭燈子です、本名」
一礼する神庭さんに合わせて、私も自己紹介をして、礼をした。
「よろしくお願いします」
「不思議ですね、何年も付き合いがあるのに」
「そうですね。私たち、推しの話ばかりしていたから。お互いのこと、全然知らないですね」
ネットではよくあること。趣味嗜好だけで繋がり、パーソナルな話はほとんどしない。
予約席に座り、お茶を飲みながら、私たちは会話を続ける。
「あの、何か勉強されてます? 感想文がとてもお上手だから」
「は、はい。感想文の教本を何冊か読みまして」
「そうだったんですね。改めて、いつもありがとうございます」
「いや、そんな、私こそ、いつもありがとうございます。素敵な作品を読ませていただいて」
「じゃあ、お互い様ということで」
「はい、夢小説愛好家同士ですから」
私たちは、くすりと笑った。
神庭さんのような子たちに、呪いを受け継がせたくないと強く思う。
夢創作は恥ずべきもの? センシティブ? 隠れなくてはならない? いずれ卒業するもの?
そんなことない。
恥ずかしいと思うのは構わない。エログロなら、ゾーニングしなくてはならない。二次創作の中で、夢だけが特別隠れなくてはならない理由はない。卒業なんて、しなくてもいい。
あなたが自由に作り出すものを、私は愛している。