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デュース・スペードが気に食わない。
変に真面目ぶっているところが、癇に障る。
同じハーツラビュル寮で、同じクラスだから、どうしても目についてしまうのだ。
だが俺は、あからさまに「お前を嫌っている」なんて態度はとらない。
ただ、ほんの少し不親切にするだけ。けれど、対応は丁寧に。それが、俺の嫌いな奴への接し方である。
デュースの方も俺が苦手らしく、どうも態度がよそよそしい。俺と相対する時、必ずと言っていいほど目を逸らしていたり、落ち着きがなかったりするのだ。
なんだよ、その態度。と、俺は毎回思うが、口にはしない。
俺が奴を嫌っているのは、不良が真面目ぶっているのが分かるからである。たまに粗暴な顔を覗かせる、デュース・スペードがムカつく。
実は、俺も真面目ぶっている不良である。つまりは、同族嫌悪。
しかし、俺の方が上手く「真面目」をやれているという自負がある。
だから、奴を見ていると腹が立つのだ。なんだか、不器用な自分を見ているようで。
ある日、俺とデュースは、クルーウェル先生に授業で使う資料を運ぶように頼まれた。
頼まれ事は、無言のままに終わるかと思われたが、意外にもデュースに話しかけられる。
デュースは、躊躇いがちに、「なあ、ナマエは、僕のことが気に入らないのか?」と訊いてきた。これまた意外だったのだが、俺がデュースを嫌っていることに、彼は感付いていたらしい。
俺は、少し考えてから、「いや、俺はお前のこと好きだぜ?」と返す。
気持ち悪いだろう! 嫌いな奴に好意を持たれるのは!
そう内心で勝ち誇っている俺の告白もどきを聞いたデュースは、何故か顔を真っ赤にした。
「えっ?! その、僕も、その、好きだッ!」
「えっ!?」
奴の告白を聞いた俺は、顔を真っ青にした。
した、はずだ。
だって、そうじゃなきゃ変だ。デュース・スペードに好かれて嬉しい訳がないのだから!
俺は、自身の顔が熱くなっていることから、なんとか意識を逸らした。
「その、僕はずっとナマエに憧れていたんだ。ナマエは成績優秀で、人当たりのいい優等生で……凄いと思う。それで、いつからか、好きになっていて……でも、ナマエの僕に対する態度はなんだか冷たくて……嫌われてるんじゃないかと思ってたんだ。でも、逆だったんだな!」
やめろ。
やめてくれ。俺を解体しようとするな。理解しようとするな。
俺を、好きだなんて言うな。
優等生の俺なんて、偽物なんだから。
ダメだ。デュースから意識を逸らせない。
ああ、俺はコイツに、本当の自分を見せた上で、好かれたいのか。デュースが真っ直ぐに見つめてくるせいで、自分の気持ちに気付いてしまった。
この時から、俺の恋は始まった。
デュース・スペード(ツイステ)/くれない様
リクエストありがとうございました!
2020/08/01
変に真面目ぶっているところが、癇に障る。
同じハーツラビュル寮で、同じクラスだから、どうしても目についてしまうのだ。
だが俺は、あからさまに「お前を嫌っている」なんて態度はとらない。
ただ、ほんの少し不親切にするだけ。けれど、対応は丁寧に。それが、俺の嫌いな奴への接し方である。
デュースの方も俺が苦手らしく、どうも態度がよそよそしい。俺と相対する時、必ずと言っていいほど目を逸らしていたり、落ち着きがなかったりするのだ。
なんだよ、その態度。と、俺は毎回思うが、口にはしない。
俺が奴を嫌っているのは、不良が真面目ぶっているのが分かるからである。たまに粗暴な顔を覗かせる、デュース・スペードがムカつく。
実は、俺も真面目ぶっている不良である。つまりは、同族嫌悪。
しかし、俺の方が上手く「真面目」をやれているという自負がある。
だから、奴を見ていると腹が立つのだ。なんだか、不器用な自分を見ているようで。
ある日、俺とデュースは、クルーウェル先生に授業で使う資料を運ぶように頼まれた。
頼まれ事は、無言のままに終わるかと思われたが、意外にもデュースに話しかけられる。
デュースは、躊躇いがちに、「なあ、ナマエは、僕のことが気に入らないのか?」と訊いてきた。これまた意外だったのだが、俺がデュースを嫌っていることに、彼は感付いていたらしい。
俺は、少し考えてから、「いや、俺はお前のこと好きだぜ?」と返す。
気持ち悪いだろう! 嫌いな奴に好意を持たれるのは!
そう内心で勝ち誇っている俺の告白もどきを聞いたデュースは、何故か顔を真っ赤にした。
「えっ?! その、僕も、その、好きだッ!」
「えっ!?」
奴の告白を聞いた俺は、顔を真っ青にした。
した、はずだ。
だって、そうじゃなきゃ変だ。デュース・スペードに好かれて嬉しい訳がないのだから!
俺は、自身の顔が熱くなっていることから、なんとか意識を逸らした。
「その、僕はずっとナマエに憧れていたんだ。ナマエは成績優秀で、人当たりのいい優等生で……凄いと思う。それで、いつからか、好きになっていて……でも、ナマエの僕に対する態度はなんだか冷たくて……嫌われてるんじゃないかと思ってたんだ。でも、逆だったんだな!」
やめろ。
やめてくれ。俺を解体しようとするな。理解しようとするな。
俺を、好きだなんて言うな。
優等生の俺なんて、偽物なんだから。
ダメだ。デュースから意識を逸らせない。
ああ、俺はコイツに、本当の自分を見せた上で、好かれたいのか。デュースが真っ直ぐに見つめてくるせいで、自分の気持ちに気付いてしまった。
この時から、俺の恋は始まった。
デュース・スペード(ツイステ)/くれない様
リクエストありがとうございました!
2020/08/01