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「アンタ、あの兄弟と付き合ってるの? 色々と噂になってるわよ」
授業までの間に、隣に座っている友人、ヴィル・シェーンハイトが、出し抜けに小さく訊いてきた。
ナマエ・ミョウジの噂。
曰く、ジェイド・リーチと付き合っている。
曰く、フロイド・リーチと付き合っている。
「それは、その…………」
どうしよう。緊張から、飛行酔いした時のような気持ち悪さが襲って来る。
ヴィルは、「どっちと付き合ってるの?」とは訊かなかった。「あの兄弟と付き合ってるの?」という台詞から、彼は、ふたりと付き合っていると確信している様子だ。
大切な友人に嘘をつきたくはない。しかし、彼がふたりと付き合っていることに、否定的な考えを持っていたら? 浮気者だとか、不誠実だとか思われていたら?
どうすればいいのだろう。
「おえ」
余りの緊張状態から、胃酸が込み上げてきてしまった。
「ちょっと!? 大丈夫?!」
「だ、大丈夫……ごめん、ヴィル……」
口元を手で押さえながら謝るナマエ。
「アタシが悪かったわ。単刀直入が過ぎた」
「いや、ヴィルが謝ることなんてないよ……」
「ナマエが謝ることもないわよ。言っておくけどね、アンタたちの愛のカタチについて、文句を言ってやろうなんてつもりは、更々ないの。本当よ」
「そう、なんだ……ごめん、ヴィル……」
ナマエは、友人を信じきれていなかった自分を恥じた。
「謝り過ぎよ」
それを分かっていて、ヴィルは微笑を返す。
「実はね————」
ナマエは語る。自ら他人に話すのは、これが初めてだ。
ヴィルは、ただ、黙って聞いている。
「ヴィルの言った通り、ワタシはふたりと付き合っているんだ」
話を終えた後、ヴィルは優しく言った。
「愛すべき人がいるのは、素敵なことね」
◆◆◆
ふたりに、愛してると告げたい。ヴィルと話してから、その気持ちが、ずっとナマエの心の中にある。
今なら、きっと今なら、自信を持って言える気がするのだ。
ナマエは、意を決して口を開く。
「ウツボちゃんたち」
「んー?」
「なにか?」
「愛してるよ」
言えた。自分の中で育まれた気持ちを告げられた。
「オレも愛してるよぉ、先輩」
「僕も愛してますよ、ナマエさん」
「ありがとう、ふたりとも……」
3人で、笑い合う。
この先も、ずっとこうして3人でいたいと、心の底から思った。
抑うつから解放されたナマエは、晴れ晴れとした気持ちになる。
ヴィルからもらった友愛と。ジェイドとフロイドからもらった愛情と。
この世界で、ひとりのクラゲは、幸福の海を漂う。
クラゲ夢主とリーチ兄弟(ツイステ)/萩様
リクエストありがとうございました!
2020/08/01
授業までの間に、隣に座っている友人、ヴィル・シェーンハイトが、出し抜けに小さく訊いてきた。
ナマエ・ミョウジの噂。
曰く、ジェイド・リーチと付き合っている。
曰く、フロイド・リーチと付き合っている。
「それは、その…………」
どうしよう。緊張から、飛行酔いした時のような気持ち悪さが襲って来る。
ヴィルは、「どっちと付き合ってるの?」とは訊かなかった。「あの兄弟と付き合ってるの?」という台詞から、彼は、ふたりと付き合っていると確信している様子だ。
大切な友人に嘘をつきたくはない。しかし、彼がふたりと付き合っていることに、否定的な考えを持っていたら? 浮気者だとか、不誠実だとか思われていたら?
どうすればいいのだろう。
「おえ」
余りの緊張状態から、胃酸が込み上げてきてしまった。
「ちょっと!? 大丈夫?!」
「だ、大丈夫……ごめん、ヴィル……」
口元を手で押さえながら謝るナマエ。
「アタシが悪かったわ。単刀直入が過ぎた」
「いや、ヴィルが謝ることなんてないよ……」
「ナマエが謝ることもないわよ。言っておくけどね、アンタたちの愛のカタチについて、文句を言ってやろうなんてつもりは、更々ないの。本当よ」
「そう、なんだ……ごめん、ヴィル……」
ナマエは、友人を信じきれていなかった自分を恥じた。
「謝り過ぎよ」
それを分かっていて、ヴィルは微笑を返す。
「実はね————」
ナマエは語る。自ら他人に話すのは、これが初めてだ。
ヴィルは、ただ、黙って聞いている。
「ヴィルの言った通り、ワタシはふたりと付き合っているんだ」
話を終えた後、ヴィルは優しく言った。
「愛すべき人がいるのは、素敵なことね」
◆◆◆
ふたりに、愛してると告げたい。ヴィルと話してから、その気持ちが、ずっとナマエの心の中にある。
今なら、きっと今なら、自信を持って言える気がするのだ。
ナマエは、意を決して口を開く。
「ウツボちゃんたち」
「んー?」
「なにか?」
「愛してるよ」
言えた。自分の中で育まれた気持ちを告げられた。
「オレも愛してるよぉ、先輩」
「僕も愛してますよ、ナマエさん」
「ありがとう、ふたりとも……」
3人で、笑い合う。
この先も、ずっとこうして3人でいたいと、心の底から思った。
抑うつから解放されたナマエは、晴れ晴れとした気持ちになる。
ヴィルからもらった友愛と。ジェイドとフロイドからもらった愛情と。
この世界で、ひとりのクラゲは、幸福の海を漂う。
クラゲ夢主とリーチ兄弟(ツイステ)/萩様
リクエストありがとうございました!
2020/08/01