7周年記念SS
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近所に、アイドルが住んでいる。アイドルになった、女子高生がいる。
俺の幼馴染み、和泉愛依はアイドルだ。
俺は、同い年の彼女のことが、アイドルになる前から好きである。
クールでミステリアスなキャラ付けをされたアイドルの彼女のことは、あまり好きではない。それでも、彼女の歌う曲や出ている雑誌などは購入してしまうのだが。
以前、彼女に質問したことがある。
「和泉、アイドルやってて楽しい?」
「楽しいに決まってるっしょ~!」
眩しい笑顔で、そう答えた。
まあ楽しくないなら、やめてるか。
それから、和泉はストレイライトの仲間のことや、プロデューサーのことなども、嬉しそうに話してくれた。
どうしても、嫉妬心が沸き上がってしまう。
特に、彼だ。283プロダクションのプロデューサー。アイドルの和泉愛依の、最初のファン。
そっちがそうなら、俺は、アイドルじゃない和泉愛依の最初のファンだと思う。そう、思いたい。
今、好きだと告げたら、アイドルになってから好きになったみたいで、嫌な感じがする。なんか、ミーハーっぽいというか。気にし過ぎだとは思うけど、気にしてしまう。でも、「アイドルになる前から好きだ」なんて言うのも、言い訳っぽく感じる。
ちっぽけな自分に嫌気が差した。
「はぁ」
もうすぐ自宅に着くところで、溜め息、ひとつ。
思わず立ち止まってしまったここは、和泉の家である。
和泉、いるかな? と、玄関を見ていると、ドアが開いた。
「和泉……」
「あ、なんか用事~?」
「いや、そうじゃねぇけど……」
「えー?」
「あーいや、和泉に用事があって来た」
「うちに? なに?」
言え。言ってしまえ。今が一番、遅くないぞ。
「俺、ずっと前から和泉のことが好きなんだ」
迷った末に吐き出した言葉は、和泉に届いただろうか?
顔が熱い。両手を握り締めて、返事を待つ。
「ありがと。気持ちは嬉しいんだけど、うち、今アイドル一本で行きたいって思ってて。だから、ごめん!」
少し困ったような笑顔の和泉。
「あー、うん。いいんだ。聞いてくれて、ありがとな。応援してるよ、アイドル活動」
「うん、ありがと~!」
嘘をついた。本当はアイドルなんて、やめてほしい癖に。
和泉と別れて、帰宅する。
「はぁ~」
脱力し、玄関でしゃがみ込んでしまった。
フラれた。優しくフラれた。
そして、俺は嘘をついた。決して優しさからではない、嘘を。
「…………クソ」
ああもう、最悪だ。何が最悪って、俺が最悪だ。
せめて、心からアイドルとしての彼女を応援したかったよ。
この恋心を失うまで、そんなことは出来そうもない。
和泉愛依(シャニマス)/匿名様
リクエストありがとうございました!
2020/08/01
俺の幼馴染み、和泉愛依はアイドルだ。
俺は、同い年の彼女のことが、アイドルになる前から好きである。
クールでミステリアスなキャラ付けをされたアイドルの彼女のことは、あまり好きではない。それでも、彼女の歌う曲や出ている雑誌などは購入してしまうのだが。
以前、彼女に質問したことがある。
「和泉、アイドルやってて楽しい?」
「楽しいに決まってるっしょ~!」
眩しい笑顔で、そう答えた。
まあ楽しくないなら、やめてるか。
それから、和泉はストレイライトの仲間のことや、プロデューサーのことなども、嬉しそうに話してくれた。
どうしても、嫉妬心が沸き上がってしまう。
特に、彼だ。283プロダクションのプロデューサー。アイドルの和泉愛依の、最初のファン。
そっちがそうなら、俺は、アイドルじゃない和泉愛依の最初のファンだと思う。そう、思いたい。
今、好きだと告げたら、アイドルになってから好きになったみたいで、嫌な感じがする。なんか、ミーハーっぽいというか。気にし過ぎだとは思うけど、気にしてしまう。でも、「アイドルになる前から好きだ」なんて言うのも、言い訳っぽく感じる。
ちっぽけな自分に嫌気が差した。
「はぁ」
もうすぐ自宅に着くところで、溜め息、ひとつ。
思わず立ち止まってしまったここは、和泉の家である。
和泉、いるかな? と、玄関を見ていると、ドアが開いた。
「和泉……」
「あ、なんか用事~?」
「いや、そうじゃねぇけど……」
「えー?」
「あーいや、和泉に用事があって来た」
「うちに? なに?」
言え。言ってしまえ。今が一番、遅くないぞ。
「俺、ずっと前から和泉のことが好きなんだ」
迷った末に吐き出した言葉は、和泉に届いただろうか?
顔が熱い。両手を握り締めて、返事を待つ。
「ありがと。気持ちは嬉しいんだけど、うち、今アイドル一本で行きたいって思ってて。だから、ごめん!」
少し困ったような笑顔の和泉。
「あー、うん。いいんだ。聞いてくれて、ありがとな。応援してるよ、アイドル活動」
「うん、ありがと~!」
嘘をついた。本当はアイドルなんて、やめてほしい癖に。
和泉と別れて、帰宅する。
「はぁ~」
脱力し、玄関でしゃがみ込んでしまった。
フラれた。優しくフラれた。
そして、俺は嘘をついた。決して優しさからではない、嘘を。
「…………クソ」
ああもう、最悪だ。何が最悪って、俺が最悪だ。
せめて、心からアイドルとしての彼女を応援したかったよ。
この恋心を失うまで、そんなことは出来そうもない。
和泉愛依(シャニマス)/匿名様
リクエストありがとうございました!
2020/08/01