うちよそ
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宿屋兼居酒屋「幸福の匙亭」にて。
店主の男、フェリは、朝に目を覚ました。
素朴で暖かみのある自室には、客にもらった花や絵が飾ってある。
「んー」
ベッドの上で、軽く伸びをした。
今日も、一日がんばろう。
フェリは、「よし」と起き上がり、支度を始める。
店を開けるのは、昼からだが、泊まり客に朝食を用意しなくてはならない。
あっという間に午前が過ぎていき、昼になった。
店を開け、客を待つ。
港町にある幸福の匙亭には、様々な者が来た。子連れの主婦から、海賊まで。フェリは、分け隔てなく接客する。
少し人入りが落ち着いた頃、一見さんが来た。眼帯で右目を覆っている小柄な人物。
「いらっしゃい! 新顔だな」と、フェリは元気よく言った。
「どうも」
カウンターに座り、そう返事をされる。
「俺は、ここの店主のフェリ。よろしくな。君は?」
「私は、ユナ。よろしく」
「ご注文は?」
ユナは、どこにそんなに入るのだろうという量の料理を頼んだが、フェリは全く気にしない。
「ちょっと待ってな」
厨房へ行き、注文の品を作っては、給仕係に運ばせる。
ユナは、料理を次々と食べた。パエリアとトマトのパスタとチーズオムライスが特に美味しく、満足する。
「お待たせ」
フェリが、食後の紅茶とシュークリームを持って来た。
「どうだい? うちの味は」
「凄く美味しい……!」
「はは。ありがとよ」
フェリは、満面の笑みでお礼を言う。料理を褒められるのが、何より嬉しい。
「サボも連れて来たいな」と、言葉をこぼすユナ。
「サボ?」
「……恋人」
期間限定の、とは言わなかった。必要ないだろうから。
「へぇ。じゃあ、今度はふたりで来てくれよ! 腹一杯にしてやるから!」
「うん」
良いと思ったものを共有したいと思える相手がいるのは、素晴らしいことだ。
ユナは、綺麗に焼き上げられたシュークリームを口にした。ほどよい甘さが口内に広がる。
紅茶も飲んだ。爽やかなフルーツの香りがする。
「どっちも美味しいよ」
「そうだろ? ありがとな」
フェリは、愛想よく返事をした。
「実はな、メニューには書いてねぇけど、中身がチョコレートクリームのもあるんだ。チョコは好きかい?」
「好き!」
「そうかそうか。じゃ、今度来た時に頼んでみてくれよな」
「そうする」
ユナは、微笑む。その顔を見て、フェリは歯を見せて笑った。
客の笑顔ってのは、何度見てもいいもんだな。
そう思って、彼女が退店するまでご機嫌だった。
また会う日を楽しみに。
鼻歌を唄いながら、次の料理を作るのであった。
店主の男、フェリは、朝に目を覚ました。
素朴で暖かみのある自室には、客にもらった花や絵が飾ってある。
「んー」
ベッドの上で、軽く伸びをした。
今日も、一日がんばろう。
フェリは、「よし」と起き上がり、支度を始める。
店を開けるのは、昼からだが、泊まり客に朝食を用意しなくてはならない。
あっという間に午前が過ぎていき、昼になった。
店を開け、客を待つ。
港町にある幸福の匙亭には、様々な者が来た。子連れの主婦から、海賊まで。フェリは、分け隔てなく接客する。
少し人入りが落ち着いた頃、一見さんが来た。眼帯で右目を覆っている小柄な人物。
「いらっしゃい! 新顔だな」と、フェリは元気よく言った。
「どうも」
カウンターに座り、そう返事をされる。
「俺は、ここの店主のフェリ。よろしくな。君は?」
「私は、ユナ。よろしく」
「ご注文は?」
ユナは、どこにそんなに入るのだろうという量の料理を頼んだが、フェリは全く気にしない。
「ちょっと待ってな」
厨房へ行き、注文の品を作っては、給仕係に運ばせる。
ユナは、料理を次々と食べた。パエリアとトマトのパスタとチーズオムライスが特に美味しく、満足する。
「お待たせ」
フェリが、食後の紅茶とシュークリームを持って来た。
「どうだい? うちの味は」
「凄く美味しい……!」
「はは。ありがとよ」
フェリは、満面の笑みでお礼を言う。料理を褒められるのが、何より嬉しい。
「サボも連れて来たいな」と、言葉をこぼすユナ。
「サボ?」
「……恋人」
期間限定の、とは言わなかった。必要ないだろうから。
「へぇ。じゃあ、今度はふたりで来てくれよ! 腹一杯にしてやるから!」
「うん」
良いと思ったものを共有したいと思える相手がいるのは、素晴らしいことだ。
ユナは、綺麗に焼き上げられたシュークリームを口にした。ほどよい甘さが口内に広がる。
紅茶も飲んだ。爽やかなフルーツの香りがする。
「どっちも美味しいよ」
「そうだろ? ありがとな」
フェリは、愛想よく返事をした。
「実はな、メニューには書いてねぇけど、中身がチョコレートクリームのもあるんだ。チョコは好きかい?」
「好き!」
「そうかそうか。じゃ、今度来た時に頼んでみてくれよな」
「そうする」
ユナは、微笑む。その顔を見て、フェリは歯を見せて笑った。
客の笑顔ってのは、何度見てもいいもんだな。
そう思って、彼女が退店するまでご機嫌だった。
また会う日を楽しみに。
鼻歌を唄いながら、次の料理を作るのであった。