ワードパレット
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
去り行く背中を追いかけている。しかし、走っても走っても追い付けない。
窃野トウヤは、死んでしまった者を夢に見る。
目覚めると、滲む視界に、無遠慮な朝日が映った。
この世界は、行き止まり。大切な人が喪われた地獄。
精神科医のミョウジナマエは、主治医で、唯一の理解者で、片想いの相手だった。
一緒に過ごした時は、それほど長くはない。でも、とても濃密な時間だった。
現在、窃野は、死穢八斎會という指定ヴィラン団体に席を置いている。
そこには、ヒーローには救われなかった者たちがいて。自分の居場所だと感じた。
ミョウジの月命日には、墓参りをする。今日は、その日だ。
ベッドを後にして、身支度をする。
そして、ミョウジの墓のある霊園に向かった。
「先生、来たぜ」
声をかけ、花屋で買った白百合を供える。
「どうか、安らかに眠っていてくれ」
もう会えない。例え、死んだとしても。先生は、天国にいるはずだから。
神は誰も救わない。ヒーローにも、救われなかった。救ってくれたのは、あんただ。
ミョウジナマエが事故死した日。窃野トウヤも死んだのかもしれない。死んだ先には、何もない。
ヒーローは、あんたのことも救えなかったな。
窃野は、恨みがましく思った。
散々悲しんだ。何もかもを呪った。
「今の俺を、あんたはどう思うんだろうな?」
そのことは、深く考えないようにしている。失望されたら、嫌だから。
それでも、あんたは優しいから、頭ごなしに怒ったりはしないんだろうな。
「先生、俺は、もっとあんたと話したかったよ…………」
冷たい風が、窃野の体を撫でた。
灰色の空は、今にも雨が降り出しそうで、自分の心象のようだ。
あんたが俺の心を見たら、こんな風なのかもしれねぇな。
ミョウジの個性、“パノラマ・ウォッチ”のことを考えない日はない。
よくない天気。水が流れる排水溝。錆びた鉄柵。枯れた花。蟻に運ばれる虫の死骸。
それらを見ている虚ろな自分。
「どうして、あんたが死んだんだ……」
愛してたのに。
窃野トウヤは、死んでしまった者を夢に見る。
目覚めると、滲む視界に、無遠慮な朝日が映った。
この世界は、行き止まり。大切な人が喪われた地獄。
精神科医のミョウジナマエは、主治医で、唯一の理解者で、片想いの相手だった。
一緒に過ごした時は、それほど長くはない。でも、とても濃密な時間だった。
現在、窃野は、死穢八斎會という指定ヴィラン団体に席を置いている。
そこには、ヒーローには救われなかった者たちがいて。自分の居場所だと感じた。
ミョウジの月命日には、墓参りをする。今日は、その日だ。
ベッドを後にして、身支度をする。
そして、ミョウジの墓のある霊園に向かった。
「先生、来たぜ」
声をかけ、花屋で買った白百合を供える。
「どうか、安らかに眠っていてくれ」
もう会えない。例え、死んだとしても。先生は、天国にいるはずだから。
神は誰も救わない。ヒーローにも、救われなかった。救ってくれたのは、あんただ。
ミョウジナマエが事故死した日。窃野トウヤも死んだのかもしれない。死んだ先には、何もない。
ヒーローは、あんたのことも救えなかったな。
窃野は、恨みがましく思った。
散々悲しんだ。何もかもを呪った。
「今の俺を、あんたはどう思うんだろうな?」
そのことは、深く考えないようにしている。失望されたら、嫌だから。
それでも、あんたは優しいから、頭ごなしに怒ったりはしないんだろうな。
「先生、俺は、もっとあんたと話したかったよ…………」
冷たい風が、窃野の体を撫でた。
灰色の空は、今にも雨が降り出しそうで、自分の心象のようだ。
あんたが俺の心を見たら、こんな風なのかもしれねぇな。
ミョウジの個性、“パノラマ・ウォッチ”のことを考えない日はない。
よくない天気。水が流れる排水溝。錆びた鉄柵。枯れた花。蟻に運ばれる虫の死骸。
それらを見ている虚ろな自分。
「どうして、あんたが死んだんだ……」
愛してたのに。