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呼吸を止め、浴槽の中のお湯に全身を浸す。
一時的に死んだかのようだ。
私は、息が苦しくなるまでそうしていた。
「はぁ…………」
ゆるゆると立ち上がり、風呂から出る。
外は寒くて、指先から冷えていく感じだ。
急いで部屋着を身に付けて、髪を乾かす。長い黒髪から覗く瞳は、生気がない。
その後、リビングのソファーに寝転び、ぼんやりスマホの画面を見た。
特に興味深いものがないので、なんとなく窓の外へ目をやる。藍色の夜が降りてきていた。
冬は、日が落ちるのが早いな。
寒いのは苦手だ。暑いのも苦手だけど。
冬。そういえば、冬島くんって冬生まれだったな。
益体もないことを考える。
そうしてるうちにメッセージが届いた。
『砂子さん』
『今日、早退したろ?』
『大丈夫か?』
当真くん。心配してくれてるのかな。
『大丈夫』と返すしかない。
『ほんとかよ?』
『あんた、いつも無理するからな』
バレてる。私がしくじったせいで。
どんよりしてる白衣を着たうさぎのスタンプを送った。
『あんまり気ぃ遣うなよ』
『ごめん』
『謝ることねーけど』
ちゃんとやらなきゃ。しっかりしなきゃ。
長子の呪いが、まだ解けない。大人という役割が、捨てられない。カウンセラーという肩書きが、裏切れない。
現海砂子。名付けとは、私に最初に与えられた呪い。母親の名前から一文字継いだ名前が、私はあまり好きではない。
人類が編んだ物語が好き。好きな人は、たくさんいる。嫌いな奴も、たくさんいる。
時々、この世界に絶望して、私は気分を害した。
『私がもし、悪魔だったらどうする?』
つい、そんな言葉を送る。
『俺は、別に驚かねーよ』
『そう』
君は子供だから、私のケアなんてさせるべきではない。
私は、メッセージアプリを閉じた。
少し、ソファーで微睡む。
次にメッセージアプリを見た時、当真くんが送ったメッセージを取り消した跡があった。
その内容を追求しようとは、私は思わない。何かが、決定的に変わってしまう気がしたから。
一時的に死んだかのようだ。
私は、息が苦しくなるまでそうしていた。
「はぁ…………」
ゆるゆると立ち上がり、風呂から出る。
外は寒くて、指先から冷えていく感じだ。
急いで部屋着を身に付けて、髪を乾かす。長い黒髪から覗く瞳は、生気がない。
その後、リビングのソファーに寝転び、ぼんやりスマホの画面を見た。
特に興味深いものがないので、なんとなく窓の外へ目をやる。藍色の夜が降りてきていた。
冬は、日が落ちるのが早いな。
寒いのは苦手だ。暑いのも苦手だけど。
冬。そういえば、冬島くんって冬生まれだったな。
益体もないことを考える。
そうしてるうちにメッセージが届いた。
『砂子さん』
『今日、早退したろ?』
『大丈夫か?』
当真くん。心配してくれてるのかな。
『大丈夫』と返すしかない。
『ほんとかよ?』
『あんた、いつも無理するからな』
バレてる。私がしくじったせいで。
どんよりしてる白衣を着たうさぎのスタンプを送った。
『あんまり気ぃ遣うなよ』
『ごめん』
『謝ることねーけど』
ちゃんとやらなきゃ。しっかりしなきゃ。
長子の呪いが、まだ解けない。大人という役割が、捨てられない。カウンセラーという肩書きが、裏切れない。
現海砂子。名付けとは、私に最初に与えられた呪い。母親の名前から一文字継いだ名前が、私はあまり好きではない。
人類が編んだ物語が好き。好きな人は、たくさんいる。嫌いな奴も、たくさんいる。
時々、この世界に絶望して、私は気分を害した。
『私がもし、悪魔だったらどうする?』
つい、そんな言葉を送る。
『俺は、別に驚かねーよ』
『そう』
君は子供だから、私のケアなんてさせるべきではない。
私は、メッセージアプリを閉じた。
少し、ソファーで微睡む。
次にメッセージアプリを見た時、当真くんが送ったメッセージを取り消した跡があった。
その内容を追求しようとは、私は思わない。何かが、決定的に変わってしまう気がしたから。