800文字チャレンジ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
恋人のルーチョ・ナポリが警察に捕まった。
一体、何故こんなことに。ナマエは頭を抱える。
メカトロニクス工学科を首席で卒業した彼。
遠い国、ナイジェリアで、よく分からない物を売っていた彼。
仕事はロクでもなかったが、ナマエは彼を愛していた。
しかし、さすがに今回のことは堪える。まさか、彼が合法ドラッグを作成していたなんて。
ルーチョが麻薬売買? 嘘だろ? そう思ったが、一晩寝て起きてみても、それは夢ではなかった。
それとも、自分は悪夢の中にでもいるのだろうか?
「助けてくれ…………」
ナマエは思わず呟いた。だが、手を差し伸べてほしい相手は、塀の中である。現実は非情だ。
とにかく、こうなったら直接話を聞こう。面会に行こう。
ナマエは朝食も食べずに、ルーチョが収監されている刑務所へ向かうことにした。
道すがら、様々なことを思い出す。
工学のことを語るルーチョの楽しそうな表情。ナマエには、何を言っているのかさっぱり分からなかったが。
ふたりで誕生日や記念日を祝ったこと。主に金を出すのは自分だったが。
派手に喧嘩したこと。くだらない言い争い。痴話喧嘩。
あれ? ロクでもない思い出ばかり出てくるぞ? ナマエは眉間にシワを寄せた。
やめたい。この恋を、やめてしまいたい。彼から解放されたい。
決めた。面会の際に別れを切り出そう。
刑務所に到着するまでに、ナマエは決意を固めた。
面会室で会ったルーチョは、ナマエを見ると嬉しそうにこちらへ来て、止める間もなく、抱き締めてキスされる。
ナマエの腕がルーチョに触れることはなかった。
「あー…………ルーチョ、話がある…………」
「分かってる。どうして逮捕されたかだろう? 実は————」
「そうじゃない。そうじゃないんだ、ルーチョ」
「ナマエ…………?」
「俺たち、別れ————」
「嫌だ……!」
あまりにも素早い反応に、ナマエは驚く。
「誤解なんだ! 麻薬なんて作ってない! むしろ、むしろその逆で……」
ルーチョは何やらぶつぶつと言い始めた。
「合法ドラッグ撲滅に協力していた」とか「警察に裏切られた」とか。
ナマエは話半分で、それを聞く。
「別れたくないよ」と、最後に彼は言った。
それだけは、確実に嘘ではないだろう。
ナマエは、もう一度だけ、彼を信じようと思った。
ああ、麻薬よりも厄介な我が恋人よ。
一体、何故こんなことに。ナマエは頭を抱える。
メカトロニクス工学科を首席で卒業した彼。
遠い国、ナイジェリアで、よく分からない物を売っていた彼。
仕事はロクでもなかったが、ナマエは彼を愛していた。
しかし、さすがに今回のことは堪える。まさか、彼が合法ドラッグを作成していたなんて。
ルーチョが麻薬売買? 嘘だろ? そう思ったが、一晩寝て起きてみても、それは夢ではなかった。
それとも、自分は悪夢の中にでもいるのだろうか?
「助けてくれ…………」
ナマエは思わず呟いた。だが、手を差し伸べてほしい相手は、塀の中である。現実は非情だ。
とにかく、こうなったら直接話を聞こう。面会に行こう。
ナマエは朝食も食べずに、ルーチョが収監されている刑務所へ向かうことにした。
道すがら、様々なことを思い出す。
工学のことを語るルーチョの楽しそうな表情。ナマエには、何を言っているのかさっぱり分からなかったが。
ふたりで誕生日や記念日を祝ったこと。主に金を出すのは自分だったが。
派手に喧嘩したこと。くだらない言い争い。痴話喧嘩。
あれ? ロクでもない思い出ばかり出てくるぞ? ナマエは眉間にシワを寄せた。
やめたい。この恋を、やめてしまいたい。彼から解放されたい。
決めた。面会の際に別れを切り出そう。
刑務所に到着するまでに、ナマエは決意を固めた。
面会室で会ったルーチョは、ナマエを見ると嬉しそうにこちらへ来て、止める間もなく、抱き締めてキスされる。
ナマエの腕がルーチョに触れることはなかった。
「あー…………ルーチョ、話がある…………」
「分かってる。どうして逮捕されたかだろう? 実は————」
「そうじゃない。そうじゃないんだ、ルーチョ」
「ナマエ…………?」
「俺たち、別れ————」
「嫌だ……!」
あまりにも素早い反応に、ナマエは驚く。
「誤解なんだ! 麻薬なんて作ってない! むしろ、むしろその逆で……」
ルーチョは何やらぶつぶつと言い始めた。
「合法ドラッグ撲滅に協力していた」とか「警察に裏切られた」とか。
ナマエは話半分で、それを聞く。
「別れたくないよ」と、最後に彼は言った。
それだけは、確実に嘘ではないだろう。
ナマエは、もう一度だけ、彼を信じようと思った。
ああ、麻薬よりも厄介な我が恋人よ。