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財布を失くすと、いつもナマエが見付けて来る。
いや、お前、絶対盗んでるだろ!
これは、病理からくる妄想でもないし、そんなに飛躍した考えでもない。
あいつは、ゴミ山生まれのガキだったんだからな。
「ナマエ、お前、手癖が悪過ぎるぞ」と、苦言を呈した。
「申し訳ございません。ワタクシが、“偶然”、スパンダム様の財布を見付けてしまうばかりに」
「反省してないな?!」
「してますよ」
いつもの張り付いた笑みを保ったまま、ナマエは宣う。
拾ってやった時、礼儀を教えたら、慇懃無礼になった部下。一度、医者に診せて、ナマエの病みを取り除かせるべきかもしれない。
「ナマエ、暇をやるから、医者にかかれ」
「ワタクシ、心身共に健康ですのに?」
「タチが悪いんだよ! お前は!」
ナマエは、けらけら笑っている。
「金の無駄ですよ、スパンダム様。おっしゃる通り、ワタクシ、ただの性質の悪い人間というだけですから」
「いけしゃあしゃあと…………」
おれだけが知ってるナマエの秘密をバラすと脅すべきか?
「ナマエ」
「ワタクシの体の秘密を話したら、承知いたしませんよ?」
「具体的には?」
「首と胴体を泣き別れにさせて、首は北に。胴体は南に埋めます」
「最悪なことを想像させるな!」
本当に最悪だ。ナマエには、それが出来てしまう。
おれは、お前のなんだ? 恩人だろうが!
「恩を仇で返すな!」
「ワタクシ、身を粉にして尽くしてますが」
嘘つけ! 上司の財布を盗む奴があるか!
「おや、もうこんな時間ですか。ワタクシ、仕事をしなくてはなりませんので」
指先を自分に向け、瞬間移動マジックで消えるナマエ。
逃げられた。いつもそうだ。
波の中を漂うクラゲみたいな奴。飄々としていて、掴みどころがない。
それでも側に置いておくのは、使えるからだ。それに、あいつは、おれを裏切らないという確証がある。
ナマエは、「魚のあるところに主人あり」みたいなことを言っていた。つまり、おれが食わせてやる限り、ナマエはおれに従い続ける。
だから、多少の“不可思議なこと”には目を瞑ってやろう。
いや、お前、絶対盗んでるだろ!
これは、病理からくる妄想でもないし、そんなに飛躍した考えでもない。
あいつは、ゴミ山生まれのガキだったんだからな。
「ナマエ、お前、手癖が悪過ぎるぞ」と、苦言を呈した。
「申し訳ございません。ワタクシが、“偶然”、スパンダム様の財布を見付けてしまうばかりに」
「反省してないな?!」
「してますよ」
いつもの張り付いた笑みを保ったまま、ナマエは宣う。
拾ってやった時、礼儀を教えたら、慇懃無礼になった部下。一度、医者に診せて、ナマエの病みを取り除かせるべきかもしれない。
「ナマエ、暇をやるから、医者にかかれ」
「ワタクシ、心身共に健康ですのに?」
「タチが悪いんだよ! お前は!」
ナマエは、けらけら笑っている。
「金の無駄ですよ、スパンダム様。おっしゃる通り、ワタクシ、ただの性質の悪い人間というだけですから」
「いけしゃあしゃあと…………」
おれだけが知ってるナマエの秘密をバラすと脅すべきか?
「ナマエ」
「ワタクシの体の秘密を話したら、承知いたしませんよ?」
「具体的には?」
「首と胴体を泣き別れにさせて、首は北に。胴体は南に埋めます」
「最悪なことを想像させるな!」
本当に最悪だ。ナマエには、それが出来てしまう。
おれは、お前のなんだ? 恩人だろうが!
「恩を仇で返すな!」
「ワタクシ、身を粉にして尽くしてますが」
嘘つけ! 上司の財布を盗む奴があるか!
「おや、もうこんな時間ですか。ワタクシ、仕事をしなくてはなりませんので」
指先を自分に向け、瞬間移動マジックで消えるナマエ。
逃げられた。いつもそうだ。
波の中を漂うクラゲみたいな奴。飄々としていて、掴みどころがない。
それでも側に置いておくのは、使えるからだ。それに、あいつは、おれを裏切らないという確証がある。
ナマエは、「魚のあるところに主人あり」みたいなことを言っていた。つまり、おれが食わせてやる限り、ナマエはおれに従い続ける。
だから、多少の“不可思議なこと”には目を瞑ってやろう。