書く習慣ログ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お題「たそがれ」
誰だろう? このお兄さん。
なんだか、少し怖い人に見えるけど。
オレが戸惑っていると、金髪のお兄さんは、優しく頭を撫でた。
ああ、なんだ。この人は、信頼出来る。
オレは、笑顔を向けて、知らないお兄さんに自己紹介した。
お題「奇跡をもう一度」
そもそも、関われたことが奇跡だったのだ。
アイツは、外に出ない奴で、家族しか信用してなかったんだから。
だけど、一度交わってしまった線を、どうやって平行線にすればいい?
もう戻れない。戻りたくない。
俺は、記憶を消せないんだぞ。
また奇跡が起きたら、おまえの隣にいられるだろうか?
お題「巡り会えたら」
巡り合わせがよかったのか、悪かったのか。
それを確かめるために、オレは、ふたつの世界を観測することにした。
両親が行方不明にならなかった世界では、オレは、おまえとは出会わない。そして、ひとりで殻に籠り死んでいく。
両親が行方不明になった世界では、オレは、おまえと出会い、もがきながら社会で生きていく。
やっぱり、おまえと出会わず凪の中を生きるより、出会って嵐の中で生きる方がいい。
お題「踊りませんか?」
あたしと一曲踊ろうよ。
なんで、おまえなんかと?
いいじゃん。もう夢の中でしか会えないんだからさ。
オレは、おまえだ。おまえは、オレだ。
何が悲しくて自分と踊らなくちゃならない?
案外、楽しいかもよ?
嫌だね。オレは、呪いを解いたんだ。おまえとは、関わりたくない。
自分とは、一生付き合わなくちゃいけないんだよ?
どうせ、あたしたちは運命の手のひらの上で踊るしかないの。
お題「星座」
星に名前を付けられるなら、どうしようか?
世界で一番特別な人の名前を付けようか。いや、重いかな? それは今更かな?
ただ、おまえは全ての例外になってしまったから、どうしても考えてしまう。
最初は、エラーだったんだよ。でも、例外処理をしたせいで、おまえはオレに祟られた。カワイソーに。
絶対に離さない。あの輝く星が燃え落ちても。
お題「過ぎた日を想う」
恋人だった男の命日がきた。
墓前に煙草と缶ビールを供え、手を合わせる。
夏の終わりに死んだおまえは、完璧だったよ。
天気雨。蝉の死骸。枯れたひまわり。何を見ても、おまえのことを、思い出す。
隣でもがいてたのを、知っていた。助けているつもりだった。
今でも、燃えて骨だけになったおまえを抱えて走った日のことを鮮明に覚えてる。
お題「力を込めて」
拳で、ぶん殴られた。
「痛ってぇ…………」
オレは、きっと死んだ魚みたいな目でおまえを見てる。
おまえは、ほんの少し両目に涙を浮かべ、床に座り込んだオレを見下ろした。おまえの方が痛そうじゃん。
オレが悪かったよ。いつもそうだよ。おまえは正しいよ。
お題「束の間の休息」
「お疲れさん」
そう、恋人が言いながら、缶ビールを差し出す。自分は飲めないのに、俺のために冷蔵庫に常備してくれているものだ。
礼を言い、缶を開ける。
「オレらって、こき使われてねぇ?」
苦笑しながら同意した。
「やっぱ、そうだよな。オレらって年長組とはいえ、21歳だぜ? 勘弁してほしいよ」
おまえは、ぶーぶー文句を垂れる。でも、最近のおまえは、一時期の病みがなくなっていて、安心した。
ふたりで休んで、また明日がんばろう。
お題「ココロオドル」
世界が一変した。他者を愛せることは、なんて楽しいのだろう。
もう、おまえを祟らなくていいんだ。もう苦しくない。
もう、世界を呪わなくていいんだ。もう悲しくない。
一緒に前に進もう。ふたりで。
お題「涙の理由」
愛されてると思った。
相合い傘をした後に、肩を濡らしてるところを見て。おまえから、オレと同じシャンプーの香りがして。朝、目覚めると、隣におまえがいて。
この幸せを守るためなら、オレは、なんだってする。
そう決意して、両目の雫を拭った。
お題「カーテン」
スッゲーくだらねぇことで、恋人と揉めた。
一緒に住むと決めたから、まあ、色々用意してたワケ。
で、カーテンの色で揉めた。
「緑」
「青」
意見は、平行線。
「なんで、青にこだわるんだよ~?」
「おまえの色だから」
「…………」
オレが、緑がいいのは、おまえの色だからなんだけど。
お題「放課後」
学校が終わると、小学校のクラスメイトたちは遊びに行くらしい。
オレは、すぐ家に帰って、もう家を出ないけど。
ある日、忘れ物をして教室に戻ると、真剣な顔で本を読んでいる男子がいた。
なに読んでるんだろ?
ほんの少し気になったけど、オレは帰宅を急いだ。
お題「子供のように」
その体にすがり付いて、泣いている。
言葉にならない「置いて行かないで」が嗚咽として響いた。
大人の男なんだけどなぁ。あーあ。また、そんな古臭い価値観を持ち出す。そんなだから、おまえはダメなんだよ。
ごめん。カッコ悪くて。情けなくて。強欲で。
お題「高く高く」
いつか地に墜ちることを考えずに飛ぶことが出来るようになったのは、最近のことだ。
ふたりでいられるなら、オレは大丈夫。
もう、掴んだこの手を離さないから。
オレは、逃げない。おまえが真実を見付けるのを手伝うよ。
お題「鋭い眼差し」
射抜くような視線が刺さる。
「オレが悪かった……です…………」
自分を粗末に扱うと、恋人はすぐに叱ってきた。
愛されてるな、と思う。
おまえを好きな気持ちと、おまえを愛する気持ち。両方、オレの真実だ。
いつも、宝石のように抱き締めている。
ごめん。もう徹夜しないって。
お題「やわらかな光」
教会の天窓から、陽光が射し込んでいる。
ひとりの男は、長椅子に座り、祈りを捧げていた。
どうか、両親を返してください。
オレは、どうなってもいいから。
家族の中で、欠けてもいいのは自分だけだったのに。
男は、自身を落伍者だと思っていた。
それを否定してくれる光に出会うまで、あと…………。
お題「忘れたくても忘れられない」
故郷を去る前に見た君の顔が、頭から消えない。
なにか言いたそうで、どこか寂しそうで。
オレと君って、ほぼ無関係じゃん?
そんなオレに、どうして、あんな表情を見せたんだ?
それに、オレはなんで、こんなに君のことが好きなんだろう?
お題「秋晴れ」
たまには、外で読書しようぜ。という話になった。
公園のベンチに並んで座り、哲学書を読む。おまえは、いつも通りに推理小説を広げている。
爽やかな風と静寂が、ふたりを包む。
どこからか、金木犀の香りがしてきて。不意に、オレは去年のことを思い出してしまった。
去年の秋は、ひとりでこうしていたんだ。
今年は、おまえが隣にいる。
来年も、その先も、おまえがいる。
お題「すれ違い」
かけ違えたボタンを直せないまま、時が過ぎていく。
大学でも、仕事でも、オレたちは会わない。オレが避けてるからだ。
子供っぽいな。バカみてぇ。
謝ったら、おまえはオレを赦すんだろう。だから、謝れないでいる。
お題「始まりはいつも」
オレが、なんとなく言ったことを、仲間たちはすぐに実行に移してくれる。
今回は、「海行きてぇな」という呟きが拾われ、海近くの旅館に一泊することが決まった。
夜中、窓際に椅子が置いてある謎のスペースで、オレとおまえは煙草を燻らせる。
何も話さなくても傍にいられるようになったのは、おまえのおかげだ。ありがとう。
お題「声が枯れるまで」
ずっと、ずっと、叫んでいる。
ゆるさない。ゆるさない。ゆるさない。
世界に呪詛を吐き続けた。
どうして、オレの方を消さなかったんだ?
ゆるせない。ゆるせない。ゆるせない。
悪夢から、目を覚ますと、おまえがオレの頭を撫でていた。
その手を握り締め、すがり付く。
おまえは、オレを置いて行くなよ。
お題「衣替え」
冬の足音がする。
セーターやダウンを発掘した。
寒くなると、人恋しくなるように思う。
『会いたい』
おまえにメッセージを送る。
『今から行く』と、返信がきた。
オレのせいで、過保護になっちまったな。
お題「どこまでも続く青い空」
この空の下に、おまえがいる。離れていても。
そう思って過ごさないと、辛くなる。
記憶を失ったおまえは、俺のことも忘れた。
俺には、守れなかったんだ。ざまあねぇ。
おまえの隣にいられなくなった俺は、恋人だったわずかな時間を忘れられずにいる。
お題「行かないで」
言えるワケないだろ。
そういう仕事だ。仕方ない。
でも、おまえにまで置いて行かれたら、オレは耐えられない。
最悪を考えてどうする。
オレは、ただ自分の仕事に向かった。
お題「友達」
しょうがねぇ奴だよな。
強いけどよ。アイツは。バカだよ。
だから、救われる。
適材適所だよな、人間。そう思える。
なんだよ。
ああ、そうだな。オレとアイツは、そういう仲だな。
お題「愛言葉」
多弁になる癖は、もう直ったんだけどな。
煙草を持つ指とか。助手席にオレを乗せてる時の、急ブレーキ踏んだおまえの左手とか。相合い傘をした後の片方だけ濡れてる肩とか。全部が好きだよって言いたくて。
本当に言ってみても、おまえは照れ臭そうに笑うだけだった。
話したいことだけ、話していいんだ。
オレの口は、おまえに想いを伝えるためにある。
お題「紅茶の香り」
その部屋は、いつも、いい匂いがした。
白衣を着た部屋の主は、デスク前に座っている。
オレは、彼女に罪を告白するみたいに話した。
この人は、ただそれを聞く。過不足なく、クライアントに関わる。
オレは、いつになったら、過去を乗り越えられるんだろう?
お題「暗がりの中で」
美しい月を見た。
最初は、ただ、月に恋い焦がれているだけだったのだが。
男は、段々と月を消してしまいたいと考えるようになった。
月よ、永遠であれ。月よ、消えてしまえ。
相反する願いを抱き、男は苦しんだ。
苦しみの果てには、月からの祝福があるのだが、男はまだ知らない。
お題「もう一つの物語」
あたしは、あの男を殺した。
さよなら。決して、あたしになれない可哀想な男。
あの人のことは、あたしが幸せにするから。指をくわえて見てなさい。
あたしは、あの男と違って、嘘つきだ。
本当の愛を手に入れるためなら、なんだってする。
お題「懐かしく思うこと」
ひとりになると、考えることがある。
前は、ひとりでいても平気だったこと。
今は、ひとりでいると寂しくなること。
特に、広い家にひとりきりだと、オレはやるせなくなる。
だから、おまえらがいてくれると、昔みたいに賑やかで嬉しいんだ。
お題「理想郷」
月に行ったら。
いや、せめて、誰もオレを知らないところへ行けたら。オレは、もう少し生きやすくなるんだろうか?
違うか。オレから記憶を消す方が早い。
誰だろう? このお兄さん。
なんだか、少し怖い人に見えるけど。
オレが戸惑っていると、金髪のお兄さんは、優しく頭を撫でた。
ああ、なんだ。この人は、信頼出来る。
オレは、笑顔を向けて、知らないお兄さんに自己紹介した。
お題「奇跡をもう一度」
そもそも、関われたことが奇跡だったのだ。
アイツは、外に出ない奴で、家族しか信用してなかったんだから。
だけど、一度交わってしまった線を、どうやって平行線にすればいい?
もう戻れない。戻りたくない。
俺は、記憶を消せないんだぞ。
また奇跡が起きたら、おまえの隣にいられるだろうか?
お題「巡り会えたら」
巡り合わせがよかったのか、悪かったのか。
それを確かめるために、オレは、ふたつの世界を観測することにした。
両親が行方不明にならなかった世界では、オレは、おまえとは出会わない。そして、ひとりで殻に籠り死んでいく。
両親が行方不明になった世界では、オレは、おまえと出会い、もがきながら社会で生きていく。
やっぱり、おまえと出会わず凪の中を生きるより、出会って嵐の中で生きる方がいい。
お題「踊りませんか?」
あたしと一曲踊ろうよ。
なんで、おまえなんかと?
いいじゃん。もう夢の中でしか会えないんだからさ。
オレは、おまえだ。おまえは、オレだ。
何が悲しくて自分と踊らなくちゃならない?
案外、楽しいかもよ?
嫌だね。オレは、呪いを解いたんだ。おまえとは、関わりたくない。
自分とは、一生付き合わなくちゃいけないんだよ?
どうせ、あたしたちは運命の手のひらの上で踊るしかないの。
お題「星座」
星に名前を付けられるなら、どうしようか?
世界で一番特別な人の名前を付けようか。いや、重いかな? それは今更かな?
ただ、おまえは全ての例外になってしまったから、どうしても考えてしまう。
最初は、エラーだったんだよ。でも、例外処理をしたせいで、おまえはオレに祟られた。カワイソーに。
絶対に離さない。あの輝く星が燃え落ちても。
お題「過ぎた日を想う」
恋人だった男の命日がきた。
墓前に煙草と缶ビールを供え、手を合わせる。
夏の終わりに死んだおまえは、完璧だったよ。
天気雨。蝉の死骸。枯れたひまわり。何を見ても、おまえのことを、思い出す。
隣でもがいてたのを、知っていた。助けているつもりだった。
今でも、燃えて骨だけになったおまえを抱えて走った日のことを鮮明に覚えてる。
お題「力を込めて」
拳で、ぶん殴られた。
「痛ってぇ…………」
オレは、きっと死んだ魚みたいな目でおまえを見てる。
おまえは、ほんの少し両目に涙を浮かべ、床に座り込んだオレを見下ろした。おまえの方が痛そうじゃん。
オレが悪かったよ。いつもそうだよ。おまえは正しいよ。
お題「束の間の休息」
「お疲れさん」
そう、恋人が言いながら、缶ビールを差し出す。自分は飲めないのに、俺のために冷蔵庫に常備してくれているものだ。
礼を言い、缶を開ける。
「オレらって、こき使われてねぇ?」
苦笑しながら同意した。
「やっぱ、そうだよな。オレらって年長組とはいえ、21歳だぜ? 勘弁してほしいよ」
おまえは、ぶーぶー文句を垂れる。でも、最近のおまえは、一時期の病みがなくなっていて、安心した。
ふたりで休んで、また明日がんばろう。
お題「ココロオドル」
世界が一変した。他者を愛せることは、なんて楽しいのだろう。
もう、おまえを祟らなくていいんだ。もう苦しくない。
もう、世界を呪わなくていいんだ。もう悲しくない。
一緒に前に進もう。ふたりで。
お題「涙の理由」
愛されてると思った。
相合い傘をした後に、肩を濡らしてるところを見て。おまえから、オレと同じシャンプーの香りがして。朝、目覚めると、隣におまえがいて。
この幸せを守るためなら、オレは、なんだってする。
そう決意して、両目の雫を拭った。
お題「カーテン」
スッゲーくだらねぇことで、恋人と揉めた。
一緒に住むと決めたから、まあ、色々用意してたワケ。
で、カーテンの色で揉めた。
「緑」
「青」
意見は、平行線。
「なんで、青にこだわるんだよ~?」
「おまえの色だから」
「…………」
オレが、緑がいいのは、おまえの色だからなんだけど。
お題「放課後」
学校が終わると、小学校のクラスメイトたちは遊びに行くらしい。
オレは、すぐ家に帰って、もう家を出ないけど。
ある日、忘れ物をして教室に戻ると、真剣な顔で本を読んでいる男子がいた。
なに読んでるんだろ?
ほんの少し気になったけど、オレは帰宅を急いだ。
お題「子供のように」
その体にすがり付いて、泣いている。
言葉にならない「置いて行かないで」が嗚咽として響いた。
大人の男なんだけどなぁ。あーあ。また、そんな古臭い価値観を持ち出す。そんなだから、おまえはダメなんだよ。
ごめん。カッコ悪くて。情けなくて。強欲で。
お題「高く高く」
いつか地に墜ちることを考えずに飛ぶことが出来るようになったのは、最近のことだ。
ふたりでいられるなら、オレは大丈夫。
もう、掴んだこの手を離さないから。
オレは、逃げない。おまえが真実を見付けるのを手伝うよ。
お題「鋭い眼差し」
射抜くような視線が刺さる。
「オレが悪かった……です…………」
自分を粗末に扱うと、恋人はすぐに叱ってきた。
愛されてるな、と思う。
おまえを好きな気持ちと、おまえを愛する気持ち。両方、オレの真実だ。
いつも、宝石のように抱き締めている。
ごめん。もう徹夜しないって。
お題「やわらかな光」
教会の天窓から、陽光が射し込んでいる。
ひとりの男は、長椅子に座り、祈りを捧げていた。
どうか、両親を返してください。
オレは、どうなってもいいから。
家族の中で、欠けてもいいのは自分だけだったのに。
男は、自身を落伍者だと思っていた。
それを否定してくれる光に出会うまで、あと…………。
お題「忘れたくても忘れられない」
故郷を去る前に見た君の顔が、頭から消えない。
なにか言いたそうで、どこか寂しそうで。
オレと君って、ほぼ無関係じゃん?
そんなオレに、どうして、あんな表情を見せたんだ?
それに、オレはなんで、こんなに君のことが好きなんだろう?
お題「秋晴れ」
たまには、外で読書しようぜ。という話になった。
公園のベンチに並んで座り、哲学書を読む。おまえは、いつも通りに推理小説を広げている。
爽やかな風と静寂が、ふたりを包む。
どこからか、金木犀の香りがしてきて。不意に、オレは去年のことを思い出してしまった。
去年の秋は、ひとりでこうしていたんだ。
今年は、おまえが隣にいる。
来年も、その先も、おまえがいる。
お題「すれ違い」
かけ違えたボタンを直せないまま、時が過ぎていく。
大学でも、仕事でも、オレたちは会わない。オレが避けてるからだ。
子供っぽいな。バカみてぇ。
謝ったら、おまえはオレを赦すんだろう。だから、謝れないでいる。
お題「始まりはいつも」
オレが、なんとなく言ったことを、仲間たちはすぐに実行に移してくれる。
今回は、「海行きてぇな」という呟きが拾われ、海近くの旅館に一泊することが決まった。
夜中、窓際に椅子が置いてある謎のスペースで、オレとおまえは煙草を燻らせる。
何も話さなくても傍にいられるようになったのは、おまえのおかげだ。ありがとう。
お題「声が枯れるまで」
ずっと、ずっと、叫んでいる。
ゆるさない。ゆるさない。ゆるさない。
世界に呪詛を吐き続けた。
どうして、オレの方を消さなかったんだ?
ゆるせない。ゆるせない。ゆるせない。
悪夢から、目を覚ますと、おまえがオレの頭を撫でていた。
その手を握り締め、すがり付く。
おまえは、オレを置いて行くなよ。
お題「衣替え」
冬の足音がする。
セーターやダウンを発掘した。
寒くなると、人恋しくなるように思う。
『会いたい』
おまえにメッセージを送る。
『今から行く』と、返信がきた。
オレのせいで、過保護になっちまったな。
お題「どこまでも続く青い空」
この空の下に、おまえがいる。離れていても。
そう思って過ごさないと、辛くなる。
記憶を失ったおまえは、俺のことも忘れた。
俺には、守れなかったんだ。ざまあねぇ。
おまえの隣にいられなくなった俺は、恋人だったわずかな時間を忘れられずにいる。
お題「行かないで」
言えるワケないだろ。
そういう仕事だ。仕方ない。
でも、おまえにまで置いて行かれたら、オレは耐えられない。
最悪を考えてどうする。
オレは、ただ自分の仕事に向かった。
お題「友達」
しょうがねぇ奴だよな。
強いけどよ。アイツは。バカだよ。
だから、救われる。
適材適所だよな、人間。そう思える。
なんだよ。
ああ、そうだな。オレとアイツは、そういう仲だな。
お題「愛言葉」
多弁になる癖は、もう直ったんだけどな。
煙草を持つ指とか。助手席にオレを乗せてる時の、急ブレーキ踏んだおまえの左手とか。相合い傘をした後の片方だけ濡れてる肩とか。全部が好きだよって言いたくて。
本当に言ってみても、おまえは照れ臭そうに笑うだけだった。
話したいことだけ、話していいんだ。
オレの口は、おまえに想いを伝えるためにある。
お題「紅茶の香り」
その部屋は、いつも、いい匂いがした。
白衣を着た部屋の主は、デスク前に座っている。
オレは、彼女に罪を告白するみたいに話した。
この人は、ただそれを聞く。過不足なく、クライアントに関わる。
オレは、いつになったら、過去を乗り越えられるんだろう?
お題「暗がりの中で」
美しい月を見た。
最初は、ただ、月に恋い焦がれているだけだったのだが。
男は、段々と月を消してしまいたいと考えるようになった。
月よ、永遠であれ。月よ、消えてしまえ。
相反する願いを抱き、男は苦しんだ。
苦しみの果てには、月からの祝福があるのだが、男はまだ知らない。
お題「もう一つの物語」
あたしは、あの男を殺した。
さよなら。決して、あたしになれない可哀想な男。
あの人のことは、あたしが幸せにするから。指をくわえて見てなさい。
あたしは、あの男と違って、嘘つきだ。
本当の愛を手に入れるためなら、なんだってする。
お題「懐かしく思うこと」
ひとりになると、考えることがある。
前は、ひとりでいても平気だったこと。
今は、ひとりでいると寂しくなること。
特に、広い家にひとりきりだと、オレはやるせなくなる。
だから、おまえらがいてくれると、昔みたいに賑やかで嬉しいんだ。
お題「理想郷」
月に行ったら。
いや、せめて、誰もオレを知らないところへ行けたら。オレは、もう少し生きやすくなるんだろうか?
違うか。オレから記憶を消す方が早い。