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先輩が、コールドスリープすることが決まった。
何故かというと、先輩は、徐々に体が錆びて崩れていく難病に罹患してしまったからだ。現代医学では、治療法がない。
先輩は、私と仲良くしてくれていて。私の大好きな人で。私の特別な人だ。
代われるものなら、代わってあげたい。どうして、よりによって先輩が病気になったのだろう?
神様のせい? 私は誰を恨めばいい?
残酷な運命を、ままならない人生を、私は呪わしく思った。
「先輩」
「大丈夫」
そう言って、先輩は、優しく私の頭を撫でる。指が何本か崩れてしまい、今は包帯が巻いてある手で。
鉄臭い錆びの匂いがする。先輩の香りは、元々はこんな風じゃなかったのに。先輩は、いつも金木犀のいい匂いがしていた。
「またね」と言って、先輩は、コールドスリープマシンの中に入る。
「行かないで」と言うのを我慢する私。
治療法が見付かるまで、先輩は凍結され、眠り続ける。
それって、いつ? 明日だったらいいのに。
何年後? 何十年後? 何百年後?
私が先輩の年齢を追い越しても、先輩は先輩だけど。ずっと、私の大好きな先輩だけど。
もう会えないかもしれないという事実が、堪らなく悲しい。
先輩は、「またね」って言ってくれた。それなのに、弱い私は、それを信じきれずにいる。
帰り道。私は、人目も気にせず泣いた。声を上げて泣きじゃくった。
私もコールドスリープしたいよ。先輩が元気になるまで眠りにつきたい。
先輩が目覚めた時に、「おはようございます」って言いたいよ。
私の想いを置き去りに、月日は流れる。
12年後。
先輩は起こされて、治療を受けた。
面会が出来るようになってから、先輩より歳上になってしまった私は、いの一番に会いに行く。
「先輩……!」
「やあ。また会えるって信じてたよ」
私は、脆く崩れる体が治った先輩を、強く抱き締めた。
「よかった。本当に、よかった……」
「うん。待っててくれて、ありがとう」
先輩は、私を抱き締め返す。
金木犀の香りがした。
何故かというと、先輩は、徐々に体が錆びて崩れていく難病に罹患してしまったからだ。現代医学では、治療法がない。
先輩は、私と仲良くしてくれていて。私の大好きな人で。私の特別な人だ。
代われるものなら、代わってあげたい。どうして、よりによって先輩が病気になったのだろう?
神様のせい? 私は誰を恨めばいい?
残酷な運命を、ままならない人生を、私は呪わしく思った。
「先輩」
「大丈夫」
そう言って、先輩は、優しく私の頭を撫でる。指が何本か崩れてしまい、今は包帯が巻いてある手で。
鉄臭い錆びの匂いがする。先輩の香りは、元々はこんな風じゃなかったのに。先輩は、いつも金木犀のいい匂いがしていた。
「またね」と言って、先輩は、コールドスリープマシンの中に入る。
「行かないで」と言うのを我慢する私。
治療法が見付かるまで、先輩は凍結され、眠り続ける。
それって、いつ? 明日だったらいいのに。
何年後? 何十年後? 何百年後?
私が先輩の年齢を追い越しても、先輩は先輩だけど。ずっと、私の大好きな先輩だけど。
もう会えないかもしれないという事実が、堪らなく悲しい。
先輩は、「またね」って言ってくれた。それなのに、弱い私は、それを信じきれずにいる。
帰り道。私は、人目も気にせず泣いた。声を上げて泣きじゃくった。
私もコールドスリープしたいよ。先輩が元気になるまで眠りにつきたい。
先輩が目覚めた時に、「おはようございます」って言いたいよ。
私の想いを置き去りに、月日は流れる。
12年後。
先輩は起こされて、治療を受けた。
面会が出来るようになってから、先輩より歳上になってしまった私は、いの一番に会いに行く。
「先輩……!」
「やあ。また会えるって信じてたよ」
私は、脆く崩れる体が治った先輩を、強く抱き締めた。
「よかった。本当に、よかった……」
「うん。待っててくれて、ありがとう」
先輩は、私を抱き締め返す。
金木犀の香りがした。