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お題「開けないLINE」
通知に「さよなら」のメッセージが届いて、開こうとしたら、相手が消えていた。
恋人が、自分で消えたんだ。
そして、次の日。おまえは、俺のことをほとんど忘れていた。
しかも、後日、故郷を去ってしまう。
「さよならって、そういうことかよ」
本当に、おまえは勝手な奴だ。それでも、愛してる。
お題「心の灯火」
自分の光が見えてないんだと思った。
おまえの本質は、煙じゃない。炎だ。
その炎が、俺は好きで、ずっと見ていたいと思う。
俺に月明かりを見出だすおまえは、自分の炎の煌めきに気付かない。
でも、互いを明かりだと考えて、俺たちは一緒に生きていくのだろう。
お題「些細なことでも」
ただ、少し寝不足だっただけ。
それを敏感に察知して、労るおまえ。
申し訳なくなる。
「ごめん。オレ、大丈夫だから」
そう言ってみたものの、看過されるはずがない。
おまえの大丈夫は信用ならないと言われた。
そりゃ、そうだ。
それじゃあ、オレは遠慮なく甘えさせてもらおう。
お題「きらめき」
この世界は、いつからこんなにキラキラしていただろうか?
オレの世界は、モノクロで、薄暗いものだったはずなんだけどな。
壊された世界を、ふたりで直してきた。少しずつ。かつてとは違う輝きになったここは、大切な居場所。
オレの居場所は、あの狭い部屋だけじゃなくなったんだ。
お題「貝殻」
貝のように黙っていられたら、よかったのに。
お喋りな貝の中身は、空っぽ。
オレは、虚ろな脱け殻。
空虚な言葉を吐き続ける。全てを煙に巻き続ける。
でも、おまえは名探偵だから、オレの真実に気付いてしまうんだ。
だから、本当に大嫌いだったよ。
お題「時を告げる」
小夜啼鳥が鳴いている。
「ごめんなさい…………」
隣で眠る恋人は、謝り、涙を流した。
その涙を親指で拭い、頭を撫でてやる。
「おまえは、悪くない」と囁いた。
救いたい。全ての敵を遠ざけてやりたい。
おまえの心に潜れるなら、そうするのに。
お題「踊るように」
「好き」を肯定されたから、跳び跳ねて喜んだ。
この祟りみたいな想いを、持っていてもいいんだ。捨てなくてもいいんだ。
たったそれだけで、天にも昇れる気になった。
手の中にあるボイスレコーダーを眺めて、ニヤリと笑った。
お題「胸の鼓動」
生きてるのか不安になって、おまえの胸に頭をつける。
とくとくとくとく。心臓が鳴っていた。
眠っているだけ。それだけ。
でも、前に眠ったまま目覚めなくなりそうなことが起きたから、心配してしまう。
睡眠薬をオーバードーズし、倒れていたおまえを発見したのは俺だ。
愛してるから、置いて行かないでくれ。
お題「世界に一つだけ」
世界からひとつだけ、色を失った。失ってしまったから、どんな色かも分からない。
君なの?
失くしたのは、君の色。オレとは関係ないはずの君。
落としてしまった? 忘れてしまった? 何も思い出せない。
それでも、君に会いに行こうと思った。
お題「喪失感」
あの日、失くしたものは、なぁに?
「大好きな両親。オレの居場所」
あの日、失くしたものは、なぁに?
「平穏。かけ替えのない日常」
あの日、失くしたものは、なぁに?
「無口な自分。怠惰なオレ」
あの日、手にしたものは、なぁに?
「友達。大切な他人」
あの日、手にしたものは、なぁに?
「親友。オレの月明かり」
あの日、手にしたものは、なぁに?
「恋人。世界で一番、特別な奴」
どうかもう、失くさないでね。
お題「カレンダー」
カレンダーの数字が変わり、オレの仕事も変わった。
オレは、兵士をやめたんだ。これからは、メディア対策室の一員になる。
悪魔の代弁者。それが、オレの新しい役割。
実にオレ向きじゃないか?
オレは、この組織が嫌いだし、ずっとムカついてたんだから。
さあ、会議の時間だ。悪魔になってやろうじゃねぇか。
お題「本気の恋」
嘘つきじゃないから、本気だと信じてもらえた。本気で祟っていると分かってもらえた。
時々は、この恋と名付けた想いを捨てたくなったけど、結局は大事に抱えている。
呪詛を吐くように、好意を告げた。祟るように、おまえを恋慕っている。
ろくでなしの恋。
お題「夜明け前」
暗い。怖い。助けて。
泣き叫んでも、誰にも届かない。
お父さん、お母さん、どこ?
オレ、どうしてひとりなの?
寒い。辛い。痛いよ。
なんで、こんなことになったの?
オレが悪い子だから?
夜が明けて、雨が止んだら、帰って来てね。
お題「命が燃え尽きるまで」
死ぬ時まで、燃えている。この情念のようなものは、ずっと煙を吐いている。
煙があるということは、火元があるということ。男の本質は、炎だった。決して消えない炎だった。
燃え盛る男は、ひとりでいる。ずっと、そうだと思っていた。
しかし、炎に包まれると知りながら、男を抱き締めてくれた者がいる。
だから、死ぬ時まで、おまえの隣で燃えている。
お題「君からのLINE」
死人からメッセージが届くようになった。日に一度、零時きっかりに。
『よう、元気か?』
何かの間違いか、あるいは自分の妄想かとも思ったが、違うらしい。
『元気だ』
『おまえよりはな』
そんな軽口を叩いてみた。
次の日、返信が届く。
『そりゃ、よかった』
『もっとメッセージ寄越せよ』
寂しいだろ。
翌日の返事は、『死者の世界の決まりから、仕方ないんだよ』だった。
この奇妙なやり取りを、いつまで続けられるのか? 怖くて訊けなかった。
お題「空が泣く」
雨粒が頬に当たって、不快になった。
雨は嫌いだ。頭が痛い。
透明なビニール傘を差して、家へと急ぐ。
やがて、ザーザー降ってきた雨は、オレの日常を奪った音に似ていた。
進路変更。おまえに会いたい。
お題「花畑」
ひまわり畑の中に消えそうな奴。俺の恋人。
大丈夫、大丈夫って言いながら、溺れそうな男。
信用出来ない語り手のおまえ。信頼はしている。
最近は、「愛してる」の花束を渡して、笑うおまえ。
その花束で、そのうち花畑が出来そうだ。
お題「夜景」
全部投げ出して、遠くへ来た。
寒空の下で、丘から見る景色は美しかったけど、ここにはおまえがいない。
見せてやりたい。叶わないけど。
おまえは、そこから逃げないだろうから。
さよなら。いつか、心の整理がついたら、おまえの元に帰るよ。
その時は、思いっきり殴ればいい。
お題「時間よ止まれ」
時間を戻したかった。家族が揃っていた、あの頃に。
でも、今は、こうも思う。
時よ止まれ。
止まった時の中に、おまえを閉じ込めたい。
それが出来たら、オレは実行するだろう。
時の檻におまえを入れて、隠してしまうのだろう。
他人に奪られるくらいなら、そうする。
お題「大事にしたい」
慈しむって、どういうことですか?
かつて、両親がオレにくれたものですよね、きっと。
大切な人がいるんです。世界で一番特別な人です。
愛してるんだと思います。今では、愛してます。
アイツが愛してくれたから、オレは何かを返したいです。
この想いを花束にして、渡したいんです。
一生、幸せにします。
お題「秋恋」
人肌恋しい季節になっていくのかな。
でも、皮膚って邪魔だよな。
なんでオレとおまえが別れてるんだろうって、たまに思うよ。
恋人以外なら、なんでもよかったとも考える。
親子とか、兄弟とかさ。
まあ、そんなことは叶わないんだけど。
お題「声が聞こえる」
死んでしまおうと思った。
だから、マンションの一番上の階に来たんだ。
階段の踊り場から、柵を乗り越えたら、あと一歩。
だけど、おまえの声が耳元を離れない。
おまえは、「どこにも行くな」と言った。
オレは、最後の一歩を踏み出せなくて。夕闇の中で、泣いている。
お題「ジャングルジム」
天辺まで登れば、どこまでも行ける気がした。
ジャングルジムの一番上に座り、沈む夕日を眺めている。
なんとなく、両親は天国にいるんじゃないかと思って。そうした。
見上げた夕空に、手を伸ばす。
「雨が止んでも、夜が明けても、帰って来てくれないんだな」
独り言は、風の音に拐われて消えた。
お題「形の無いもの」
それは目に見えず、触ることも出来ないもの。
でも、確かに受け取ったもの。
両親から。祖父母から。おまえから。
だから、オレもそれを返したい。
オレには、作れないと思っていたもの。
だけど、最近は不恰好だけど作れるようになったんだ。
今日も、この一粒の光を、おまえに捧げる。
お題「窓から見える景色」
病室の窓は、ほんの少ししか開かないよう作られていた。患者が逃げ出さないようにだろう。
精神科病棟の一室で、オレはひとりで考え事をしている。
また居場所を失くすんだな。
窓の外は、暗雲が立ち込めていた。
オレの先行きを暗示しているかのようだ。
上から処分が下されるまで、オレには何が出来るのだろう?
お題「秋🍁」
読書の秋。ふたりで、座った姿勢でお互いの首元に腕を回し、本を読んでいる。
オレは、いつも通り哲学書で、おまえは推理小説。
キルケゴールが、オレに「絶望」について語りかける。
一方、おまえは、どこかの名探偵と一緒に事件の謎を追っている。
だけど、オレたちは一緒にいて、あまつさえ抱き合っているワケで。見てる世界が、あまりにも違うけど、物理的な距離はない。
不思議な読書会は続く。
お題「通り雨」
雨に降られて、オレは煙草屋の店先で足止めを食らった。
どうして、こんな目に遭うんだか。雨は嫌いだっつってんのに。
雨脚が強くなり、いよいよ立ち往生するしかない。
そこに、おまえが通りがかって、オレに傘を差し出してくれた。
いつでも傘になってくれるって、マジだったのか。
お題「別れ際に」
何故、引っ越すオレのところに君が来たのか分からない。
君は、何かを言いたそうで。でも、絶対に言わなそうで。変だ。
「さよなら」と言ったら、君は悲しそうな顔をする。
ただの知り合い相手に、どうしてそんな表情をするんだろう?
オレはオレで、その疑問は口にしなかった。
お題「静寂に包まれた部屋」
眠っているおまえを見ている。
オレは、しょっちゅう魘されてるらしいけど、おまえはそんなことない。
静かに、穏やかに寝ている。
ぎこちない手つきで、頭を撫でた。
「いつも、ありがとう」
ぽつりとこぼした言葉は、部屋の空白に溶ける。
お題「きっと明日も」
ずっと喪失を抱えているけど、オレは大丈夫だ。
今日も、明日も、明後日も、おまえが隣にいてくれるから。
悪夢を見る夜には、手を握ってくれる。雨の日、傘を差してくれる。
本当に、ありがとう。
おまえが困っていたら、オレが手を差し伸べるから。だから、オレを呼んでくれ。
通知に「さよなら」のメッセージが届いて、開こうとしたら、相手が消えていた。
恋人が、自分で消えたんだ。
そして、次の日。おまえは、俺のことをほとんど忘れていた。
しかも、後日、故郷を去ってしまう。
「さよならって、そういうことかよ」
本当に、おまえは勝手な奴だ。それでも、愛してる。
お題「心の灯火」
自分の光が見えてないんだと思った。
おまえの本質は、煙じゃない。炎だ。
その炎が、俺は好きで、ずっと見ていたいと思う。
俺に月明かりを見出だすおまえは、自分の炎の煌めきに気付かない。
でも、互いを明かりだと考えて、俺たちは一緒に生きていくのだろう。
お題「些細なことでも」
ただ、少し寝不足だっただけ。
それを敏感に察知して、労るおまえ。
申し訳なくなる。
「ごめん。オレ、大丈夫だから」
そう言ってみたものの、看過されるはずがない。
おまえの大丈夫は信用ならないと言われた。
そりゃ、そうだ。
それじゃあ、オレは遠慮なく甘えさせてもらおう。
お題「きらめき」
この世界は、いつからこんなにキラキラしていただろうか?
オレの世界は、モノクロで、薄暗いものだったはずなんだけどな。
壊された世界を、ふたりで直してきた。少しずつ。かつてとは違う輝きになったここは、大切な居場所。
オレの居場所は、あの狭い部屋だけじゃなくなったんだ。
お題「貝殻」
貝のように黙っていられたら、よかったのに。
お喋りな貝の中身は、空っぽ。
オレは、虚ろな脱け殻。
空虚な言葉を吐き続ける。全てを煙に巻き続ける。
でも、おまえは名探偵だから、オレの真実に気付いてしまうんだ。
だから、本当に大嫌いだったよ。
お題「時を告げる」
小夜啼鳥が鳴いている。
「ごめんなさい…………」
隣で眠る恋人は、謝り、涙を流した。
その涙を親指で拭い、頭を撫でてやる。
「おまえは、悪くない」と囁いた。
救いたい。全ての敵を遠ざけてやりたい。
おまえの心に潜れるなら、そうするのに。
お題「踊るように」
「好き」を肯定されたから、跳び跳ねて喜んだ。
この祟りみたいな想いを、持っていてもいいんだ。捨てなくてもいいんだ。
たったそれだけで、天にも昇れる気になった。
手の中にあるボイスレコーダーを眺めて、ニヤリと笑った。
お題「胸の鼓動」
生きてるのか不安になって、おまえの胸に頭をつける。
とくとくとくとく。心臓が鳴っていた。
眠っているだけ。それだけ。
でも、前に眠ったまま目覚めなくなりそうなことが起きたから、心配してしまう。
睡眠薬をオーバードーズし、倒れていたおまえを発見したのは俺だ。
愛してるから、置いて行かないでくれ。
お題「世界に一つだけ」
世界からひとつだけ、色を失った。失ってしまったから、どんな色かも分からない。
君なの?
失くしたのは、君の色。オレとは関係ないはずの君。
落としてしまった? 忘れてしまった? 何も思い出せない。
それでも、君に会いに行こうと思った。
お題「喪失感」
あの日、失くしたものは、なぁに?
「大好きな両親。オレの居場所」
あの日、失くしたものは、なぁに?
「平穏。かけ替えのない日常」
あの日、失くしたものは、なぁに?
「無口な自分。怠惰なオレ」
あの日、手にしたものは、なぁに?
「友達。大切な他人」
あの日、手にしたものは、なぁに?
「親友。オレの月明かり」
あの日、手にしたものは、なぁに?
「恋人。世界で一番、特別な奴」
どうかもう、失くさないでね。
お題「カレンダー」
カレンダーの数字が変わり、オレの仕事も変わった。
オレは、兵士をやめたんだ。これからは、メディア対策室の一員になる。
悪魔の代弁者。それが、オレの新しい役割。
実にオレ向きじゃないか?
オレは、この組織が嫌いだし、ずっとムカついてたんだから。
さあ、会議の時間だ。悪魔になってやろうじゃねぇか。
お題「本気の恋」
嘘つきじゃないから、本気だと信じてもらえた。本気で祟っていると分かってもらえた。
時々は、この恋と名付けた想いを捨てたくなったけど、結局は大事に抱えている。
呪詛を吐くように、好意を告げた。祟るように、おまえを恋慕っている。
ろくでなしの恋。
お題「夜明け前」
暗い。怖い。助けて。
泣き叫んでも、誰にも届かない。
お父さん、お母さん、どこ?
オレ、どうしてひとりなの?
寒い。辛い。痛いよ。
なんで、こんなことになったの?
オレが悪い子だから?
夜が明けて、雨が止んだら、帰って来てね。
お題「命が燃え尽きるまで」
死ぬ時まで、燃えている。この情念のようなものは、ずっと煙を吐いている。
煙があるということは、火元があるということ。男の本質は、炎だった。決して消えない炎だった。
燃え盛る男は、ひとりでいる。ずっと、そうだと思っていた。
しかし、炎に包まれると知りながら、男を抱き締めてくれた者がいる。
だから、死ぬ時まで、おまえの隣で燃えている。
お題「君からのLINE」
死人からメッセージが届くようになった。日に一度、零時きっかりに。
『よう、元気か?』
何かの間違いか、あるいは自分の妄想かとも思ったが、違うらしい。
『元気だ』
『おまえよりはな』
そんな軽口を叩いてみた。
次の日、返信が届く。
『そりゃ、よかった』
『もっとメッセージ寄越せよ』
寂しいだろ。
翌日の返事は、『死者の世界の決まりから、仕方ないんだよ』だった。
この奇妙なやり取りを、いつまで続けられるのか? 怖くて訊けなかった。
お題「空が泣く」
雨粒が頬に当たって、不快になった。
雨は嫌いだ。頭が痛い。
透明なビニール傘を差して、家へと急ぐ。
やがて、ザーザー降ってきた雨は、オレの日常を奪った音に似ていた。
進路変更。おまえに会いたい。
お題「花畑」
ひまわり畑の中に消えそうな奴。俺の恋人。
大丈夫、大丈夫って言いながら、溺れそうな男。
信用出来ない語り手のおまえ。信頼はしている。
最近は、「愛してる」の花束を渡して、笑うおまえ。
その花束で、そのうち花畑が出来そうだ。
お題「夜景」
全部投げ出して、遠くへ来た。
寒空の下で、丘から見る景色は美しかったけど、ここにはおまえがいない。
見せてやりたい。叶わないけど。
おまえは、そこから逃げないだろうから。
さよなら。いつか、心の整理がついたら、おまえの元に帰るよ。
その時は、思いっきり殴ればいい。
お題「時間よ止まれ」
時間を戻したかった。家族が揃っていた、あの頃に。
でも、今は、こうも思う。
時よ止まれ。
止まった時の中に、おまえを閉じ込めたい。
それが出来たら、オレは実行するだろう。
時の檻におまえを入れて、隠してしまうのだろう。
他人に奪られるくらいなら、そうする。
お題「大事にしたい」
慈しむって、どういうことですか?
かつて、両親がオレにくれたものですよね、きっと。
大切な人がいるんです。世界で一番特別な人です。
愛してるんだと思います。今では、愛してます。
アイツが愛してくれたから、オレは何かを返したいです。
この想いを花束にして、渡したいんです。
一生、幸せにします。
お題「秋恋」
人肌恋しい季節になっていくのかな。
でも、皮膚って邪魔だよな。
なんでオレとおまえが別れてるんだろうって、たまに思うよ。
恋人以外なら、なんでもよかったとも考える。
親子とか、兄弟とかさ。
まあ、そんなことは叶わないんだけど。
お題「声が聞こえる」
死んでしまおうと思った。
だから、マンションの一番上の階に来たんだ。
階段の踊り場から、柵を乗り越えたら、あと一歩。
だけど、おまえの声が耳元を離れない。
おまえは、「どこにも行くな」と言った。
オレは、最後の一歩を踏み出せなくて。夕闇の中で、泣いている。
お題「ジャングルジム」
天辺まで登れば、どこまでも行ける気がした。
ジャングルジムの一番上に座り、沈む夕日を眺めている。
なんとなく、両親は天国にいるんじゃないかと思って。そうした。
見上げた夕空に、手を伸ばす。
「雨が止んでも、夜が明けても、帰って来てくれないんだな」
独り言は、風の音に拐われて消えた。
お題「形の無いもの」
それは目に見えず、触ることも出来ないもの。
でも、確かに受け取ったもの。
両親から。祖父母から。おまえから。
だから、オレもそれを返したい。
オレには、作れないと思っていたもの。
だけど、最近は不恰好だけど作れるようになったんだ。
今日も、この一粒の光を、おまえに捧げる。
お題「窓から見える景色」
病室の窓は、ほんの少ししか開かないよう作られていた。患者が逃げ出さないようにだろう。
精神科病棟の一室で、オレはひとりで考え事をしている。
また居場所を失くすんだな。
窓の外は、暗雲が立ち込めていた。
オレの先行きを暗示しているかのようだ。
上から処分が下されるまで、オレには何が出来るのだろう?
お題「秋🍁」
読書の秋。ふたりで、座った姿勢でお互いの首元に腕を回し、本を読んでいる。
オレは、いつも通り哲学書で、おまえは推理小説。
キルケゴールが、オレに「絶望」について語りかける。
一方、おまえは、どこかの名探偵と一緒に事件の謎を追っている。
だけど、オレたちは一緒にいて、あまつさえ抱き合っているワケで。見てる世界が、あまりにも違うけど、物理的な距離はない。
不思議な読書会は続く。
お題「通り雨」
雨に降られて、オレは煙草屋の店先で足止めを食らった。
どうして、こんな目に遭うんだか。雨は嫌いだっつってんのに。
雨脚が強くなり、いよいよ立ち往生するしかない。
そこに、おまえが通りがかって、オレに傘を差し出してくれた。
いつでも傘になってくれるって、マジだったのか。
お題「別れ際に」
何故、引っ越すオレのところに君が来たのか分からない。
君は、何かを言いたそうで。でも、絶対に言わなそうで。変だ。
「さよなら」と言ったら、君は悲しそうな顔をする。
ただの知り合い相手に、どうしてそんな表情をするんだろう?
オレはオレで、その疑問は口にしなかった。
お題「静寂に包まれた部屋」
眠っているおまえを見ている。
オレは、しょっちゅう魘されてるらしいけど、おまえはそんなことない。
静かに、穏やかに寝ている。
ぎこちない手つきで、頭を撫でた。
「いつも、ありがとう」
ぽつりとこぼした言葉は、部屋の空白に溶ける。
お題「きっと明日も」
ずっと喪失を抱えているけど、オレは大丈夫だ。
今日も、明日も、明後日も、おまえが隣にいてくれるから。
悪夢を見る夜には、手を握ってくれる。雨の日、傘を差してくれる。
本当に、ありがとう。
おまえが困っていたら、オレが手を差し伸べるから。だから、オレを呼んでくれ。