うちよそ
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「邪魔なら、殺してあげようか?」と、男は言った。
日隈慎也は、最近知り合った千頭了一のあっけらかんとした台詞に驚く。
自分に恋愛感情を向けている女について話していたら、そんな言葉が飛び出してきたのだ。
「チカさん、彼女を食べるの?」
「食べていいなら」
日常的に、選択肢に“殺す”がある男は告げた。
自分の返事ひとつで、人ひとりの生死が決まる。そんな状況。
つまり、慎也が獲物を「ちかみ」に誘い出し、了一が殺して、解体して、食べる。という提案。
「…………」
「気が乗らないなら、いいけど」
了一は、幾分残念そうにしている。
この男は、人間なのだろうか? やはり、殺人鬼?
「チカさんは、人を殺すのに、全然抵抗ないの?」
「屠殺場で働く人にも、それ訊く?」
「ないってことね……」
了一にとって、人を殺すのは、家畜を殺すのと変わらないことである。鶏を、豚を、牛を殺すのに躊躇っていても、自分の腹が空くだけ。
しかし、飢饉でもないのに人を食べるのがおかしいことくらい、理解していた。だから、人肉を食べることは、嗜好品を楽しむ程度に留めている。
了一は、月に一、二回だけ人を食う。狙うのは、一人暮らしをしていて、体が大き過ぎない、なるべく交友関係がなさそうな者。
そういう客は、大抵店にひとりで来る。だから、その獲物を了一は狩ってきた。
人肉に、捨てるところなし。
骨は、機械で粉砕して、スープにして飲んでいる。
ただ、脳だけはプリオンが多いので、病気になるのを避けるために、生ゴミとして捨てている。
「じゃあ、鹿を解体するけど、見る?」
「見る! 写真いい?」
「いいよ」
各々準備をし、ふたりは地下室へ向かう。
そこには、数分前に仕留められた鹿がいる。
「まず、血抜き」
了一は、速やかに放血を行う。
その後。
「洗浄」
毛皮の汚れを落とす。
「内臓を取る」
内臓を摘出し、腹腔に溜まった血を洗い流した。
「冷却」
冷水に晒し、寒い地下室で、しばらく待つ。
淡々と無表情で処理をする了一は、職人的だった。
慎也は、彼の仕事をカメラに収めていく。
そして。
「皮を剥ぐ」
ナイフを淀みなく動かし、剥皮した。
「分割」
鹿を吊るし、枝肉にして、各部位を解体していく。
その様を、慎也はじっと見ていた。
「そんなに面白い?」
「血がたくさん入ってたから」
「……ふぅん」
了一は、血液に執着はない。血は、流して捨てるものだからだ。血液なんて、飲めたものじゃないというのもある。
しかし、いいことを思い付いた。
「今度、人間でブラッドソーセージを作ってみようかな」
「そんなこと出来るの?!」
それは、慎也も興味がある。
「まあ、ものは試しに」
「絶対、ぼくがいる時にしてね!」
「はいはい」
君も大概異常だよ。という言葉を、了一は口にしなかった。
日隈慎也は、最近知り合った千頭了一のあっけらかんとした台詞に驚く。
自分に恋愛感情を向けている女について話していたら、そんな言葉が飛び出してきたのだ。
「チカさん、彼女を食べるの?」
「食べていいなら」
日常的に、選択肢に“殺す”がある男は告げた。
自分の返事ひとつで、人ひとりの生死が決まる。そんな状況。
つまり、慎也が獲物を「ちかみ」に誘い出し、了一が殺して、解体して、食べる。という提案。
「…………」
「気が乗らないなら、いいけど」
了一は、幾分残念そうにしている。
この男は、人間なのだろうか? やはり、殺人鬼?
「チカさんは、人を殺すのに、全然抵抗ないの?」
「屠殺場で働く人にも、それ訊く?」
「ないってことね……」
了一にとって、人を殺すのは、家畜を殺すのと変わらないことである。鶏を、豚を、牛を殺すのに躊躇っていても、自分の腹が空くだけ。
しかし、飢饉でもないのに人を食べるのがおかしいことくらい、理解していた。だから、人肉を食べることは、嗜好品を楽しむ程度に留めている。
了一は、月に一、二回だけ人を食う。狙うのは、一人暮らしをしていて、体が大き過ぎない、なるべく交友関係がなさそうな者。
そういう客は、大抵店にひとりで来る。だから、その獲物を了一は狩ってきた。
人肉に、捨てるところなし。
骨は、機械で粉砕して、スープにして飲んでいる。
ただ、脳だけはプリオンが多いので、病気になるのを避けるために、生ゴミとして捨てている。
「じゃあ、鹿を解体するけど、見る?」
「見る! 写真いい?」
「いいよ」
各々準備をし、ふたりは地下室へ向かう。
そこには、数分前に仕留められた鹿がいる。
「まず、血抜き」
了一は、速やかに放血を行う。
その後。
「洗浄」
毛皮の汚れを落とす。
「内臓を取る」
内臓を摘出し、腹腔に溜まった血を洗い流した。
「冷却」
冷水に晒し、寒い地下室で、しばらく待つ。
淡々と無表情で処理をする了一は、職人的だった。
慎也は、彼の仕事をカメラに収めていく。
そして。
「皮を剥ぐ」
ナイフを淀みなく動かし、剥皮した。
「分割」
鹿を吊るし、枝肉にして、各部位を解体していく。
その様を、慎也はじっと見ていた。
「そんなに面白い?」
「血がたくさん入ってたから」
「……ふぅん」
了一は、血液に執着はない。血は、流して捨てるものだからだ。血液なんて、飲めたものじゃないというのもある。
しかし、いいことを思い付いた。
「今度、人間でブラッドソーセージを作ってみようかな」
「そんなこと出来るの?!」
それは、慎也も興味がある。
「まあ、ものは試しに」
「絶対、ぼくがいる時にしてね!」
「はいはい」
君も大概異常だよ。という言葉を、了一は口にしなかった。