書く習慣ログ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お題「カラフル」
モノクロの世界を色付かせたのは、他でもないおまえだ。
外の世界を好きになれたのは、おまえがいたからだ。
だから、ずっと恋しく想っている。隣にいても、遠い存在に感じている。
それに、おまえは、遠くへ行くための努力をしているから。
そのことを、応援出来ずにいるオレは、薄情だ。
自分勝手なオレは、おまえに、「どこへも行かないでくれ」と、すがり付きたいと考え続けている。
お題「優しくしないで」
おまえが、たまたま優しい奴だったから、オレみたいなのに好かれて、可哀想だ。
優しくして、祟られて。恩を仇で返されて。
だから、これ以上は…………。
もう関わるなと言えよ、オレ。さあ、早く。
「なあ、もうオレのことは…………」
放っておいてくれと続けたかったんだが、おまえが、オレの手を取るから。
「…………」
口を閉じてしまった。
空いている方の手で、オレの頭を撫でるおまえ。
オレは、くしゃりと笑った。
お題「“ありがとう”そんな言葉を伝えたかった。その人のことを思い浮かべながら、言葉を綴ってみて」
ごめん。ありがとう。さよなら。
オレが言えるのは、これくらい。
次に会うオレは、もうおまえの恋人のオレじゃないんだろう。
弱くて、ごめん。今まで、ありがとう。今度こそ、さよなら。
お題「大地に寝転び雲が流れる…目を閉じると浮かんできたのはどんなお話?」
風が吹いている。熱気を伴う、夏風。
うぜぇ。嫌いだ、何もかも。
ひまわり畑に消えてやろうか。
そんなことを考えながらも、おまえだけは例外で。
「鬱陶しいよな、オレ…………」
結局のところ、おまえの手を握りしめたまま、オレは生きている。
お題「君と出逢ってから、私は…」
私は、あなたと出逢ってから、弱くなりました。ひとりが、独りになりました。
いずれ死ぬことが決まっているのに、あなたの隣で生きたいと願いました。
どうせ、生き抜くなら、あなたを愛して死にたいです。
いつか、この気持ちを伝えることが出来たら、あなたは私を笑うでしょうか?
お題「明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。」
明日、願いが叶う。オレは、ずっと消えたかったんだ。
だから、世界がなくなることが嬉しい。この世界には、おまえもいるし。
オレは、世界と心中する。
そんな夢を見た。
「あーあ…………」
オレだけ消えるのは、嫌だなぁ。
お題「初恋の日」
オレの初恋? おまえだけど?
照れんなよ。オレまで恥ずかしいだろ。
ところで、恋ってこんなに呪わしいものなのか?
オレってヤバい? 重い?
そっかー。まあ、重いよな。
でも、おまえは、やっぱりオレの人生の光だし。
だから、ずっと側に置いといてくれよ、オレを。
お題「一年後」
あれから、一年。今でも、あの日を夢に見る。
朝、「いってらっしゃい」と送り出した両親は、帰って来なかった。
行方不明。それが、ふたりの現状。
オレは、“答え”を知るのが怖い。
どうせなら、おまえが解いてくれ。
そう思う。
お題「忘れられない、いつまでも。」
記憶の大半を消したのに、おまえの煙草の香りを覚えていた。
そして結局、記憶を取り戻したオレは、相変わらずおまえのことを祟っている。
オレが吐く好意なんて、呪詛みたいで。とても重苦しいのに。おまえは、軽く受け流して、オレの隣にいてくれる。お互いに、相手の手を握り締めたままでいる。
それは、なんて名前の鎖なんだろう?
いや、鎖だと思ってるのはオレだけか。
お題「モンシロチョウ」
虫は好きだ。あの機能美には、憧れる。システマチックで無駄がない。ああいう生命になれたなら、オレは幸せになれるかもしれないのにな。
モンシロチョウが、ひらひらと菜の花畑を飛んでいる。
少し綺麗な見た目だっただけの羽虫。でも、虫は虫だ。好きだよ。
蝶にはなれないオレは、きっと蛾になるんだろう。
お題「愛を叫ぶ。」
「好きだよ」「大好きだよ」「祟ってやる」「呪う」と、おまえに色々言ってきたけれど。これだけは、言えなかったな。
「愛してる!」
きっと、オレの顔は真っ赤になってるだろう。
どうか、笑ってくれ。
そう思ったけど、おまえは無言でオレを抱き締めた。
ばか、泣かせるな。
お題「子供のままで」
家族しか信頼出来ない子供だったよ。
オレの世界は、狭く深く。それでよかった。
でも、あの日から、そういう子供のままではいられなくなったから。オレは、外へ出た。
世界は広大で、複雑で、途方もない。恐ろしい暗闇。
でも、おまえがオレを照らしてくれた。
だから、無理して大人ぶらなくてもよくなって、オレの息苦しさは、薄れたんだよ。
ありがとう。もう子供には戻れないけど、おまえと一緒なら、みっともなくても生きていけるよ。
お題「おうち時間でやりたいこと」
ひとりだけ残された家で、ぼーっとしている。
元は、5人で暮らしていた場所。
かつての団欒を、取り戻せたら、何をしよう?
「オレ、父さんの哲学書を全部読んだよ」とか、「ふたりの調理器具、多過ぎ」とか。言いたいことが色々ある。
生死も分からない両親。親戚の家へと身を寄せている祖父母。取り残されたオレ。
「オレ、好きな人がいるんだ」
そんなことを言えたなら。
お題「風に身をまかせ」
どうしてこんなことになったんだっけ?
ふわふわと空中に浮いているオレは、風任せに流れた。
辿り着いたのは、墓場。ある墓石の前に、ひとりの男がいる。
ああ、そっか。これは、オレの墓だ。
晴れた空の下に、雨が一粒。それを、オレは拭ってやることが出来なくて、申し訳なく思う。
お題「後悔」
どうしようもない後悔を抱えている。
おまえと出会ったこと。好きになってしまったこと。恋人になってもらったこと。隣にいること。
後悔しても仕方がないのに。
加害者は、加害者らしくしてればいい。
悲しい過去も、辛いことも、後悔も、全てを呑み込んで笑っていればいい。
悪役は、いつも笑ってるもんだろ?
お題「愛があれば何でもできる?」
愛を免罪符にして、“何でも”する人間になれたら、それはそれで悪役としてはいいな、と思った。
実際は、自分の中の愛のなさに辟易しているが。
愛してるから、ずっとずっと縛り付けさせてくれよ。愛してるから、オレ以外見ないでくれよ。愛してるから、そんな善人でいないでくれよ。
言わない言葉は、ないのと同じ。
これからも、きっと言わないけど、オレが罪人であることに変わりはない。
お題「真夜中」
眠る前には、自己嫌悪をして。眠っている時は、あの日の悪夢を見る。そして、夜夜中に目を覚ます。
「はぁ…………」
何故、まともな両親が行方不明になり、不良債権のオレはのうのうと生きているのか?
生きる意味なんてなかった。おまえがいなきゃ、ここに立ち続けることすら出来ない。
オレの抱えているものを、おまえはすぐに見付けてしまうから、そういう役割を押し付けている。
名探偵のおまえは、犯人のオレをゆるしてしまうから、祟られている。
いつか、違う配役になったなら、オレはおまえに何を伝えよう?
お題「恋物語」
そんなものとは、縁遠いと思ってた。世界には、オレと両親と祖父母だけだったから。
恋は、物語に過ぎなかった。
オレの物語は、薄暗く、粘着質。だけど、おまえに彩られた物語。
最後まで、全うしたい物語だ。
お題「突然の別れ」
「いってらっしゃい」と送り出した両親が、帰って来なかった男。それが、俺の特別な奴。
「さよなら」も言わずに去って行ったのが、おまえ。
そりゃあ、記憶の大半を消したら、俺のことも忘れるよな。
「バカ」と言えたら、よかったのに。でも、棘みたいに突き刺さる日々を送るおまえは、見てられなかった。だから、手を放してやるよ。
おまえの居場所になりたかった。
お題「理想のあなた」
18歳の女の子になりたいだなんて言っていたっけ。
でも、それって「理想の自分」じゃないよね。異性愛規範とエイジズムに縛られていただけ。
あなたの理想は、あなたがあなたであること。
あたしなんて、必要ないの。
自信を持って、彼が照らしてくれた道を歩いて行って。
あたしのことなんて、忘れてていいの。
お題「透明な水」
真っ黒なインクを一滴、おまえに垂らしてしまった気がしている。
それが、オレの最大の罪。
おまえは、絶望的に綺麗だったから。オレのせいで、汚れてしまったように思う。
でも、こうも思うんだ。オレごときが、おまえを汚せるはずがないって。
オレという無理難題を解き続けるおまえは、きっと間違わない奴だからな。
お題「昨日へのさよなら、明日との出会い」
あの女が消えて。記憶が消えて。でも、オレはおまえが好きで。オレはオレであることから逃げずにいる。
やっぱりオレは、ここにいたい。家族がいた場所。おまえがいる場所。
ここに留まるためには、走り続けなくてはならない。
逃げ道なんか走らない。おまえの隣で走るよ。
お題「逃れられない呪縛」
オレは、オレであることから逃げられない。
この世を呪って、おまえを祟って、一生懸命に“人間”をやっている。
みっともない。価値もない。情けない。
指先ひとつでも触れられたら、崩れてしまいそうな化けの皮。
でも、皮を剥ぐまでもなく、おまえはオレの正体を知っている。
それなのに、隣にいてくれるもんだから、甘えていた。
ダメだ。このままじゃ。もっと、俯かないでいられるオレになりたい。
お題「あの頃の不安だった私へ」
いつも不安で潰れそうだった。ぺしゃんこにされて、ゴミ箱行きになるような気がして。
祖父母と両親は、まともな社会人だった。親族の中で、オレだけが、引きこもり気味の落伍者。
だけど今は、なんとか立てている。おまえのお陰だな。
「助けて」と言うことは、そんなに簡単じゃなかったけど、オレは弱さを受け入れて生きている。
あの頃のオレへ。おまえは、案外しぶといし、欲深いから、外でも生きられるよ。
お題「いつまでも降り止まない、雨」
おまえが死ぬことを選んだのは、医者から言わせれば、「あり得る」ことなんだろう。
でも、俺はそうじゃない。
墓に、おまえが吸っていた煙草に火を着けて供えた。
「…………」
仄かにバニラの香りがする。おまえの香りだ。
空は、快晴。雫がひとつ、地面に染みた。
お題「月に願いを」
オレの前から消えてくれと願っていた。
眩しいから。綺麗過ぎるから。心が波立つから。
でも、きっと、本当に消えてしまったら、オレは後悔するんだろう。
愚かな願い。そもそも、おまえが月なのに。
お題「天国と地獄」
オレは、きっと地獄行きだから、死んだら会えないな。ま、天国や地獄があるかは知らないが。
オレは、嘘つきじゃない。人殺しでも、盗人でも、その他の犯罪者でもない。ただ、オレは“煙に巻く者”だった。
そのオレを、“解き明かす者”であるおまえが好きになるなんて、考えてなかったんだよ。
おまえは、天国行きのチケットを千切って、半分寄越してくるような奴だから。善い奴だよな、本当。
お題「半袖」
「なんだその腕の筋肉は」
衣替えが終わり、恋人と会っての第一声。
え? だって。え?
「裸見たことあんだろ」
そりゃそうだけど。いや、袖があるからこその視線誘導? なんか、そういうのだよ。
別に、劣情を煽られたりとか、してませんけど?
お題「ごめんね」
ごめんね。ごめんね、可哀想なあたし。
自我から別たれそうになったあたし。
別に、あの男を恨んでなんかないけど。あたしは、結局あの男と同じ者だし。
ずっと傍にいるよ。アーキタイプのひとりとして。
覚えてる? ユング心理学のこと。
あたしたちは、ふたりにはなれないけど、ひとりを想うひとりだから。
ずっと一緒にいるよ。
お題「ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。」
暗闇の中を走っている。何度も転んだ。何度も挫けた。
そこに、ある日、優しい月の光が降り注ぐ。
オレの道行きを照らしてくれた。
でも、鬱陶しいと、消えてほしいと思うこともあったんだ。バカみたい。
世界で一番の“特別”だから。好きだから。一秒も傍にいてほしくなくて。片時も離れてほしくなくて。
相反する気持ち。身勝手なオレ。
ゆるされないと思った。だけど、おまえは、オレをゆるした。
それから、ずっと隣で煙たい話をしている。
お題「天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、」
おそらキレイ。でも、それはどうだってよくて。ぼくにとってだいじなのは、きみがだれなのかってこと。
「おまえの未来の恋人」だって、その人はいった。
こいびとってなあに?
「全ての例外」なんだって。よくわかんない。
たいせつな人?
「そうだ」
たいせつな人。ぼくが、家ぞくじゃない人をたいせつにおもうときがくるんだ。
それは、なんだか、すごいことのようなきがする。
モノクロの世界を色付かせたのは、他でもないおまえだ。
外の世界を好きになれたのは、おまえがいたからだ。
だから、ずっと恋しく想っている。隣にいても、遠い存在に感じている。
それに、おまえは、遠くへ行くための努力をしているから。
そのことを、応援出来ずにいるオレは、薄情だ。
自分勝手なオレは、おまえに、「どこへも行かないでくれ」と、すがり付きたいと考え続けている。
お題「優しくしないで」
おまえが、たまたま優しい奴だったから、オレみたいなのに好かれて、可哀想だ。
優しくして、祟られて。恩を仇で返されて。
だから、これ以上は…………。
もう関わるなと言えよ、オレ。さあ、早く。
「なあ、もうオレのことは…………」
放っておいてくれと続けたかったんだが、おまえが、オレの手を取るから。
「…………」
口を閉じてしまった。
空いている方の手で、オレの頭を撫でるおまえ。
オレは、くしゃりと笑った。
お題「“ありがとう”そんな言葉を伝えたかった。その人のことを思い浮かべながら、言葉を綴ってみて」
ごめん。ありがとう。さよなら。
オレが言えるのは、これくらい。
次に会うオレは、もうおまえの恋人のオレじゃないんだろう。
弱くて、ごめん。今まで、ありがとう。今度こそ、さよなら。
お題「大地に寝転び雲が流れる…目を閉じると浮かんできたのはどんなお話?」
風が吹いている。熱気を伴う、夏風。
うぜぇ。嫌いだ、何もかも。
ひまわり畑に消えてやろうか。
そんなことを考えながらも、おまえだけは例外で。
「鬱陶しいよな、オレ…………」
結局のところ、おまえの手を握りしめたまま、オレは生きている。
お題「君と出逢ってから、私は…」
私は、あなたと出逢ってから、弱くなりました。ひとりが、独りになりました。
いずれ死ぬことが決まっているのに、あなたの隣で生きたいと願いました。
どうせ、生き抜くなら、あなたを愛して死にたいです。
いつか、この気持ちを伝えることが出来たら、あなたは私を笑うでしょうか?
お題「明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。」
明日、願いが叶う。オレは、ずっと消えたかったんだ。
だから、世界がなくなることが嬉しい。この世界には、おまえもいるし。
オレは、世界と心中する。
そんな夢を見た。
「あーあ…………」
オレだけ消えるのは、嫌だなぁ。
お題「初恋の日」
オレの初恋? おまえだけど?
照れんなよ。オレまで恥ずかしいだろ。
ところで、恋ってこんなに呪わしいものなのか?
オレってヤバい? 重い?
そっかー。まあ、重いよな。
でも、おまえは、やっぱりオレの人生の光だし。
だから、ずっと側に置いといてくれよ、オレを。
お題「一年後」
あれから、一年。今でも、あの日を夢に見る。
朝、「いってらっしゃい」と送り出した両親は、帰って来なかった。
行方不明。それが、ふたりの現状。
オレは、“答え”を知るのが怖い。
どうせなら、おまえが解いてくれ。
そう思う。
お題「忘れられない、いつまでも。」
記憶の大半を消したのに、おまえの煙草の香りを覚えていた。
そして結局、記憶を取り戻したオレは、相変わらずおまえのことを祟っている。
オレが吐く好意なんて、呪詛みたいで。とても重苦しいのに。おまえは、軽く受け流して、オレの隣にいてくれる。お互いに、相手の手を握り締めたままでいる。
それは、なんて名前の鎖なんだろう?
いや、鎖だと思ってるのはオレだけか。
お題「モンシロチョウ」
虫は好きだ。あの機能美には、憧れる。システマチックで無駄がない。ああいう生命になれたなら、オレは幸せになれるかもしれないのにな。
モンシロチョウが、ひらひらと菜の花畑を飛んでいる。
少し綺麗な見た目だっただけの羽虫。でも、虫は虫だ。好きだよ。
蝶にはなれないオレは、きっと蛾になるんだろう。
お題「愛を叫ぶ。」
「好きだよ」「大好きだよ」「祟ってやる」「呪う」と、おまえに色々言ってきたけれど。これだけは、言えなかったな。
「愛してる!」
きっと、オレの顔は真っ赤になってるだろう。
どうか、笑ってくれ。
そう思ったけど、おまえは無言でオレを抱き締めた。
ばか、泣かせるな。
お題「子供のままで」
家族しか信頼出来ない子供だったよ。
オレの世界は、狭く深く。それでよかった。
でも、あの日から、そういう子供のままではいられなくなったから。オレは、外へ出た。
世界は広大で、複雑で、途方もない。恐ろしい暗闇。
でも、おまえがオレを照らしてくれた。
だから、無理して大人ぶらなくてもよくなって、オレの息苦しさは、薄れたんだよ。
ありがとう。もう子供には戻れないけど、おまえと一緒なら、みっともなくても生きていけるよ。
お題「おうち時間でやりたいこと」
ひとりだけ残された家で、ぼーっとしている。
元は、5人で暮らしていた場所。
かつての団欒を、取り戻せたら、何をしよう?
「オレ、父さんの哲学書を全部読んだよ」とか、「ふたりの調理器具、多過ぎ」とか。言いたいことが色々ある。
生死も分からない両親。親戚の家へと身を寄せている祖父母。取り残されたオレ。
「オレ、好きな人がいるんだ」
そんなことを言えたなら。
お題「風に身をまかせ」
どうしてこんなことになったんだっけ?
ふわふわと空中に浮いているオレは、風任せに流れた。
辿り着いたのは、墓場。ある墓石の前に、ひとりの男がいる。
ああ、そっか。これは、オレの墓だ。
晴れた空の下に、雨が一粒。それを、オレは拭ってやることが出来なくて、申し訳なく思う。
お題「後悔」
どうしようもない後悔を抱えている。
おまえと出会ったこと。好きになってしまったこと。恋人になってもらったこと。隣にいること。
後悔しても仕方がないのに。
加害者は、加害者らしくしてればいい。
悲しい過去も、辛いことも、後悔も、全てを呑み込んで笑っていればいい。
悪役は、いつも笑ってるもんだろ?
お題「愛があれば何でもできる?」
愛を免罪符にして、“何でも”する人間になれたら、それはそれで悪役としてはいいな、と思った。
実際は、自分の中の愛のなさに辟易しているが。
愛してるから、ずっとずっと縛り付けさせてくれよ。愛してるから、オレ以外見ないでくれよ。愛してるから、そんな善人でいないでくれよ。
言わない言葉は、ないのと同じ。
これからも、きっと言わないけど、オレが罪人であることに変わりはない。
お題「真夜中」
眠る前には、自己嫌悪をして。眠っている時は、あの日の悪夢を見る。そして、夜夜中に目を覚ます。
「はぁ…………」
何故、まともな両親が行方不明になり、不良債権のオレはのうのうと生きているのか?
生きる意味なんてなかった。おまえがいなきゃ、ここに立ち続けることすら出来ない。
オレの抱えているものを、おまえはすぐに見付けてしまうから、そういう役割を押し付けている。
名探偵のおまえは、犯人のオレをゆるしてしまうから、祟られている。
いつか、違う配役になったなら、オレはおまえに何を伝えよう?
お題「恋物語」
そんなものとは、縁遠いと思ってた。世界には、オレと両親と祖父母だけだったから。
恋は、物語に過ぎなかった。
オレの物語は、薄暗く、粘着質。だけど、おまえに彩られた物語。
最後まで、全うしたい物語だ。
お題「突然の別れ」
「いってらっしゃい」と送り出した両親が、帰って来なかった男。それが、俺の特別な奴。
「さよなら」も言わずに去って行ったのが、おまえ。
そりゃあ、記憶の大半を消したら、俺のことも忘れるよな。
「バカ」と言えたら、よかったのに。でも、棘みたいに突き刺さる日々を送るおまえは、見てられなかった。だから、手を放してやるよ。
おまえの居場所になりたかった。
お題「理想のあなた」
18歳の女の子になりたいだなんて言っていたっけ。
でも、それって「理想の自分」じゃないよね。異性愛規範とエイジズムに縛られていただけ。
あなたの理想は、あなたがあなたであること。
あたしなんて、必要ないの。
自信を持って、彼が照らしてくれた道を歩いて行って。
あたしのことなんて、忘れてていいの。
お題「透明な水」
真っ黒なインクを一滴、おまえに垂らしてしまった気がしている。
それが、オレの最大の罪。
おまえは、絶望的に綺麗だったから。オレのせいで、汚れてしまったように思う。
でも、こうも思うんだ。オレごときが、おまえを汚せるはずがないって。
オレという無理難題を解き続けるおまえは、きっと間違わない奴だからな。
お題「昨日へのさよなら、明日との出会い」
あの女が消えて。記憶が消えて。でも、オレはおまえが好きで。オレはオレであることから逃げずにいる。
やっぱりオレは、ここにいたい。家族がいた場所。おまえがいる場所。
ここに留まるためには、走り続けなくてはならない。
逃げ道なんか走らない。おまえの隣で走るよ。
お題「逃れられない呪縛」
オレは、オレであることから逃げられない。
この世を呪って、おまえを祟って、一生懸命に“人間”をやっている。
みっともない。価値もない。情けない。
指先ひとつでも触れられたら、崩れてしまいそうな化けの皮。
でも、皮を剥ぐまでもなく、おまえはオレの正体を知っている。
それなのに、隣にいてくれるもんだから、甘えていた。
ダメだ。このままじゃ。もっと、俯かないでいられるオレになりたい。
お題「あの頃の不安だった私へ」
いつも不安で潰れそうだった。ぺしゃんこにされて、ゴミ箱行きになるような気がして。
祖父母と両親は、まともな社会人だった。親族の中で、オレだけが、引きこもり気味の落伍者。
だけど今は、なんとか立てている。おまえのお陰だな。
「助けて」と言うことは、そんなに簡単じゃなかったけど、オレは弱さを受け入れて生きている。
あの頃のオレへ。おまえは、案外しぶといし、欲深いから、外でも生きられるよ。
お題「いつまでも降り止まない、雨」
おまえが死ぬことを選んだのは、医者から言わせれば、「あり得る」ことなんだろう。
でも、俺はそうじゃない。
墓に、おまえが吸っていた煙草に火を着けて供えた。
「…………」
仄かにバニラの香りがする。おまえの香りだ。
空は、快晴。雫がひとつ、地面に染みた。
お題「月に願いを」
オレの前から消えてくれと願っていた。
眩しいから。綺麗過ぎるから。心が波立つから。
でも、きっと、本当に消えてしまったら、オレは後悔するんだろう。
愚かな願い。そもそも、おまえが月なのに。
お題「天国と地獄」
オレは、きっと地獄行きだから、死んだら会えないな。ま、天国や地獄があるかは知らないが。
オレは、嘘つきじゃない。人殺しでも、盗人でも、その他の犯罪者でもない。ただ、オレは“煙に巻く者”だった。
そのオレを、“解き明かす者”であるおまえが好きになるなんて、考えてなかったんだよ。
おまえは、天国行きのチケットを千切って、半分寄越してくるような奴だから。善い奴だよな、本当。
お題「半袖」
「なんだその腕の筋肉は」
衣替えが終わり、恋人と会っての第一声。
え? だって。え?
「裸見たことあんだろ」
そりゃそうだけど。いや、袖があるからこその視線誘導? なんか、そういうのだよ。
別に、劣情を煽られたりとか、してませんけど?
お題「ごめんね」
ごめんね。ごめんね、可哀想なあたし。
自我から別たれそうになったあたし。
別に、あの男を恨んでなんかないけど。あたしは、結局あの男と同じ者だし。
ずっと傍にいるよ。アーキタイプのひとりとして。
覚えてる? ユング心理学のこと。
あたしたちは、ふたりにはなれないけど、ひとりを想うひとりだから。
ずっと一緒にいるよ。
お題「ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。」
暗闇の中を走っている。何度も転んだ。何度も挫けた。
そこに、ある日、優しい月の光が降り注ぐ。
オレの道行きを照らしてくれた。
でも、鬱陶しいと、消えてほしいと思うこともあったんだ。バカみたい。
世界で一番の“特別”だから。好きだから。一秒も傍にいてほしくなくて。片時も離れてほしくなくて。
相反する気持ち。身勝手なオレ。
ゆるされないと思った。だけど、おまえは、オレをゆるした。
それから、ずっと隣で煙たい話をしている。
お題「天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、」
おそらキレイ。でも、それはどうだってよくて。ぼくにとってだいじなのは、きみがだれなのかってこと。
「おまえの未来の恋人」だって、その人はいった。
こいびとってなあに?
「全ての例外」なんだって。よくわかんない。
たいせつな人?
「そうだ」
たいせつな人。ぼくが、家ぞくじゃない人をたいせつにおもうときがくるんだ。
それは、なんだか、すごいことのようなきがする。