創作企画「冥冥の澱」2
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朝、目覚めると、燈哉からメッセージが届いていた。
『返信出来なくて、ごめん。』
『おはよう、何か用事?』
どう返すか、少し迷って。
『おはよう』
『今日、会えるか?』
会いたい。それだけ伝えた。燈哉からの返事は、午後からなら会える、とのこと。
『家で待ってる』
『了解』
今日のバイトは、昼上がりだから、丁度いい。
少しだけ、息がしやすくなる。
人を好きになり過ぎた化物は、眩しい日射しを避けて、生きていく。
◆◆◆
来目聖爾は、赤城燈哉に全てを話した上で、受け入れてほしい。しかし、何も言えずにいた。
「燈哉」
彼を後ろから抱き締めて座り、首元に頭を乗せる。
聖爾が、なんだかずっと甘えてきているということは分かるが、悩みについては、分かるはずもなく。
「聖爾、今日はどうした?」
「少し、仕事で嫌なことがあったから……」
“まともに生きられると思うなよ?”
コンビニバイトではなく、殺しの方で言われた台詞。刺さったそれが、ずっと痛みを与えてくるのだ。
「そうか。お疲れ様。聖爾は、偉いよ」
肩に乗っている頭を撫でると、頬にキスを落とされる。
燈哉のために、自分のために、“まとも”になりたいが、そんなことは叶わない。
だって、今更、“それ”をやめられるはずがないのだから。
「…………」
いつも以上に口数が少ない恋人を、疲れているのだろうと思う燈哉。
実際は、疲れているというより、弱っている。こんな弱味を見せられるのは、燈哉にだけだった。
「聖爾、ちょっと放してもらえるか?」
「ああ……」
解放された燈哉は、聖爾の膝の上に横向きに座り、正面から抱き締める。
「聖爾、好きだよ」
「オレも好きだ」
燈哉から、聖爾の唇にキスをした。
聖爾は少し笑って、深くキスを返す。しばらく、そうしてから。
「なあ、オレが人殺しだったら、どうする?」と、尋ねた。
「人殺し……?」
「そういう化物だったら、どうする? 人を殺さずにはいられねぇ化物だったら?」
人の振りをした化物は、燈哉を好きになり過ぎたのである。そのせいで、中途半端に人間に近付き、苦しんでいるのだ。
罰がない方がおかしいくらいの罪がある。それに気付いてしまったのが、不幸の始まり。それ自体が罰かもしれない。
罰されるなら、息の根を止められるなら、この手がいい。燈哉の手を取り、頬を擦り寄せた。
受け入れられないなら、殺してほしい。でも、この手を汚してほしくはない。だから、死ぬ時は、やっぱり天狐に頼んで、欠片も残さずに消えたいと考えた。
『返信出来なくて、ごめん。』
『おはよう、何か用事?』
どう返すか、少し迷って。
『おはよう』
『今日、会えるか?』
会いたい。それだけ伝えた。燈哉からの返事は、午後からなら会える、とのこと。
『家で待ってる』
『了解』
今日のバイトは、昼上がりだから、丁度いい。
少しだけ、息がしやすくなる。
人を好きになり過ぎた化物は、眩しい日射しを避けて、生きていく。
◆◆◆
来目聖爾は、赤城燈哉に全てを話した上で、受け入れてほしい。しかし、何も言えずにいた。
「燈哉」
彼を後ろから抱き締めて座り、首元に頭を乗せる。
聖爾が、なんだかずっと甘えてきているということは分かるが、悩みについては、分かるはずもなく。
「聖爾、今日はどうした?」
「少し、仕事で嫌なことがあったから……」
“まともに生きられると思うなよ?”
コンビニバイトではなく、殺しの方で言われた台詞。刺さったそれが、ずっと痛みを与えてくるのだ。
「そうか。お疲れ様。聖爾は、偉いよ」
肩に乗っている頭を撫でると、頬にキスを落とされる。
燈哉のために、自分のために、“まとも”になりたいが、そんなことは叶わない。
だって、今更、“それ”をやめられるはずがないのだから。
「…………」
いつも以上に口数が少ない恋人を、疲れているのだろうと思う燈哉。
実際は、疲れているというより、弱っている。こんな弱味を見せられるのは、燈哉にだけだった。
「聖爾、ちょっと放してもらえるか?」
「ああ……」
解放された燈哉は、聖爾の膝の上に横向きに座り、正面から抱き締める。
「聖爾、好きだよ」
「オレも好きだ」
燈哉から、聖爾の唇にキスをした。
聖爾は少し笑って、深くキスを返す。しばらく、そうしてから。
「なあ、オレが人殺しだったら、どうする?」と、尋ねた。
「人殺し……?」
「そういう化物だったら、どうする? 人を殺さずにはいられねぇ化物だったら?」
人の振りをした化物は、燈哉を好きになり過ぎたのである。そのせいで、中途半端に人間に近付き、苦しんでいるのだ。
罰がない方がおかしいくらいの罪がある。それに気付いてしまったのが、不幸の始まり。それ自体が罰かもしれない。
罰されるなら、息の根を止められるなら、この手がいい。燈哉の手を取り、頬を擦り寄せた。
受け入れられないなら、殺してほしい。でも、この手を汚してほしくはない。だから、死ぬ時は、やっぱり天狐に頼んで、欠片も残さずに消えたいと考えた。