創作企画「冥冥の澱」2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
加害者も被害者になり得ることくらい、理解していた。
来目聖爾は、いつものように依頼を受けて、対象を殺そうとしたのだが、その男が護衛を雇っているのは聞いてなかったのである。しかも、それが呪術師だとは。
ふたりとも、もう天狐に喰わせたが、聖爾は呪いを受けて、内臓がズタズタになった。
「クソ…………ッ!」
口から血を吐く聖爾。残された時は、あと僅か。
スマホを取り出し、赤城燈哉に電話する。
『聖爾? どうした?』
「……いや、少し声が聴きたかっただけだ」
『そうか。珍しいな』
「燈哉……愛してる…………」
『……びっくりした。そんなこと、聖爾に初めて言われた……』
「そうだな……」
本当は、“愛してる”かなんて、そんなことは分からない。ただ、もう今しか言えないから。
「愛してるから…………」
どうか、忘れないでほしい。
『俺も、愛してるよ』
「ありがとう、燈哉……オレ、そろそろいかなきゃ……」
『そうなのか? また、暇がある時に話そう』
「ああ、またな…………」
最期の最期で、嘘をついた。嘘は言わないようにしていたのに。
「……死にたくない」
だけど、自分は人殺しだから。まともな死に方は望めない。それに、やはり“特別”なんていてはいけなかったのだ。そうすれば、こんなにも辛い思いをしなくて済んだのに。
「天狐……燈哉を呪え………」
『キューン』
結局、こうなるのか。最初に想定した通りの、加害者と被害者に。関係が、終息する。
「側にいられないなら、もう」
誰とも話してほしくない。新しい恋人を作ってほしくない。幸せになってほしくない。生きていてほしくない。
勝手に置いて逝く癖に。何が“愛してる”だ。この汚くて醜い感情はなんだ。
実際のところ、燈哉を呪えるのかなんて、知らない。だが、それしか遺せない。そんなものしか。
死体は、組織が秘密裏に埋葬して、聖爾は行方不明者になることだろう。皮肉にも、彼の母親と同じように。
「燈哉…………」
オレの全て。
燈哉が死んでも、自分は地獄行きだから、会えない。
オレなんかと関わらなければよかったな。燈哉は、何ひとつ悪くないのに、こうして呪われて。オレが怪物だから。可哀想に。嫌だ。関わりがないのは嫌だ。だから、オレは。
聖爾の目の前が、暗くなっていく。そして、体は冷える。
「…………」
口を開くことすら、出来ない。体から力が抜けて、仰向けに倒れる。
見上げた夜空は、星が綺麗だった。
来目聖爾は、いつものように依頼を受けて、対象を殺そうとしたのだが、その男が護衛を雇っているのは聞いてなかったのである。しかも、それが呪術師だとは。
ふたりとも、もう天狐に喰わせたが、聖爾は呪いを受けて、内臓がズタズタになった。
「クソ…………ッ!」
口から血を吐く聖爾。残された時は、あと僅か。
スマホを取り出し、赤城燈哉に電話する。
『聖爾? どうした?』
「……いや、少し声が聴きたかっただけだ」
『そうか。珍しいな』
「燈哉……愛してる…………」
『……びっくりした。そんなこと、聖爾に初めて言われた……』
「そうだな……」
本当は、“愛してる”かなんて、そんなことは分からない。ただ、もう今しか言えないから。
「愛してるから…………」
どうか、忘れないでほしい。
『俺も、愛してるよ』
「ありがとう、燈哉……オレ、そろそろいかなきゃ……」
『そうなのか? また、暇がある時に話そう』
「ああ、またな…………」
最期の最期で、嘘をついた。嘘は言わないようにしていたのに。
「……死にたくない」
だけど、自分は人殺しだから。まともな死に方は望めない。それに、やはり“特別”なんていてはいけなかったのだ。そうすれば、こんなにも辛い思いをしなくて済んだのに。
「天狐……燈哉を呪え………」
『キューン』
結局、こうなるのか。最初に想定した通りの、加害者と被害者に。関係が、終息する。
「側にいられないなら、もう」
誰とも話してほしくない。新しい恋人を作ってほしくない。幸せになってほしくない。生きていてほしくない。
勝手に置いて逝く癖に。何が“愛してる”だ。この汚くて醜い感情はなんだ。
実際のところ、燈哉を呪えるのかなんて、知らない。だが、それしか遺せない。そんなものしか。
死体は、組織が秘密裏に埋葬して、聖爾は行方不明者になることだろう。皮肉にも、彼の母親と同じように。
「燈哉…………」
オレの全て。
燈哉が死んでも、自分は地獄行きだから、会えない。
オレなんかと関わらなければよかったな。燈哉は、何ひとつ悪くないのに、こうして呪われて。オレが怪物だから。可哀想に。嫌だ。関わりがないのは嫌だ。だから、オレは。
聖爾の目の前が、暗くなっていく。そして、体は冷える。
「…………」
口を開くことすら、出来ない。体から力が抜けて、仰向けに倒れる。
見上げた夜空は、星が綺麗だった。