創作企画「冥冥の澱」2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
姉の十星子の祝福により、愛する人と結婚式を挙げられた十北斗は、考える。
いい加減、もっとちゃんと自分の想いを話そう、と。
日記に書いたところで、真咲黎命が読む訳ではないし、手紙に逃げるのも、もうやめたかった。
自分の見ている世界について、彼に話そうと決意する。
そう、これは、“色彩”についての話。
◆◆◆
「黎命くん」
「はい」
「話したいことがあって。とても長くなるかもしれないけれど」
「構いませんよぉ」
「じゃあ、話します」
ソファーの隣に座る彼の手を取って、目を見て話し始めた。震えそうになる手。逸らしたくなる目線。それらを堪えて。
「君が、僕の“色彩”だってことは、言ったけれど、それがどういう意味なのか話してなかったから、言います」
深呼吸してから、口を開く。
「僕は、この目に映る世界が好きじゃなかった。視界はモノクロで、その癖うるさくて。姉は、鮮やかな赤色で、明るくて、僕を守ってくれていたけれど、妬ましかった」
白黒の世界には、音が溢れていて、それは全て耳障りだった。
「僕の人生は、透明人間みたいで意味のないものだった。でも、君と出会ってから、色が着いた。初めは、君の名前みたいに、真っ暗な黒色で。知ってるかもしれないけれど、黒色のライトがあるでしょう? 君は初め、そういう人だったんだ。僕に色なんてなかったから、嬉しかった」
それは、本当に嬉しくて。
「その後、君が話してくれる音が赤色で、姉と同じで話すのが得意な人なんだと思った。でも、君のいない静寂は、青色で、僕の世界に色が増えていったんだ。そうして、君と過ごすうちに、紫色が生まれた。どんどん世界が彩られていって。それと、僕自身の全てが色付いた頃には、僕はとっくに君のことを好きになっていたよ」
だからね、運命の人だと思ったんです。
「僕の世界に欠かせない存在が、君なんです。君がいなければ、僕はずっと、姉や他人の色を羨ましがるだけの透明人間だったはずだから」
いくら言葉を知っていても、誰かに伝えなくては意味がない。
「ずっと、世界の局外者だった僕の手を引いてくれて、ありがとう。黎命くんのお陰で、僕は自分の人生を生きられるようになったよ」
独りきりでいるのが当たり前だった。一生、そうだと思っていた。
今は、星月夜を、夕暮れを、真昼の太陽を、朝焼けを美しいと思える。
「君は、僕の中の星空で輝く一等星なんだ。愛してる…………」
君といる世界は、一秒一瞬が愛おしい。
色彩をくれた君と、幸せでいたい。
いい加減、もっとちゃんと自分の想いを話そう、と。
日記に書いたところで、真咲黎命が読む訳ではないし、手紙に逃げるのも、もうやめたかった。
自分の見ている世界について、彼に話そうと決意する。
そう、これは、“色彩”についての話。
◆◆◆
「黎命くん」
「はい」
「話したいことがあって。とても長くなるかもしれないけれど」
「構いませんよぉ」
「じゃあ、話します」
ソファーの隣に座る彼の手を取って、目を見て話し始めた。震えそうになる手。逸らしたくなる目線。それらを堪えて。
「君が、僕の“色彩”だってことは、言ったけれど、それがどういう意味なのか話してなかったから、言います」
深呼吸してから、口を開く。
「僕は、この目に映る世界が好きじゃなかった。視界はモノクロで、その癖うるさくて。姉は、鮮やかな赤色で、明るくて、僕を守ってくれていたけれど、妬ましかった」
白黒の世界には、音が溢れていて、それは全て耳障りだった。
「僕の人生は、透明人間みたいで意味のないものだった。でも、君と出会ってから、色が着いた。初めは、君の名前みたいに、真っ暗な黒色で。知ってるかもしれないけれど、黒色のライトがあるでしょう? 君は初め、そういう人だったんだ。僕に色なんてなかったから、嬉しかった」
それは、本当に嬉しくて。
「その後、君が話してくれる音が赤色で、姉と同じで話すのが得意な人なんだと思った。でも、君のいない静寂は、青色で、僕の世界に色が増えていったんだ。そうして、君と過ごすうちに、紫色が生まれた。どんどん世界が彩られていって。それと、僕自身の全てが色付いた頃には、僕はとっくに君のことを好きになっていたよ」
だからね、運命の人だと思ったんです。
「僕の世界に欠かせない存在が、君なんです。君がいなければ、僕はずっと、姉や他人の色を羨ましがるだけの透明人間だったはずだから」
いくら言葉を知っていても、誰かに伝えなくては意味がない。
「ずっと、世界の局外者だった僕の手を引いてくれて、ありがとう。黎命くんのお陰で、僕は自分の人生を生きられるようになったよ」
独りきりでいるのが当たり前だった。一生、そうだと思っていた。
今は、星月夜を、夕暮れを、真昼の太陽を、朝焼けを美しいと思える。
「君は、僕の中の星空で輝く一等星なんだ。愛してる…………」
君といる世界は、一秒一瞬が愛おしい。
色彩をくれた君と、幸せでいたい。