創作企画「冥冥の澱」2
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キッチンに鎮座したコーヒーメイカーを見て、赤城燈哉は震えた。
「聖爾? これ、いくらした?」
「1万3千円くらい?」
「……なんで買った?」
「燈哉が、コーヒー好きだから」
来目聖爾は、どうして燈哉が怯えているのか分からない。
だって、こんなのは実質、誕生日プレゼントその2じゃないか。と、思う燈哉。
聖爾は、特にコーヒーを好んでいないのだから。
「聖爾…………」
「……喜ぶかと思ったのに」
なんだか、しゅんとしているように見える。狐の耳と尻尾が垂れているような。
「いや、嬉しい、けど」
「燈哉」
キッチン前にいる恋人の元へ来て、抱き締めた。
「よく分からねぇんだ。燈哉のために何をすればいいのか」
「聖爾。ただ、一緒にいてくれれば嬉しいよ」
「でも、それじゃ済まねぇんだよ。この感情を、オレは持て余し続けてる」
「聖爾……その、俺のこと、好きにしていいから……もう少ししたら、だけど……」
「好きに?」
「抱いてほしい…………」
「…………」
少し間を置いて。聖爾は、燈哉にキスをした。
「んっ……あ…………」
いつの間にか壁際に押し付けられて、両脚の間に聖爾の片脚が差し込まれて。聖爾の右手は、腰に回され、左手では指を絡められていた。
「は……聖爾…………」
至近距離で目が合う。聖爾の、獣みたいにギラつく目。頭の中が、どろどろ溶かされるみたいな深い口付け。ぞくぞくする腹の底。思考回路が簒奪される。
「好きだ」
「ん……聖爾……好きだよ……」
それを聞いた聖爾は、燈哉の首筋を甘噛みした。
絶対に人に懐かない獣が、自分にだけは懐いている。そんな心地。
左手で、聖爾の頬を撫でた。聖爾の手が重ねられ、頬を擦り寄せられる。
やっぱり、どこか野生の獣みたいだと思った。
◆◆◆
帰った恋人について、考えている。側にいない時でも、いつも考えている。
どうしてこんな、特別な存在を作ってしまったのか。人殺しには、不必要なのに。いない方がいいのに。
でも、もう燈哉がいない人生なんて考えられなかった。もし、この特別が損なわれたら、きっと自分は死んでしまう。
どこまでやっていい? 燈哉の望むものは全て与えたいし、彼を害するものは、全て排除したい。
それって、おかしいのか? 初めてのことだから、何も分からない。
好きって、こんなに重いもの? 知らない感情だから、何も分からない。
ただ、ふたりでいられたらいいと、燈哉は言った。
それだけじゃ満たされない何かがある。焦燥感。飢餓感。
燈哉を食えば、満たされるのか?
その時が来たら、食い尽くさないように気を付けよう。
「聖爾? これ、いくらした?」
「1万3千円くらい?」
「……なんで買った?」
「燈哉が、コーヒー好きだから」
来目聖爾は、どうして燈哉が怯えているのか分からない。
だって、こんなのは実質、誕生日プレゼントその2じゃないか。と、思う燈哉。
聖爾は、特にコーヒーを好んでいないのだから。
「聖爾…………」
「……喜ぶかと思ったのに」
なんだか、しゅんとしているように見える。狐の耳と尻尾が垂れているような。
「いや、嬉しい、けど」
「燈哉」
キッチン前にいる恋人の元へ来て、抱き締めた。
「よく分からねぇんだ。燈哉のために何をすればいいのか」
「聖爾。ただ、一緒にいてくれれば嬉しいよ」
「でも、それじゃ済まねぇんだよ。この感情を、オレは持て余し続けてる」
「聖爾……その、俺のこと、好きにしていいから……もう少ししたら、だけど……」
「好きに?」
「抱いてほしい…………」
「…………」
少し間を置いて。聖爾は、燈哉にキスをした。
「んっ……あ…………」
いつの間にか壁際に押し付けられて、両脚の間に聖爾の片脚が差し込まれて。聖爾の右手は、腰に回され、左手では指を絡められていた。
「は……聖爾…………」
至近距離で目が合う。聖爾の、獣みたいにギラつく目。頭の中が、どろどろ溶かされるみたいな深い口付け。ぞくぞくする腹の底。思考回路が簒奪される。
「好きだ」
「ん……聖爾……好きだよ……」
それを聞いた聖爾は、燈哉の首筋を甘噛みした。
絶対に人に懐かない獣が、自分にだけは懐いている。そんな心地。
左手で、聖爾の頬を撫でた。聖爾の手が重ねられ、頬を擦り寄せられる。
やっぱり、どこか野生の獣みたいだと思った。
◆◆◆
帰った恋人について、考えている。側にいない時でも、いつも考えている。
どうしてこんな、特別な存在を作ってしまったのか。人殺しには、不必要なのに。いない方がいいのに。
でも、もう燈哉がいない人生なんて考えられなかった。もし、この特別が損なわれたら、きっと自分は死んでしまう。
どこまでやっていい? 燈哉の望むものは全て与えたいし、彼を害するものは、全て排除したい。
それって、おかしいのか? 初めてのことだから、何も分からない。
好きって、こんなに重いもの? 知らない感情だから、何も分からない。
ただ、ふたりでいられたらいいと、燈哉は言った。
それだけじゃ満たされない何かがある。焦燥感。飢餓感。
燈哉を食えば、満たされるのか?
その時が来たら、食い尽くさないように気を付けよう。