創作企画「冥冥の澱」2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
好きな気持ちはあれど、それがどういうことなのか、来目聖爾には、まだよく分からない。
しかし、赤城燈哉に執着していることは、間違いなかった。
燈哉が感情を向けるのは、自分にだけがいい。笑顔を見たい。怒られたい。悲しまれたい。
「なあ、燈哉」
「ん?」
ベッドの上に座り、後ろから燈哉を抱え込むようにしている腕に力を入れた。
「オレには、燈哉しかいねぇんだ。唯一の家族の母親は行方不明になって、死亡宣告が出たし。ダチもいねぇし」
恋人の肩口に顎を乗せて、聖爾は幾分か柔らかく告げる。
「だから、燈哉が、オレのことを見ててくれ」
「ああ。聖爾のこと見てるよ」
「好きだ」
「俺も」
頬にキスをした。
された方は、なんでだかまだ知らないけど、俺のこと大好きか? と呑気に考える。
赤城燈哉には、まだ怪物の全貌が見えていない。
「燈哉は、欲しいものあるか?」
「欲しいもの?」
唐突な質問。
「物質。品物。なんかあんだろ、服でも靴でも食べ物でも」
「……ロクメイコーヒーのプレミアムギフト?」
「そうか」
その日は、噛み痕を付けられて、「食われる」かと思ったが、無事に帰ることが出来た。
◆◆◆
次に聖爾の部屋を訪れた時、燈哉は、恋人から、紙袋を渡される。
中身は、例の一万円超えのコーヒーギフト。
「聖爾!?」
「なんだよ? 欲しいっつってたろ」
「いや、それは…………」
だって、プレゼントしてほしいとかじゃなくて。というか、何をプレゼントしてほしいかという質問だったのが、まず驚きだった。
「高いだろ。こんな、なんでもない日にもらうには」
「22年分、誕生日プレゼントを贈る。だから、あと21回、何かやる」
だいぶ重たい。
聖爾の行動を解体すると、出会えていなかった年数が腹立たしいので、何かで発散したい、というものである。無自覚だが。
裏稼業で手に入れた金など、どうでもいいし、どうせなら、燈哉のために使いたかった。
「俺ばっかりもらう訳にはいかないだろ、それ」
「オレは、欲しいもんなんてねぇよ。燈哉以外いらねぇ」
唖然としている恋人を、正面から抱き締める。
「何が欲しい? もしくは……」
次に発せられた台詞は、妙に現実味を帯びていた。
「……消えてほしい奴はいるか?」
怪物の囁き。
「い、らない。いない…………」
「本当に?」
「ああ……」
「出来たら、いつでも言え」
「分かったよ」
欲しいもの。消したい人間。どちらでもいい。教えてほしい。
燈哉が、三度目に聖爾の部屋を訪れた時、キッチンには、新品の家庭用コーヒーメイカーが置かれていた。
しかし、赤城燈哉に執着していることは、間違いなかった。
燈哉が感情を向けるのは、自分にだけがいい。笑顔を見たい。怒られたい。悲しまれたい。
「なあ、燈哉」
「ん?」
ベッドの上に座り、後ろから燈哉を抱え込むようにしている腕に力を入れた。
「オレには、燈哉しかいねぇんだ。唯一の家族の母親は行方不明になって、死亡宣告が出たし。ダチもいねぇし」
恋人の肩口に顎を乗せて、聖爾は幾分か柔らかく告げる。
「だから、燈哉が、オレのことを見ててくれ」
「ああ。聖爾のこと見てるよ」
「好きだ」
「俺も」
頬にキスをした。
された方は、なんでだかまだ知らないけど、俺のこと大好きか? と呑気に考える。
赤城燈哉には、まだ怪物の全貌が見えていない。
「燈哉は、欲しいものあるか?」
「欲しいもの?」
唐突な質問。
「物質。品物。なんかあんだろ、服でも靴でも食べ物でも」
「……ロクメイコーヒーのプレミアムギフト?」
「そうか」
その日は、噛み痕を付けられて、「食われる」かと思ったが、無事に帰ることが出来た。
◆◆◆
次に聖爾の部屋を訪れた時、燈哉は、恋人から、紙袋を渡される。
中身は、例の一万円超えのコーヒーギフト。
「聖爾!?」
「なんだよ? 欲しいっつってたろ」
「いや、それは…………」
だって、プレゼントしてほしいとかじゃなくて。というか、何をプレゼントしてほしいかという質問だったのが、まず驚きだった。
「高いだろ。こんな、なんでもない日にもらうには」
「22年分、誕生日プレゼントを贈る。だから、あと21回、何かやる」
だいぶ重たい。
聖爾の行動を解体すると、出会えていなかった年数が腹立たしいので、何かで発散したい、というものである。無自覚だが。
裏稼業で手に入れた金など、どうでもいいし、どうせなら、燈哉のために使いたかった。
「俺ばっかりもらう訳にはいかないだろ、それ」
「オレは、欲しいもんなんてねぇよ。燈哉以外いらねぇ」
唖然としている恋人を、正面から抱き締める。
「何が欲しい? もしくは……」
次に発せられた台詞は、妙に現実味を帯びていた。
「……消えてほしい奴はいるか?」
怪物の囁き。
「い、らない。いない…………」
「本当に?」
「ああ……」
「出来たら、いつでも言え」
「分かったよ」
欲しいもの。消したい人間。どちらでもいい。教えてほしい。
燈哉が、三度目に聖爾の部屋を訪れた時、キッチンには、新品の家庭用コーヒーメイカーが置かれていた。