うちよそ
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頭の中に、いつも彼女がいる。美味しいものを食べた時、ありすにも食べてほしいと思ったり。綺麗な景色を見た時、隣にありすがいたらいいのにと思ったり。楽しそうな場所に、ありすと行きたいと思ったり。
『ありすさん、行きたいところありますか?』
『ホテルビュッフェ』
いや、分かっていた。灰崎ありすが、食事を奢られるためだけに、陶原創と“友人”でいることくらい。
『あの、プラネタリウムに興味は?』
『私の方が綺麗だろ』
『はい』
にべもない。
デートしたいと言えばいいのだろうか?
普通に断られそうだ。
そもそも自分は、ありすを好きなのか?
あんなに非常識なのに。あんなに暴君みたいなのに。
でも、美しいし。お礼を言ってくれたし。名前を呼んでくれたし。
なんというか、もう。ありすを擁護しようとしている時点で、好きなのは明白だった。
一体、何人の恋敵がいるのだろう? 一体、どれほどの人間が、ありすに狂わされているのだろう?
灰崎ありすは、恩に報いないし、好意にはタダ乗りするし、愛は食えないと宣う女である。
ありすの“友人”たちは、生かさず殺さず飼い続けられてしまう。
その在り方は、有り体にいって、悪女だった。
幼い頃、ありすは“可愛い娘”で。それを自覚するのが早く、大人が思っているよりも計算高い子供だった。
“わたし、これがほしい”
“高いから、ダメだよ”
“じゃあ、こっち”
“まあ、それならいいか”
もちろん、本命の欲しいものは、後から言った方である。最初に言ったものは、買ってくれたらラッキーという程度の期待値。そういうことを、誰に教わるでもなく、ありすは昔から会得していた。
言うことを聞かせたいなら、目を見つめて“お願い”すればいい。それがダメなら、手を握って、もう一度。それでも望みが叶わないのならば、ターゲットを変える。
怒られたなら、涙の一粒でもこぼして、“ごめんなさい”をすればいい。
ありすの世界で、彼女は、ずっと“勝ち”だった。負けたことなどない。
そういう女に惚れた者が、どうなるのか? ありすは、人を不幸にするつもりはない。だから、完全に不幸にはならない。生温い友情を提供し続けられ、いつしか、それが自分の幸せなのだと誤認する。
彼女の手練手管は、星の数ほどあり、それだけを極めてきた。
華やかなスターのような、プライベートを売り渡す人生はいらない。可愛いアイドルのような、努力はしたくない。甘い蜜だけ啜っていたい。
玉座に座り、待っているだけで全てが揃うのが、ありすの理想の人生である。
『ありすさん、行きたいところありますか?』
『ホテルビュッフェ』
いや、分かっていた。灰崎ありすが、食事を奢られるためだけに、陶原創と“友人”でいることくらい。
『あの、プラネタリウムに興味は?』
『私の方が綺麗だろ』
『はい』
にべもない。
デートしたいと言えばいいのだろうか?
普通に断られそうだ。
そもそも自分は、ありすを好きなのか?
あんなに非常識なのに。あんなに暴君みたいなのに。
でも、美しいし。お礼を言ってくれたし。名前を呼んでくれたし。
なんというか、もう。ありすを擁護しようとしている時点で、好きなのは明白だった。
一体、何人の恋敵がいるのだろう? 一体、どれほどの人間が、ありすに狂わされているのだろう?
灰崎ありすは、恩に報いないし、好意にはタダ乗りするし、愛は食えないと宣う女である。
ありすの“友人”たちは、生かさず殺さず飼い続けられてしまう。
その在り方は、有り体にいって、悪女だった。
幼い頃、ありすは“可愛い娘”で。それを自覚するのが早く、大人が思っているよりも計算高い子供だった。
“わたし、これがほしい”
“高いから、ダメだよ”
“じゃあ、こっち”
“まあ、それならいいか”
もちろん、本命の欲しいものは、後から言った方である。最初に言ったものは、買ってくれたらラッキーという程度の期待値。そういうことを、誰に教わるでもなく、ありすは昔から会得していた。
言うことを聞かせたいなら、目を見つめて“お願い”すればいい。それがダメなら、手を握って、もう一度。それでも望みが叶わないのならば、ターゲットを変える。
怒られたなら、涙の一粒でもこぼして、“ごめんなさい”をすればいい。
ありすの世界で、彼女は、ずっと“勝ち”だった。負けたことなどない。
そういう女に惚れた者が、どうなるのか? ありすは、人を不幸にするつもりはない。だから、完全に不幸にはならない。生温い友情を提供し続けられ、いつしか、それが自分の幸せなのだと誤認する。
彼女の手練手管は、星の数ほどあり、それだけを極めてきた。
華やかなスターのような、プライベートを売り渡す人生はいらない。可愛いアイドルのような、努力はしたくない。甘い蜜だけ啜っていたい。
玉座に座り、待っているだけで全てが揃うのが、ありすの理想の人生である。