創作企画「冥冥の澱」2
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天窓から朝日が射してる中、スクリーンのある部屋から、不意に出られた。
「あ、僕…………」
「六助くん?」
教会の長椅子で、隣に座るあなたが、僕の顔を覗き込む。
「泣いてるの?」
ぼろぼろと、涙が出てきた。それを、穣さんが拭う。
「今、僕は僕だって感じるようになってる。でもね、また戻るかもしれないの。だけど、少しずつこの時間が増えていけば、僕は元気になれるから」
「うん。うん、よかった」
「抱き締めてくれる?」
「もちろん」
「ありがとう。大好きだよ」
そう言ってから、そっと穣さんの頬にキスをした。
「わ……あの…………」
「えへへ。びっくりした?」
穣さんは、真っ赤に頬を染めて、僕を見てる。
「まだ、誰もいないから、しちゃった」
「う、うん……」
僕の顔もきっと色付いていると思う。前に、穣さんから頬にキスされた時と同じくらい。
◆◆◆
「また、遠くなった…………」
ひとり、自室のベッドに座り、みのるくんを抱き締める。
「でも、絶対大丈夫だよ」
みのるくんに、頬を寄せた。
いつか、唇にキスしてもいい日が来るよ。それに、いつか。
「結婚するもん……」
パパもママも、祝ってくれるはず。
矢木教会はね、同性愛を認めない派閥に逆らって生まれたんだよ。それは昔、僕のご先祖様と契約した魔術師が日本に逃げて来た時から、始まった。
その魔術師が、“汝の欲するところを為せ”って言ってから、ご先祖様は解放されたの。魔術師とは死に別れたけど、その人は悲しんでる暇がなかった。隠れ蓑にしていた教会を引き継いで、人を助けるために立ち上がったよ。
それが、矢木教会。
全ての人に祈りの機会を。全ての命に祝福を。全ての罪に赦しを。全ての愛に結婚式を。全ての終わりに追悼を。
ご先祖様は、人の想いを、全部大切にしてきたから。僕たちのことも、祝福してくれる。
僕は、悪魔だったけど、今は人だからね。神様がゆるさなくても、両親とあなたが、ゆるしてくれたし。
僕は、ずっと幸せ。あなたと、幸せ。
窓から、外を覗く。
春が来たら、桜の花が咲く道。夏には、青葉が。秋には、コスモス。冬は、スノードロップ。
これからも、カレンダーをめくっていくんだ。あなたと、ふたりで。
僕が、「もうダメ」ってなった時は、いつも穣さんが助けてくれた。少しずつ、僕は僕のことをゆるせるようになって、信じられるようになって。今も、生きてる。
僕、カワイイから、なんでも出来るもん。
「あ、僕…………」
「六助くん?」
教会の長椅子で、隣に座るあなたが、僕の顔を覗き込む。
「泣いてるの?」
ぼろぼろと、涙が出てきた。それを、穣さんが拭う。
「今、僕は僕だって感じるようになってる。でもね、また戻るかもしれないの。だけど、少しずつこの時間が増えていけば、僕は元気になれるから」
「うん。うん、よかった」
「抱き締めてくれる?」
「もちろん」
「ありがとう。大好きだよ」
そう言ってから、そっと穣さんの頬にキスをした。
「わ……あの…………」
「えへへ。びっくりした?」
穣さんは、真っ赤に頬を染めて、僕を見てる。
「まだ、誰もいないから、しちゃった」
「う、うん……」
僕の顔もきっと色付いていると思う。前に、穣さんから頬にキスされた時と同じくらい。
◆◆◆
「また、遠くなった…………」
ひとり、自室のベッドに座り、みのるくんを抱き締める。
「でも、絶対大丈夫だよ」
みのるくんに、頬を寄せた。
いつか、唇にキスしてもいい日が来るよ。それに、いつか。
「結婚するもん……」
パパもママも、祝ってくれるはず。
矢木教会はね、同性愛を認めない派閥に逆らって生まれたんだよ。それは昔、僕のご先祖様と契約した魔術師が日本に逃げて来た時から、始まった。
その魔術師が、“汝の欲するところを為せ”って言ってから、ご先祖様は解放されたの。魔術師とは死に別れたけど、その人は悲しんでる暇がなかった。隠れ蓑にしていた教会を引き継いで、人を助けるために立ち上がったよ。
それが、矢木教会。
全ての人に祈りの機会を。全ての命に祝福を。全ての罪に赦しを。全ての愛に結婚式を。全ての終わりに追悼を。
ご先祖様は、人の想いを、全部大切にしてきたから。僕たちのことも、祝福してくれる。
僕は、悪魔だったけど、今は人だからね。神様がゆるさなくても、両親とあなたが、ゆるしてくれたし。
僕は、ずっと幸せ。あなたと、幸せ。
窓から、外を覗く。
春が来たら、桜の花が咲く道。夏には、青葉が。秋には、コスモス。冬は、スノードロップ。
これからも、カレンダーをめくっていくんだ。あなたと、ふたりで。
僕が、「もうダメ」ってなった時は、いつも穣さんが助けてくれた。少しずつ、僕は僕のことをゆるせるようになって、信じられるようになって。今も、生きてる。
僕、カワイイから、なんでも出来るもん。